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「課題解決型営業」はなぜ定着しないのか?AI時代における課題解決と“文化”の醸成

事例から考える「課題解決型営業」の定着化メソッド

「課題解決型営業」の定着に向けた具体的な取り組み方針

 では、3つの課題に対して、具体的にどのような取り組みを実施すればよいのでしょうか? A社および同様の課題に悩んでいたITサービスB社を例に考えていきます。

 組織文化の構築が、最も難易度の高い取り組みと言えます。筆者はA社にもB社にも同様の提言をしました。すなわち、「御社の課題解決型営業を進めるためには、営業・マネジメント層がこの取り組みに楽しさや、やりがいを持って取り組むことが必要」であると。

 課題解決型提案を実施するためには、通常の商材提案と比べて多くの時間と思考が求められます。「顧客からの依頼に応える」ことが自身の仕事であると思っている営業(営業組織)であれば、なおさらです。では、課題解決型提案に楽しみややりがいを見出してもらうにはどうしたらよいのでしょうか。それこそがまさに成功体験の醸成なのです。

 A社、B社で育成に携わった多くの営業から、「顧客にこんな提案ができるのかと驚かれた」「初めて顧客と事業の話ができた」といった声を聞きました。このような成功体験を醸成するためには、実案件において、スモールステップで着実に顧客との合意を形成する提案プロセスの設計や課題仮説立案の際の討議・壁打ちなど、寄り添い型の丁寧なサポートが重要となります。

 また、営業組織として目指すべき“羅針盤”を共有することも効果的です。A社においては課題解決型営業を実施する意義と目指したい到達点を文字化・ビジュアル化して示すことにより、意識の向上と共通化を図りました。このような組織文化の構築こそ、課題解決型営業の促進の強力な“エンジン”となるのです。

 組織文化の形成を支えるマネジメントの高度化のためには、まずマネジメント層のスキル・マインドの向上が不可欠です。B社においては、「リーダー研修」と題して、マネジメント層に対する研修を実施するとともに、課題解決型提案のチェックリストを作成・配布しました。

 また、KPIの見直しもあわせて実施しました。結果だけでなく、課題解決提案をどのくらい実施したか、事業課題の仮説を顧客に伝えてどのくらい共感してもらい、次の行動につなげてくれたか(初回訪問時に提示した課題仮説に対する、顧客の共感度やネクストアクションへの移行率など)といった指標をKPIに組み込みました(あわせてSFAの軽微な改修も実施しましたが、SFAに関しては第2回で詳細をご紹介します)。

 課題解決型営業は、営業だけで実施できるものではありません。マネジメントする人間・しくみ・システムのサポートが必要となるのです。

 営業のスキル向上のためには、研修カリキュラムの大幅なアップデートが必要です。A社においては、研修カリキュラムにコンサルティングの要素を多く取り入れました。現代における価値創造経営の意義・内容から始まり、成長戦略の考え方、事業ポートフォリオの考え方など、上流コンサルタントが学ぶような内容で構成しました。

 また、事業課題と自社商材の紐付け方を提示しました。内部・外部環境分析を通じて顧客の課題を導出しても、それが自社商材・ソリューションの提案につながらないことが営業の悩みです。そこを解きほぐすことが課題解決型営業の実現に向けたカギになります。そしてその学びを、ケースを通じて実践するロールプレイングこそ不可欠です。このような高度かつ実践的な研修カリキュラムを構築する必要があります。

AIを活用した課題解決型営業への道程

 多くの方々がご存知のように、昨今は営業業務にもAIが活用されています。課題解決型提案の作成支援のためにAIの導入に取り組む企業も増えつつあります。

 しかし、AIを導入した企業から多く聞かれるのは、「一向に課題解決型提案が上手くいかない」「内容が薄い“誰でも言えそうな提案”が大量生産されている」という悲痛な声です。

 本稿でここまで述べてきたような本質的・根本的な課題を解決しなければ、システムもAIも機能しません。けれども、逆に言えば、ここまで述べてきたような課題をクリアした状態においては、システム(SFAまたはCRM)やAIは、課題解決型営業のスピードアップや高度化にとって大きな“武器”になることも事実です。

 第2回では、AIが課題解決型営業にどのような効果をもたらし得るのか、営業組織としてどのようにAIを活用すべきかについて、現在において求められる課題解決型営業の形に関する考察をもとにご紹介します。

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この記事の著者

株式会社博報堂 奥山 友貴(オクヤマ トモキ)

株式会社博報堂 コマースビジネスデザイン事業ユニット エグゼクティブビジネスコンサルタント。シンクタンク系コンサルティングファーム、外資系コンサルティングファームを経て、2025年より現職。事業戦略策定、セールス改革のコンサルティングを専門領域として、小売、メーカー、不動産、金融、IT通信など幅広い業界に対するコン...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2026/07/24 07:00 https://markezine.jp/article/detail/77192

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