メーカー営業組織が抱える「リベート管理」3つの課題
──リベート管理の複雑さは、日本のメーカー営業組織にどのような影響をもたらしているのでしょうか。
主に3つの課題が挙げられます。1つ目は「リベート条件の散在による確認負荷」です。
リベートの条件は商品や施策、取引先別に細かく設定され、複雑に入り組んでいます。それらをシステムで管理できている企業はごくわずか。営業担当者はPDFや紙で個別管理された契約書を探し出し、担当する卸・小売店のリベート条件や金額を手作業で管理しなければなりません。
なかには、営業担当1人あたり毎月2営業日分の時間をリベートの確認作業に費やしているケースもあります。提案活動の時間が削られてしまうのは、営業組織にとって大きな損失です。
さらに、2つ目の課題が「照合不足による過払い・支払いミスのリスク」です。リベートの条件や計算が属人化しているため、卸・小売店から届く請求書の金額が契約条件どおりかを十分に検証できないまま、支払いを済ませてしまうケースが散見されます。本来より多く支払っていても気づくことができず、売上計上時に見込んでいた利益が、リベートを支払ったあとに目減りしてしまうのです。
そして3つ目が「商品別・取引先別の実質的な粗利が見えない」という問題です。卸や小売店から「商品A、商品B、商品Cを合わせて総額●●万円」のように一括してリベートを請求されてしまうと、商品や取引先ごとの正確な収益が把握できなくなります。「実は赤字になっている商品が存在していても気づけない」という、営業戦略を検討するうえで大きなリスクを抱えることになるのです。

「次の一手が見えてくる」リベート管理の理想像
──日本のメーカーが持続的な収益成長を実現するうえで、理想的なリベート管理のあり方を教えてください。
リベートは売上確定から請求・支払いまで1〜2ヵ月程度のズレが生じるため、どうしてもフォーキャストが曖昧になりがちです。売上の見込みと発生するリベート、最終的な収益を事前にシミュレーションするためにも、まずは取引先と締結したリベート条件とリアルタイムの取引状況をデータベース化し、一元管理することが必要不可欠です。これは営業担当者によるリベート管理の効率化にもつながります。
さらに、リベート条件の定期的な適正化も重要です。メーカーや卸、小売は長年のお付き合いがある企業が多く、「20年前からリベート条件が変わっていない」というケースも珍しくありません。しかし、市場環境や取引量、取扱商品の構成は取引開始当時から大きく変わっているはず。収益を最大化するのであれば、変化に合わせてリベート条件も定期的に更新していく必要があります。
なお、リベート条件と取引状況をデータベース化する際は、取引先別・商品別で可視化しなければなりません。どの商品からどれだけの収益が生じたかまで正確に把握することで、具体的な改善策や次の一手をタイムリーに講じられるようになります。
この記事は参考になりましたか?
- この記事の著者
-
高橋 愛里(編集部)(タカハシ アイリ)
新卒で総合情報サービス企業に入社し、求人広告の制作に携わる。2023年翔泳社入社。SalesZine編集部に所属。
※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
この記事は参考になりましたか?
この記事をシェア
