顧客と向き合いたいから営業職に就いている
──先ほどのキーノートで「案件創出エージェント」の強化が発表されました。営業現場においてAIエージェントが自動でリサーチやアプローチをこなすようになる中、インサイドセールスやフィールドセールスの役割はどう再定義されるのでしょうか。
AIを活用すれば、すべての営業提案の質が格段に向上します。その理由は、ほとんどの人がやりたくない作業をAIが非常に得意としているからです。

多くの人は、顧客と接したり商品を売ったりするために営業職に就きたいと思っており、あらゆる調査を行うことは、その仕事の中で面白い部分ではありません。ですから当社では「AIと人間の組み合わせ」のほうが優れていると深く信じています。
つまり、AIは人間の代わりになるものではなく、その大きな目的は、人間があまり好まないと思われる業務をAIに引き受けさせ、人間がより好きな仕事、つまり顧客と向き合う時間に充てられるようにすることにあります。
──HubSpotのトップ営業担当者は、AIをどのように“相棒”として使いこなしていますか?
トップ営業担当者にはBreezeアシスタントを利用してもらっています。実質的な商談アシスタントとなるエージェントを構築しました。このトップ営業担当者向けのエージェントは、対峙している顧客と似た他の顧客の事例を提示し、彼らが優れた顧客事例を確認できるようにするものです。
また、調査や商談の準備もエージェントが代行してくれます。メールの下書き作成もサポート可能です。このようにして営業担当者がミーティングの準備を整え、顧客がどの段階にあるかを理解できるよう支援しています。
10点中10点を求められるAI時代のスペシャリスト
──ここからは、人材像についてお聞きします。AI時代のカスタマーサクセス組織や営業組織において「スペシャリスト」と「ジェネラリスト」のどちらが重要か、ディックさんのお考えをうかがいたいです。過去にはポッドキャストで過度な専門化のリスクを語っていらっしゃいましたが、そのお考えは今も変わりませんか?
AIは、あらゆるものをさらに極端な方向へと押し進めている気がします。スペシャリストには依然として役割があり、世界には多くのスペシャリストが必要です。しかし、彼らにはより深い専門性が求められています。かつては、スペシャリストが10点満点中7点でも「非常に専門的」と見なされていたかもしれませんが、今では真のスペシャリストと認められるためには、10点満点中9点か10点である必要があります。
一方で、AIのおかげでより多くのジェネラリストが専門的なタスクを成功させられるようになっていると思います。私自身はジェネラリストですが、AIを使って非常にうまく仕事ができていると感じます。皆さんにもジェネラリストの道に進むことをおすすめしたいですね。ただし、ジェネラリストである以上、常に新しい分野に挑戦し、新しいスキルを身につけ、好奇心を持ち続け、学び続ける姿勢は不可欠です。
