年中行事の縮小に立ち向かう。日常に寄り添う「新ギフト需要」開拓
━━売上のほぼすべてがギフト需要とのことですが、新規顧客の開拓に向けた取り組みはいかがでしょうか。
現在、ギフト市場全体において「お中元」や「お歳暮」といった伝統的な年中行事の需要は縮小を続けており、当社でもこれらの売上は緩やかに下がり続けているのが現状です。そこで私たちは、よりカジュアルな「日常のギフト需要」をいかに取り込んでいくかという点に本腰を入れてチャレンジしています。

━━具体的には、どのような新しいギフトの提案を行っているのですか。
まず着目したのが「お誕生日」です。「お誕生日カード付きの商品」やメッセージ入りの「チョコプレート付きの商品」を充実させました。さらに、一番の売れ筋である「銀座ゼリー」のパッケージ中央のシールを「ハッピーバースデー仕様」に変更した特設ページを作ったところ、非常に高い売上を記録しています。
また、「内祝い」の需要開拓にも力を入れており、サイト上に見やすい特集ページを組むことで年中行事の閑散期でも安定して売れるフックを作れています。
━━言葉の選び方や見せ方を変えるだけでも新しい需要を喚起できるのですね。
そうですね。お中元を「サマーギフト」と言い換えたり、「オータムギフト」という言葉を定義したりと常に新しい仕掛けを試しています。こうした新需要の認知拡大にはInstagramやLINEといったSNSの運用が大きな役割を果たしており、外部広告に多額の予算を投じるようなプロモーションはあえて行っていません。
若い世代の方々に向けて、SNSを通じて地道なブランディングを行うことこそが未来の新規顧客開拓につながると信じています。
実店舗のノウハウをWebへ。購入率2.8倍を叩き出す商品説明と動画
━━ECサイトの顧客体験を高めるために、Webサイト上ではどのような工夫をされていますか。
今最も力を入れているのが「実店舗の接客現場が持つ高度なノウハウを、いかにECサイトの画面上に移植するか」という取り組みです。実店舗の販売員がお客様の前で語っているような専門的なエピソードを、そのままECサイトの商品説明文に反映させています。
以前は仕入れ担当や銀座本店のスタッフから産地情報を共有してもらっていましたが、最近では私自身が直接産地に赴き、生産者様へインタビューした「生の声」を落とし込むようにしています。
たとえば「天照(あまてらす)」というイチゴは、生産者様が土の健康診断を行い、地下水を使って徹底した環境で栽培されています。そうしたこだわりやストーリーを直接聞き、極上のものだけを納品していただいている背景を丁寧に伝えています。
また「みかん」の紹介でも、単に「甘くて美味しい」と書くのではなく、「水はけが良い絶妙な真ん中エリアの木から収穫されたみかんだけを厳選している」といったロジックを、20秒程度で読めるテキストにまとめて訴求しています。これによりお客様の納得感が格段に高まっています。
━━ビジュアル面や、写真・動画などのクリエイティブに対するこだわりはいかがですか。
フルーツの魅力を伝える上で、「季節感」と「シズル感」の表現は最重要です。そのため、上尾の物流拠点内に自社専用の撮影スタジオを開設し、週に1回ペースで撮影を行っています。実は常務が発起人で、メインビジュアルの撮影には自ら立ち会うほど力を入れています。
直近の大きな成果として「動画活用」が挙げられます。商品ページにフルーツをカットしている短い動画を配置していますが、果物は切ってみないと内部の状態がわからないため、少しでも色のくすみがあれば妥協せずNGにするなど、色味やみずみずしさには徹底的にこだわっています。さらに、オレンジの皮を器にしたカット方法を紹介するなど、見た目にも楽しめる「食べ方の提案」まで含めて表現しています。
動画はショート動画コマースツール「Whatmore(ワットモア)」で配信
サイト内で動画を視聴したお客様の購入率は、見ていないお客様と比較して「2.8倍」という数値を叩き出しており、さらに拡充を進めています。
