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MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

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MarkeZine Day 2026 Autumn(2026.09.08-09)

小売のAI活用 ~業務効率化からエージェンティックコマースまで~

AIで「1人あたり売上8億円」の組織を作るには?「Yunth」展開のAiロボティクス、急成長の裏側

SELLが担う「広告の自動化」と自社ブランド展開への決断

──具体的に、SELLは広告運用のどの部分を自動化しているのでしょうか。

 たとえばクリエイティブは、SELLが何百、何千という単位で生成します。パフォーマンスの良かったものが残り、悪かったものは止まる。止まった枠には新しいクリエイティブが生成され、また競い合う。これを自動で繰り返しています。ただ、すべてを自動生成に任せているわけではなく、あえて人間が持つ発想力、独創性をデザインなどに生かしたクリエイティブを武器として使うこともあります。

──媒体側にも、配信を最適化する仕組みはありますね。

 厳密に言えば、A/Bテスト自体は媒体側に元々組み込まれていて、リアルタイムで取得できるコンバージョンデータに対して最適化させることで、クリエイティブとオーディエンスの調整を自動で行うことができます。

 我々はそこに、各媒体のAPIと連携する形で、自社で蓄積したデータや運用ロジックを重ねています。広告運用は、クリエイティブ1つとっても、掛け合わせる記事やLP、その後のパフォーマンスまで見ると組み合わせは膨大です。そこをSELLが担っています。

──SELLの成熟によって、自社ブランドの展開に踏み切った?

 はい。学習データ量が十分になり、精度が高まったSELLを活用すれば、急速に成長できると確信し、2021年に自社ブランドを立ち上げました。その段階でマーケティング支援事業も幕引きし、自社ブランドに注力しています。

 現在は、自社商品のデジタル広告を多く出稿し、デジタル上で生活者との接触回数を増やしています。多くの企業はコストの問題から我々ほどの広告投資はしませんが、我々はSELLによって認知獲得までを含めた利益設計ができるため、認知の量までコントロールできるのです。

美容市場の91.2%を占める実店舗へ。18億円を投じたAI×ID-POS戦略

──そうしたなか、2026年3月期には店頭POSデータマーケティングに18億円を投資しています。なぜでしょうか。

 EC領域では、ある程度のシェアを取れたと感じていました。一方で、美容市場のEC化率は8.8%程度、残る91.2%は店頭・卸販路です。そこを取りにいかなければ、自社商品の成長には限界があります。ただ、店頭では「誰が広告を見て、店舗で購入したか」といった分析をECのように完全には追えません。

 そこで着目したのが、地域単位で広告と購買データを比較する方法です。SELLを用いたマーケティングを、店頭でもできないかと考えたのです。たとえば、特定の地域に広告Aを配信し、条件が近い別の地域には広告Bを配信する。その後、各地域のドラッグストアやバラエティストアからID-POSデータを取得し、売上への影響を比較します。

 検証に際し、特にこだわった部分が「検証地域の選定」でした

 たとえば、「東京都港区と地方都市」のような前提条件が異なる地域を選定して検証しても、当然有益なデータを得られません。当社では、卸売上を飛躍的に伸ばすと意思決定したその日から膨大なID-POSデータを事前に収集し、地域の特性だけでなく気候変動や各店舗の立地条件などから類推されるPOS変動の特性を精緻に分析し、限りなく同質な地域同士を検証地域として選定しました。

 いわば、ECで行っていたA/Bテストを実店舗に持ち込んだ形です。

 店頭販売では、プラットフォーム側のコンバージョン最適化を活用するのではなく、クリック最適化やリーチ最適化のような中間指標ベースの運用で、類推される想起集合(=当社製品の購入見込み層)のボリュームと、ID-POSデータから取得できる実際の購買数値を都度突合しながら、リアルタイムで検証を行っております。

 この投資を行ったことにより、利益は当初計画の48億円に対し38億円で着地しましたが、卸売上自体は前年比約6.2倍となりました。

店頭卸販売でのSELL活用。店舗エリアごとの広告最適化、ID-POSで店頭購買を計測、全国展開・配荷チェーン拡大という3ステップの図
ECで培った広告最適化を店頭へ拡張。エリア単位の広告最適化とID-POS計測をSELLで回す
出典:Aiロボティクス「2026年3月期 決算説明資料」
(クリックすると拡大します)

──加えて、プロ向け化粧品メーカーのBJCを2026年4月に約257億円で買収しました。オフライン展開をさらに加速するうえで、これはどのような意味がありますか?

 BJCはまつ毛美容液の「ラッシュアディクト(Lashaddict)」、ファンデーションの「V3」などを展開し、美容室やエステサロンといったプロフェッショナル向けの販路に強みを持っています。

 当社がこれまで主に扱ってきたドラッグストアや家電量販店とは、異なる販売チャネルです。美容室を1つの販売店と捉え、どの店舗で何が売れるのかを把握できれば、SELLによって両社の収益を拡大できると考えています。

 BJCは既に約4万店舗のサロンと提携しています。今後は、同社の商品だけでなく自社商品も投入し、提携店舗を約8万店まで拡大する計画です。

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1人当たり約8億円。AIを前提とした組織の条件

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この記事の著者

島田 涼平(シマダ リョウヘイ)

食品専門紙の記者としてキャリアをスタートし、同時に農林水産省に拠点を置く記者クラブにも所属。時事ネタからスポンサードコンテンツまで担当し、官庁・民間企業問わず取材を行ってきた。その後、紙媒体からWeb媒体への転身を決意。比較系Webメディアのコンテンツ制作を経験後、2022年からマーケティングを中心とした経済メディ...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2026/08/06 08:00 https://markezine.jp/article/detail/77097

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