WPP傘下のGroupMは、同グループが保有するメディアコミュニケーションエージェンシーのパフォーマンスを最大化するためのメディア投資を行う企業。同社の取扱高は2012年7月時点で908億ドル(RECMA調べ)、グローバル市場の占有率は32.7%(2位はPublicisの23.1%)で、世界最大のメディアバイイングネットワークである。
8日、動画広告ビジネスに特化した動画サイト「Beet.TV」が、GroupMの北米デジタル投資の主任担当役員であるAri Bluman氏の談話を紹介。2014年の終わりまでに、同社が抱えるすべてのブランド企業がオープンなアドエクチェンジから広告在庫を買うことはなくなり、プログラマティックな取引は100%(パブリッシャーとの)プライベートな取引になるだろう語っている。
Wall Street Journalの「CMO TODAY」もBluman氏にインタビューし、「広告詐欺(ad fraud)」、すなわち、アドエクスチェンジが関与して不正な広告支払を発生させていることへの懸念が看過できない状況であることを明かしている。
広告業界情報サイト「AdAge」によると、GroupMの動きには広告取引市場での権力争いの側面もあるようだ。世界1位のバイイング力を持つGroupMと膨大な広告在庫を提供するアドエクスチェンジ。しかし、Google、AOLといったアドエクスチェンジ運営企業は、すでに多くの優良メディアと手を組んでプライベートエクスチェンジを運営している。GroupMが今後どのように広告の品質と効率性を維持していくのか注目される。
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