ニールセンは、スマートフォン視聴率情報および、PC版インターネット視聴率情報の2015年11月データをもとに、日本におけるVOD(Video On Demand)の利用状況を分析し、結果を発表した。
2015年11月の各VODサービスの利用者数をみると、TV局系のVODはPCから139万人、スマートフォンから532万人、また、在京民放5社が連携したVOD「TVer」(ティーバー)は、PCから57万人、スマートフォンから251万人に利用されていた。一方で、定額制のVOD(Subscription based Video On Demand:以下、SVOD)はPCから269万人、スマートフォンから781万人に利用されていた(SVODは利用者数上位5サービスを集計)。両サービス共にスマートフォンからの利用者数がPCを大きく上回る結果となった。
スマートフォンからの各VODの利用者数を昨年と比較すると、TV局系のVODは全体の利用者数が約10倍に増加しているのに対して、SVODは全体の利用者数は大きな変化は見られなかった。一方で、月間利用時間が5分以上の利用者数の推移をみると、TV局系のVODは117万人増加、SVODは67万人増加していた。平均利用時間でみても、TV局系は2014年11月時点では2分であったのが2015年11月には12分に、SVODでは5分であったのが31分に増加していた。
次に、スマートフォンからのSVODの利用者数上位3アプリの重複利用状況をみると、総利用者数201万人のうち、2つ以上のアプリを利用している人は5%で、残りの95%は1つのアプリだけを利用していた。
この結果に対し、同社シニアアナリストの高木史朗氏は次の良ように見解を示した。「スマートフォンに注目すると、TVerのサービス開始で、TV局系のVODは、全体の利用者数が大きく拡大していた点は注目すべきでしょう。ただし、NetflixやAmazonプライム・ビデオなどが昨年サービスを開始したものの、SVODでは利用者数は増加していません。今回の調査では、PCとスマートフォンに限りましたが、他のスクリーンからの利用状況も含めて、SVOD自体に関心のある人がどの程度増えていくのか、注視していく必要があります。その際、広告モデルのサービスと定額制のサービスの料金形態に対する消費者の意識にも注意が必要です。
また、各種サービスの重複利用者数が少ない点も注目すべき点です。アメリカでは、SVOD利用者のうち2サービス以上利用している人が30%以上を占めています。競合との差別化のために、各社がオリジナルコンテンツの制作に力を入れていることが、重複利用を促進していると考えられます。今後日本市場においても、オリジナルコンテンツが増えていくことで、複数サービスの加入が増えていく可能性はあります。動画視聴サービスの運営企業にとっては、市場全体の利用者数に加えて、複数サービスの重複利用状況も把握していくことが重要です」
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