近年、ユーザーの動画視聴環境が急速に整備され、動画コンテンツのトラフィックが急速に増加している。これまで、メディアの情報発信や企業サイトでのユーザーとのコミュニケーションを図る手段として、テキストコンテンツが主体であったのに対し、動画コンテンツを採用することが、企業の業種・規模を問わず普及しつつある。そこで、デジタルインファクトでは、オンライン動画配信システムに関する現状動向を調査し、2018年までの市場規模の推計・予測を行った。
なお、本調査における「動画配信システム」とは、動画配信プラットフォーム及び、これを提供するにあたり必要となるPaaS、CDNサービスの利用金額も含む。また、大手メディア向けのカスタマイズ、メンテナンス費用も含む。
2014年の国内オンライン動画配信システム市場規模は62億円と推計
2014年の国内オンライン動画配信システム市場規模は62億円(対前年比116%)と推測され、国内オンライン動画配信システム市場は順調に拡大したといえる。この背景には、放送局によるインターネットでの動画配信が本格的な普及期を迎え、またニュース・情報サイトによる動画コンテンツによる情報提供が進みつつあること。また、教育企業や製薬企業などが、これまでテキストやオフラインでステイクホルダーに対して提供してきたコンテンツ提供形態の動画化が進み、動画配信システムの導入も積極化しつつあることが挙げられる。
今後は、大手メディアによる動画コンテンツのオンライン上での配信がさらに活発化し、収益モデルが確立されることにより、動画配信に対する投資がさらに活発化することが予想される。
また、一般企業におけるユーザーや取引先、投資家などのステイクホルダーとのオンライン上でのコミュニケーションにおいて、動画コンテンツの利用がさらに広がることが予想される。これらを背景に、動画配信システム市場は今後も堅調に拡大することが予想され、2018年には104億円に達することが予想されます。
動画を活用しているのは24%
事業所勤務者12,440名に対して実施したアンケート調査によると、回答者が所属する事業所で「現在動画を活用している」のは、全体の24%だった。また、現状においては、「動画の活用は全く考えていない」が66%の結果となった。
次に、現在も含め、動画の活用経験があるとした回答者のうち、所属する事業所において利用された実績のある動画配信システムについて尋ねたところ、有料配信サービス・プラットフォームの活用経験があるという回答は、全体の15.5%だった。なお、活用経験の割合が最も多いのは、YouTubeなどの無料動画サイトで全体の39.2%となった。
また、有料配信サービス・プラットフォーム利用者による活用経験の割合では、Jストリーム(J-Stream Equipmedia、J-Stream MediaLize等)が最も多く、全体の54.2%だった。次いで、NTTスマートコネクト(Smart STREAM、Mediatope)が、全体の42.8%となった。
市場は中長期的に堅調な成長を続ける
直近数年間は、大手メディアによる動画ビジネスへの参入が進むことにより、金額規模で高い成長率で推移することが予想される。また、一般企業による自社サイトでの動画コンテンツの活用も進むことが予想されるが、有料の動画配信システムがさらに活用されるには、セキュリティー機能やカスタマイズ機能、分析機能などにおいて無料動画サイトにはない付加価値が求められると考えられる。
大手メディアの動画ビジネス拡大と、一般企業における普及が進むことにより、動画配信システム市場は中期的に堅調な成長を続けると予想される。
【調査概要】
調査対象:国内オンライン動画配信システム市場
調査期間:2014年12 月~2015 年1 月
調査方法:動画配信サービス事業者への訪問ヒアリング、Webアンケート調査、調査主体ならびに調査期間が保有するデータ、Web 等公開情報収集等
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