「家族を大切に」夫の側で強まる
博報堂生活総合研究所は、日本の家族像を探る「家族調査2008」の分析結果を発表した。この調査は、首都40キロ圏(東京・埼玉・千葉・神奈川)に住む、妻(20~59才)で夫婦が同居しているサラリーマン世帯を対象に2008年の6月から7月にかけて行われたもので、1988年、1998年に続く3回目。
今回の調査では、意識的に家族を大切にしようとする動きが夫婦双方に見られるが、その傾向は特に夫の側で強まっている。「意識して家族の絆を強めるようなことをする方がよい」とした夫は56%と半数を超え、20年間で20ポイント近くアップ。「休日はできるだけ家族と一緒に過ごすほうがよい」とした人は、夫78.5%、妻69.0%となっている。
また、「家族の都合よりも自分の都合を優先する方がよい」とする夫は28.3%から16.8%と11.5ポイント減少。妻も1998年までは若干伸びていたが、2008年では10.3%から6.3%へと4ポイント減少。また、「家族に迷惑でも個人が納得する生き方をする方がよい」とした夫も2008年では21.3%から18.0%とダウンし、1988年レベルに戻っている。
テレビを見ながらの団らんも復活
こうした傾向を反映してか、日常生活でも「お茶の間でテレビを見る」スタイルが復活。「家族全員でテレビを見る」としたのは91.7%と20年前より10ポイント以上上昇。子供専用で持っているテレビも、前回の98年調査時では若干上昇していたが、この10年で10 ポイント以上も減少している。
また、毎年恒例の家族の行事・イベントを聞いたところ、「子どもの誕生日」を筆頭に、家族の誕生日をあげる人が10年前よりも増加。また、クリスマス、母の日・父の日、結婚記念日もそれぞれ上昇しており、こうしたイベントを通して、積極的に絆を深めたり、思い出づくりにはげむ家族が増えている。
世界のなかの「日本の家族」
同研究所は、日本・アメリカ・スウェーデン・中国の4か国での家族比較調査も実施しており、それぞれのお国柄が家族観に反映されるかたちとなった。たとえば、「私は家族によって束縛されている」とした人の割合はアメリカでは70.3%だが、日本は29.8%と大きな開きがある。
国内の調査では家族重視傾向が見られた日本だが、「家族は最優先して取り組むものであると思う」については平均が81.3%のところ、日本は62.0%。また、「子どもは親の老後の経済的な面倒を見る方がよいと思う」では、日本25.8%、アメリカ18.8%、スウェーデン3.8%、中国65.5%となり、それぞれの社会環境や伝統的な家族観が浮き彫りになっている。
同研究所は、日本の家族は他国にくらべて突出した項目が少なく、家族を束ねるはっきりとした軸が見えないと分析。一緒にいることにより、じわじわと家族になっていきながら、家族における自分の役割に対して悩みや迷いを抱いているといったところが日本の家族の特徴だとしている。
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