受注まで担うプロフィット組織として、10万件の休眠顧客に挑む
──具体的なアプローチ内容について教えてください。
森田:DX営業部の活動を設計するうえで、こだわったのはDX営業部の中にISとフィールドセールス(FS)を共存させた点です。ISによる新規・休眠顧客への荷電からアポイント獲得とトスアップ、FSによるクロージングまでをすべてDX営業組織内で完結させる体制にしたのです。
既存のアカウント営業へトスアップした場合、既存顧客対応を最優先せざるを得ない状況の中、商談化に時間がかかってしまう懸念がありました。そのため、DX営業部をアポイントを獲得するだけなく、受注までを担う「プロフィット組織」として設計したのです。
アカウント営業/DX営業部の組織体制図(クリックすると拡大します)
結成後、最初に行ったのが休眠顧客へのアプローチです。従来の営業スタイルはご依頼をいただいてからの商談開始が中心で、休眠顧客へアプローチする機会が限られていました。その結果、約10万件ものハウスリストが眠っていたのです。そこで、まずはMAツールを用いて休眠顧客にメールを配信し、ホットリードを抽出して架電することから始めました。
田中:2021年1月末に「MAでメール配信する」と決め、4月1日に1万件へ一斉送信しました。まだ新卒営業が配属される前でしたから、まずは森田や私などのマネジメント層が自ら架電していきました。
すると、思ったより多くのアポイントが獲得できたんです。メールで「○時頃にお電話します」と予告してから架電するなど、様々な工夫を凝らしたのが功を奏しました。振り返ってみれば、その後の新卒営業への教育や実体験に基づくアドバイスがうまくいったのは、この期間の学びによるものが大きいですね。
新卒主導で業務改善。努力を「ボランティア」で終わらせない評価設計
──組織文化の面では、新卒営業主導のプロジェクトが多く立ち上がったそうですね。
田中:ええ。DX営業部はまだ仕組みが定まっておらず、実際に架電を行う中での気づきや要望を基に「業務改善プロジェクト」が立ち上っていったのです。その一つが、草別たちが取り組んだ「Salesforceのダッシュボード改善」です。
草別:最初は個人の架電数やアポ数をExcelで管理していたのですが、これを全社導入しているSalesforceで管理できれば、顧客情報の蓄積と活用がよりスムーズになるのではないかと考えました。
2021年入社。DX営業部の1期生として参画。インサイドセールス業務のほか、Salesforceを活用したKPI管理ダッシュボードの構築など、業務改善プロジェクトを企画・実行にも携わった。現在はチームリーダーとしてインサイドセールスのマネジメントや新人の教育を担当する。
草別:研修で学んだSalesforceの知識を活かし、マネージャー陣にも相談しながら試行錯誤した結果、架電数やその結果をSalesforceのダッシュボード上でリアルタイムで可視化することができました。様々な角度で架電状況を分析できるようになり、架電数・トスアップ率の向上や業務改善を検討するためのデータ基盤となったのです。
<代表的な項目>
- 担当者別の架電数
- アポイント獲得数
- 施策別の活動実績および商談創出数
- アプローチが停滞しているお客様一覧
田中:ほかにも、印象深い事例として、新卒教育カリキュラムの刷新プロジェクトがあります。私自身は「メーカーの営業である以上、まずは製品知識を徹底的に叩き込むことが不可欠だ」と考えていたのですが、意外なことに、現場の新卒営業は製品研修は不要だと提案してきたのです。なぜなら、ISがアプローチするお客様は、移転や改修を検討し始めた初期の計画段階であることが多いから。そのためデスクの天板の厚さや椅子のサイズといった細かい製品知識を使う機会は少なく、それよりも、お客様の課題や背景を深掘りするソリューション営業の研修を優先すべきだという意見があがったのです。実際に架電している当事者ならではの視点でした。
森田:熱心に取り組むあまり、ときには架電よりも業務改善プロジェクトに時間を使い過ぎてしまうこともありました。「DX営業部の最重要ミッションは架電業務だ」と本業の重要性を伝え、時間配分を促したこともあります。
しかし、業務改善プロジェクトによってDX営業部の仕組みが整っていったことは間違いありません。その努力や熱量をボランティア活動で終わらせないよう、業務改善プロジェクトの成果を正式な人事評価項目に組み込みました。自然とクオリティチェックやフィードバックも妥協を許さないものとなり、メンバーのモチベーション維持だけでなく、プロジェクトそのものの質の向上にもつながりました。
