NTTデータ経営研究所は、「企業活動におけるソーシャルメディアの活用状況」に関する調査を実施した。
ソーシャルメディア導入済みの企業が全体の約2割。企業活動におけるソーシャルメディア活用はまだ黎明期にある。現時点ではBtoC企業での導入が先行している(導入済み約3割)が、BtoB企業でも導入に前向きな回答割合が約3割と高いことから、今後BtoB企業での導入拡大が期待される。
販売チャネルとの関係では、ECサイトとの親和性が高いことはもちろん、リアルの実店舗を保有する企業でのソーシャルメディア活用も進んでいる。(他社店舗約33%、自社店舗約29%)。O2Oを意識した取組みも広がりつつあることがうかがえる。
導入目的は、「売上拡大(販売促進)」(12.9%)が最も多く、「ブランド力強化」(10.0%)、「顧客ニーズ等のマーケティングリサーチの高度化」(9.6%)、「顧客満足度の向上」(9.2%)、「顧客との長期的な関係の構築」(9.2%)など多方面にわたる。単なる広告・宣伝の手段だけでなく、マーケティングプロセスのさまざまな過程でソーシャルメディア活用に取り組んでいることが明らかに。
ソーシャルメディア導入が「成功した(成果が得られた)」と捉えている企業は全体の3割強。残りの6割強は「失敗した(成果が出ていない)」と捉えている。
ソーシャルメディア導入の成功要因で一番多かった回答は、「導入のタイミングが良かったから」(35.5%)。次いで「関連部署間の連携を緊密に行ったから」(31.6%)、「知識・ノウハウを持っている社員がいたから」(31.6%)、「業務プロセス・意思決定プロセスを改定したから」(30.3%)が続く。機会を逃さず迅速に意思決定すること、複数組織で緊密に連携を行うこと、専門的な外部人材の活用や適切な研修・訓練の実施、業務レベルやルールレベルでの仕組みの改善が重要であるといえる。
一方、ソーシャルメディア導入の失敗要因で一番多かった回答は、「ソーシャルメディアの特性を十分理解できず、適切な戦略を立案できなかった」という点(失敗企業の3割)であった。これが結果として個別機能の設計ミスを生んだと解釈することができる。
ソーシャルメディア導入の成功企業は、「顧客データ連携システム(ソーシャルCRM)の構築」(87%)、「複数組織による緊密な連携・共同運用」(85%)、「部門長レベル以上(「経営層(社長、役員)レベル」、「管理職(部門長)レベル」)での意思決定」(50%)、「適切な研修・訓練の実施」(85%)、「ガイドライン・ルールの策定」(90%)、「業務プロセス・意思決定プロセスの改定」(57%)、「専門的な外部人材の活用」(71%)など各項目への回答割合が失敗企業に比べ高いことが分かった。
クリック数などの表面的なKPI指標のみではなく、経営視点での戦略的な目標管理やクロスメディア戦略の実行も成功要因の1つと捉えることができる。ソーシャルメディアを活用したマーケティングモデルの設計当たっては、単なるメディア活用という枠を超えて、メディアの特性を理解したマーケティングモデル全体の再構築が要件となるといえる。
【調査概要】
調査対象:gooリサーチ登録モニター
調査方法:非公開型インターネットアンケート
調査期間:2012年9月18~24日
有効回答者数:1,029人
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