WPP傘下のメディアバイイング企業GroupMと、メディア調査分析サービスを提供するKantar Mediaがパートナー契約を結んだRentrakは、米国を拠点として映画の興行収益、テレビやインターネットの視聴率の調査サービスを提供している。
今回の合意によって、Rentrakは、WPPからKantar Mediaの米国テレビ視聴率調査事業を取得し、その見返りとしてWPPはRentrakの普通株式9800万ドル分を受け取る。WPPはまた、Rentrakから5600万ドルの株式をキャッシュで直接取得。これによってWPPの最終的な株式保有率は16.7%になる。
Rentrakは、測定可能なデバイスの全数調査をベースにしたテレビ視聴率情報(census-based television viewership)を提供(※)。1億台以上のテレビと各種デバイスから得た視聴率情報を、プラットフォーム、デバイス、ディストリビューション・チャネルを横断する消費者行動および購買情報と統合して展開している。計測範囲は、テレビ放送、録画番組、ビデオ・オンデマンド、複数チャネルの有料/無料、録画、ダウンロード、ストリーミングによるコンテンツと幅広い。
今回のパートナーシップ締結によって、Rentrakはテレビ視聴率調査を、デジタルメディアと購入データにフォーカスしたKantarのいくつかのサービスと統合。消費者理解のためのツールとして、米国の広告主、エージェンシー、テレビネットワーク、地方テレビ局に提供する。
GroupMは、Rentrakのデータとテクノロジーを使って、消費者データと大規模なテレビ視聴情報を統合し、中立的な全数調査レベルの次世代調査の実現へ向けて動き出す。
GroupMのグローバル・チェアマンである Irwin Gotlieb氏は、「チャンネルが急増したことによってオーディエンスは断片化され、従来のサンプリングによる調査手法はその状況に追いついていない。テレビの調査は全数調査をベースにした方法論に移行すべきだ」とコメントしている。また、同社の北米におけるチーフ・インベストメント・オフィサーであるRino Scanzoni氏は、「われわれはメディアの効果と価値を高めつつ、精度とアカウンタビリティをさらに高めるために、テレビのターゲティングをより洗練させる。そのとき、Rentrakのデータの活用は戦略的に重要なものとなるだろう」と語っている。
※編集部注 公開当初、「census」を「国勢調査」と訳していましたが、萩原 雅之氏(トランスコスモス・アナリティクス株式会社 取締役副社長)のご指摘により「全数調査」に修正しました。また、censusの意味については、Wikipediaの「国勢調査」の解説が参考になるとアドバイスをいただきました。修正・付記するとともに、萩原氏に感謝いたします。
なお、国勢調査は外来語としてセンサスとも言われる。「センサス」(英: Census)とは、より一般的な意味では、母集団(調査対象全体の集団)の全数を調査するもの、すなわち「全数調査」を意味する語として用いられ、母集団のうちの一部を抽出して調査する「標本調査」と対比される概念である。人口及び世帯に関する全数調査としての国勢調査のことを厳密に英語で表現する場合には、"Population Census" 又は "Population and Housing Census" と呼ばれる。(Wikipedia「国勢調査」より)
(2014.10.14 10:22、15:25 更新)
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