広告効率の劇的改善。「Makuake」のクリエイティブを一般販売へ
菊地:「Makuake」でのリブランディング成功の後、自社サイトを中心とした一般販売の反応や市場のリアクションには、どのような変化がありましたか。
山口:1番強烈な変化として現れたのが「Web広告パフォーマンス」の劇的な向上です。元々「Makuake」というプラットフォームは、自分たちで広告を出さなくてもプラットフォーム自体にものすごい集客力があります。そのため、当時の私たちにとっては「良い商品さえ作ることができれば、出せば自然と売れる」という感覚がありました。しかし、プロジェクトが終了して一般販売となった瞬間に、その強力な集客プラットフォームは使えなくなります。名もなき新しいブランドを購入していただくためには、自社で広告をかけて売るしか道はありません。
それまでの3年間は、何度自社で広告運用を試みても投資対効果が全く合いませんでした。当時は顧客獲得単価(CPA)が商品の粗利益を大きく上回ってしまい、売れば売るほど赤字になる構造だったのです。それが、コンセプトを「セルフレジ専用」に変えただけで、広告運用の獲得効率が劇的に改善しました。

菊地:それは素晴らしいですね。1個売るごとにしっかり粗利が残る構造ができたことで、ようやく事業として一般販売のアクセルを強く踏めるようになったのではないでしょうか。
山口:はい。この時、私たちは「Makuake」のプロジェクトページを作る段階で、表現できる最大限に良いものを追求して作り込んでいたので、そのページ構成やコンテンツをそのまま自社ECのランディングページ(LP)として移植し、広告の遷移先として活用しました。「Makuake」という信頼性の高いプラットフォームで磨き上げ、多くのサポーターに深く共感されたという圧倒的な実績が強いエビデンス(証拠)として機能したため、自社ECでの一般販売でも獲得効率を落とさずにアクセルを踏み続けることができました。
毎月160本のクリエイティブ検証を泥臭く追求する
菊地:リブランディングを経て、売上全体の数字はどのように推移していったのでしょうか。また、その急成長を支えるマーケティングの体制についても教えてください。
山口:数字の変遷をお話しすると、リブランディングを行う前(2023年)の年商はわずか350万円ほどでした。それが2024年に「Makuake」での1,700万円の実績をきっかけに一般販売が加速し、その年の年商は約1億円にまで跳ね上がりました。さらに、2025年から2026年にかけてのこの1年間で、年商は一気に6億円規模へと急成長を遂げました。そして現在は月商2億円(年商換算で24億円)のペースで進んでおり、今年は年商20億円という大台を十分に狙えるフェーズに突入しています。
この爆発的な成長を支えているのは、泥臭い「広告クリエイティブの検証」です。どれほど優秀な広告クリエイティブであっても、時間の経過とともに必ずユーザーに「見飽き」が来ます。スタートダッシュが良くても、既存の訴求だけでは売上を右肩上がりに維持することが難しく、獲得効率(CPA)は徐々に悪化してしまいます。
私たちはその摩耗を克服するため、現在「毎月160本」という本数の新しい広告クリエイティブ(動画や画像など)を自社で制作し続けています。常に新しい訴求を投入し、数値データを見て素早く差し替え、より生活者に伝わる表現へとブラッシュアップし続けるサイクルを一瞬たりとも止めずに回しています。商品そのものは間違いなく素晴らしいのに、それを「現代のSNSを使って生活者に適切に伝えるノウハウ」を持っていないがために埋もれているメーカーは非常にもったいないと感じます。私たちはネットでの正しい届け方を徹底的に追求した結果、この急成長を作ることができました。
