動画広告に広告費を投下する企業が増え、自動化されたシステムによって日々大量の動画広告が配信されるようになった。その一方で、動画再生の質が問われている。米国では、巧妙な手法で広告主を欺く「Ad Fraud(広告詐欺)」がメディアの注目を集めている。
広告配信ソリューションを提供する米Sizmekは、こうした状況を踏まえて、検証ツールを自社開発。7月中旬にリリース予定の「Sizmek Video Verification」(ベータ版)を使って、はじめて行われた検証結果を発表した。
2014年1月から5月に配信された多数の広告主の動画広告のインプレッションを検証したところ、12億3000万のインプレッションの28%がネガティブなコンテンツを持つページに配信されていた。さらにインプレッションの12%が、非動画環境(インバナー広告、リッチメディアビデオ、サムネイルサイズの動画プレーヤー)に配信されており、ほとんどの広告費が無駄になったとしている。
Sizmek Video Verificationは、ひとつのダッシュボードで、動画広告キャンペーンのクオリティを「ブランドセイフティ」や「ページのコンテキスト」といった観点から確認できる。とくに動画視聴環境については、動画プレーヤーの位置やサイズ、複数プレーヤーの検知、非動画ページや自動再生ユニットの検知が可能となっている。
Sizmek Video Verificationのベータテストに参加したエージェンシー、HAVASのアナリティクス・リサーチ担当役員は、「広告主は動画広告がページの中央にあるプレーヤーで再生されていると思っているが、実際にはそうした在庫は限られている。その結果多くの広告ユニットはディスプレイバナー広告枠に配信されている。これらは多くの場合、ユーザーが動画を再生しなくてもいい、単なる“自動再生”である。広告主は動画広告がどのように再生されたかを知らずに、広告費を支払い続けている」と語っている。
つまり、この調査では広告在庫として有望視されている、インバナー広告を動画広告枠として疑問視している点に注意が必要だ。
AdAgeは先月、"Ad-Fraud Operation Fools Detection Companies, Nets Millions"という記事で、手口が巧妙になり、検証ツールが機能しない場合もあると指摘。その記事では、1ピクセルの小さなウィンドウを使った広告詐欺の手口を動画で見ることができる。
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