3つのチームで50以上の事業組織を支援できるワケ
NECのカスタマーサクセスCoEは、現在50以上の事業組織を支援している。3つのチームで構成され、それぞれ次のような役割を持つ。
1.イネーブルメント
現場のCS立ち上げを支援し、伴走まで行うチーム
2.啓発・育成
CSの啓発活動や人材育成を担うチーム。社内向けポータルサイトの運営や強制受講型のeラーニングの展開、さらにはCSのジョブ定義や評価基準の整備なども行う。
3.IT基盤推進
CSのデジタル基盤を構築し、皆に使ってもらうための活動を推進するチーム。
限られたメンバーで50もの組織を支援できる理由は、徹底した自走支援にあるという。「CSが立ち上がった後は自走してもらうことを前提としている。ずっと伴走していては、この人数で50以上の組織を支援しきれない」と服部氏は語る。

巨大企業でCSを全社組織化する要諦について、服部氏は「トップダウンとボトムアップの両輪が不可欠」と強調する。同社では現場の泥臭い成功事例を積み上げつつ、CSの価値を理解する経営層や役員など、強力なスポンサーの協力を得たことで、全社横断組織への昇華を実現した。
服部氏は今後の展望として、NECが推進する価値創造モデル「BluStellar(ブルーステラ)」を通じ、コンサルティングからSI、保守運用までを含めた一連のソリューション全体へCSの適用範囲を拡張する考えを示した。さらに、自社開発のLLMや生成AIを活用し、CS業務を自動化・高度化する「AIエージェント(デジタルCS社員)」の構想も描いている。
最もスケーラブルなサクセスは「強いプロダクト」から生まれる
イベントの後半に催された「カスタマーサクセス天下一武闘会」は、2018年から続く伝統のピッチバトルである。今年のテーマは「収益を最大化するためのスケーラブルな顧客成果創出」だ。カスタマーサクセスマネージャー(以下、CSM)個人の精神論や属人性に頼るのではなく、仕組みによって事業成果をいかにスケールさせるかが問われた。
STORES カスタマーズ部門 グロースサクセス本部 マネージャー 神田拓哉氏
スタメン 執行役員 VP of Customer Success 山田亮二氏
Schoo カスタマーサクセス部門 部門責任者 下西彩香氏
freee freee-mcp エバンジェリスト 青山翔平氏
4名の出場者が12分ずつピッチを披露し、200名の参加者による投票で“最強のCSM”を決める。激闘の末に優勝を手にしたfreeeの青山氏は、クラウド型販売管理ソフト「freee販売」の事例をもとに「圧倒的なn=1から生まれる究極のスケーラビリティ」と題したプレゼンテーションを行った。
青山氏は、最もスケーラブルなサクセスを「プロダクト自体の強さによる解決」と定義する。プロダクトの使い勝手が抜群で機能に不足がなければ、CSMが手厚く介在しなくとも顧客は自走し、解約は発生しないからだ。
しかし現実には、新規顧客獲得やARR(年間経常収益)の伸びを最優先したいプロダクトマネージャー(以下、PM)と、既存顧客の不満解消や解約防止を訴えるCSMの間で対立構造が生じやすい。PMから見れば「既存顧客の一部の要望に開発リソースを割くことが、本当に事業全体の成長につながるのか」という疑問が生じるからだ。
青山氏は、この対立を乗り越えるためにはCSM自らが「特定のたった1社・1人(n=1)」の声と業務プロセスを徹底的に解き明かし、それが事業成果に直結することを証明しなければならないと提言した。
