「価値あるインプレッション」の真価
小林:広告をクリックする人が非常に少ないということは、オンライン広告が機能していないということになりがちですが、「価値あるインプレッション」は、クリック発生の有無に関わらず、サイトへの来訪が後になって増える場合があります。バナーを見たことによる認知効果によって、ブランドを想起させる検索キーワードでの流入が増えることも確認されていますね。
男澤:2014年に弊社がヨーロッパで実施した調査では、CTR値が非常に低いにも関わらず、ブランドにとってプラスのキャンペーン結果が生じたことがわかっています。オンライン広告のキャンペーンを閲覧したターゲットは、閲覧していないターゲットに比べて広告主のサイトへの訪問数が平均で52%多く、検索用語の使用が49%増加したことがわかっています。つまり「C」の指標で検証を続けていると、このような効果に気づかないまま改善を進めてしまうリスクがあるわけですね。

米国に根づく「ターゲットリーチ」という指標
小林:さて、今まで「価値あるインプレッション」についてお話してきましたが、デジタル広告が商材に適した真のターゲットに広告を配信していたかを「ターゲットリーチ」という指標で計測するのも海外ですよね。
男澤:コムスコアでは世界200万のパネルに対し、「ターゲットリーチ」出来たか否かの調査をかけています。データを提供するパネルは「推論した人」ではなく、「実在する人」ですので高い確率で検証が出来るのです。
先ほどお話した「人・面(メディア)・枠」の観点から、現在配信されている広告がブランドの望む「価値あるインプレッション≒ターゲットリーチ」になっているかを検証すること、その行為が、今回のテーマでもあるアドベリフィケーションのツールの活用になります。
実在するパネルがあることで、ターゲティングを行う際に、データの精度が格段に上がります。例えば日本でのデジタル人口では統計的に5,000ものパネルがあれば理論上足りますが、当然ながらパネル数が多ければ多いほうが、よりバラエティに富んだユーザー行動を取得できることは明らかです。
小林:まとめると、「ターゲットリーチ」を測定するには、正確な分析をするのに耐え得る十分なパネル数、オーディエンス数を保持する会社を選ぶことが大事である、と。一方で、パネルを持たない会社、極端にパネル数の少ない会社では、正しいレポート結果が出てこない可能性が高い、ということですね。