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「これまでのマーケティングリサーチは使えなくなる」
レイ・ポインター氏が示すリサーチの将来像とは?

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2012/11/29 10:00

 「No Surveys in Twenty Years ?(20年でサーベイはなくなる?)」というブログを発表して世界中のリサーチャーに衝撃を与えたレイ・ポインター氏が来日。マーケティングリサーチの4つの破壊的変化とその将来について講演を行なった。

マーケティングリサーチの4つの破壊的変化

 国際会議での講演、業界団体ESOMARでの活動などを精力的に行い、マーケティングリサーチの世界を30年ものあいだ牽引してきたレイ・ポインター氏は、2010年に「No Surveys in Twenty Years ?(20年でサーベイはなくなる?)」というブログ記事を発表して世界中のリサーチャーに衝撃を与えた。来日したポインター氏は、11月27日に開催された「次世代マーケティングリサーチ討論会」(JMRX、ボーダーズ共同開催)に登壇。萩原雅之氏(トランスコスモス・アナリティクス取締役副社長)を交えて討論会が行われた。

レイ・ポインター氏は現在、マーケティングリサーチテクノロジーの
Vision Critical社が主催するVision Critical Universityのディレクターを務めている
レイ・ポインター氏は現在、マーケティングリサーチテクノロジーの<br />
    Vision Criticalが主催するVision Critical Universityのディレクターを務めている

 ソーシャル・リスニングやビッグデータ解析など、従来のような調査で集めようとしなくてもデータを集められる時代。マーケティングリサーチも変化を余儀なくされている。ポインター氏は、ゲーミフィケーションやニューロサイエンスで伝統的なリサーチ手法を延命させることはできるかもしれないが、応急措置にすぎないと言う。

 氏は、マーケティングリサーチにおける「4つの破壊的変化」を紹介。そのうち、コミュニティ、MROC(Market Research Online Community)パネルが非常に大きな破壊をもたらすとしている。従来は、調査会社が顧客との会話をになっていたが、将来的には、ブランドや企業組織が顧客との関係を担うことになる。コミュニティをつくり、顧客とともに将来をつくっていく。「これは従来のマーケティングリサーチとまったく異なる世界なのです」と強調した。

 もうひとつの大きな変化が「SoLoMo」。Social(ソーシャルメディア)、Local(位置情報)、Mobile(モバイル端末)が結びつくことによって人々の行動を知ることができる。さらに、テキスト解析、そしてA/Bテストの技術がマーケティングリサーチに大きな変化をもたらすと指摘した。

 講演の最後には、こうした要素が統合されたマーケティングリサーチの将来像を提示。左右に、ビッグデータとソーシャルメディアという2つの柱があり、その間にはコミュニティがある。外側の大きなコミュニティに10万から50万規模コミュニティが内包される(今日のコミュニティより規模が大きい)。そのなかで、MROC、フォーカスグループが形作られ、調査や・クリエーション活動が行われる。氏は「こうしたマーケティングリサーチが近い将来現実のものとなるでしょう」と講演を締めくくった。

マーケティングリサーチ業界の危機感

 続いて、トランスコスモス・アナリティクス取締役副社長、萩原雅之氏が日本の現状を踏まえて講演を行った。氏がリサーチャーとしてのキャリアをスタートした日経リサーチが、世論調査ではじめて電話調査を行なったときのエピソードを紹介。当時のリサーチャーからは批判を受けたが、90年代に電話調査は普及し、2000年代にはインターネット調査が登場。「マーケティングリサーチの世界では、10年おきにイノベーションが起きている。そして今また新たなイノベーションが起こりつつあるのでしょう」と観客に語りかけた。

著書『次世代マーケティングリサーチ』(ソフトバンククリエイティブ)
でも知られる萩原雅之氏
著書『次世代マーケティングリサーチ』(ソフトバンククリエイティブ)<br />
    でも知られる萩原雅之氏

 しかし、電話調査の例を見てもわかるとおり、インターネット調査が10年、20年先にどうなっているかはわからないと萩原氏は言う。「ポインター氏が示した新しい消費者理解の方法が浸透すると、インターネット調査のうち一部のものは、コミュニティやソーシャルリスニングに移行するのは間違いない。新しいイノベーションに対応した知識や経験を積み重ねることが必要」と指摘した。

 また、ポインター氏が2010年3月に公開した「No Surveys in Twenty Years ?」と、その続編ともいえる、2011年12月の記事「No Surveys in 18 years !」を紹介。ほとんどのリサーチ会社が電話・郵送・ネットを問わず行なっている、調査票(クエスチョネア)をつくって回答を集める手法がなくなる理由を具体的に説明しているこれらの記事は、ぜひ一度目を通しておきたい。

レイ・ポインター氏が2010年と2011年に発表した2つのブログ記事
確実にカウントダウンは進んでいく
レイ・ポインター氏

 萩原氏は、もう一人警鐘を鳴らす人物を紹介。2011年のARF(Advertising Research Foundation)のカンファレンスで、P&Gのグローバル全体のマーケットリサーチの統括責任者であるジョアン・ルイス氏が基調講演を行ったとき「2020年までにサーベイリサーチを劇的に減らすことになるだろう」と発言。影響力のあるこうした人物の発言から、マーケティングリサーチ業界では危機感を募らせている。質疑応答では来場者から、ソーシャルメディア分析についての疑問や、若いリサーチャーとの考え方の違いについて質問が投げかけられた。

 レイ・ポインター氏は、次世代マーケティングリサーチのイベントを主催するNewMRの創設者でもある。来る12月3日から7日にかけて、ネットでバーチャルカンファレンスが開催される。参加希望者はNewMRのホームページ(http://newmr.org/)で登録を。

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