三井住友カードは、保有するキャッシュレスデータ(※)をデータ分析支援サービス「Custella(カステラ)」を用いて集計、新型コロナウイルスの感染拡大がもたらす消費行動の変化を顧客時間と共同で分析し、そのレポートを公開した。
なお分析は、三井住友カードが発行するクレジットカードのデータを基に、個人および利用店舗が特定されないよう個人情報保護法および関連法を順守し、同社において適切な加工・統計化処理を実施したデータで行われた。
※三井住友カードが保有するクレジットカード等による取引等に関する統計データ
高年齢層が実店舗からECにシフト
新型コロナウイルスは高齢者の重症化リスクが高いとされるなか、高年齢層(60~70代)の行動がどのように変わったのかを検証した。「ECモール・通販」のシェアにおいて、日常的にECモール・通販を利用しているとされる20~30代よりも、高年齢層における増加幅が大きいことがわかった(下図の※16)。ECモール・通販の増加幅が「スーパー」を上回っていることからも、高年齢層が自らの身を守るために、外出を必要としないECモール・通販を活用している消費行動の変化が推測できる。
生活必需品取り扱い業種や、巣ごもり消費によるEC・通販が増加
3月の業種別決済件数・金額の前年伸び率では、「ホームセンター」「スーパー」など、生活必需品を取り扱う業種が決済件数・金額ともに前年から大きく伸長している(下図の※10)。また、「ECモール・通販」「ペット関連」「通信サービス」の伸びは、小中高校等の休校や出社・外出自粛要請等にともなう在宅時間増加により、「巣ごもり消費」と称される消費行動が窺える。
決済件数の増加に拘わらず決済総額が減少した5業種(「ディスカウントショップ」「家電量販店」「ドラッグストア」「家具・インテリア」「健康食品」、下図の※11)では、たとえばテレワークのために家電量販店でPC周辺機器、家具・インテリア店舗でデスクやチェアを購入のように、日々変わる状況下、突発的に準備を要するものを都度高頻度で来店して購入する(従って単価も低い)消費行動が想像される。
一方で「レジャー施設」「旅行代理店」「美術館・博物館」「映画・劇場」「交通関連」などの落ち込み(下図の※12)は、企業自らの営業自粛や、顧客の「三密」回避の行動変容を如実に現していると言える。
アパレルでは機能性を重視した選択に変化
決済金額伸長業種での、20~30代の「スポーツブランド」の伸長(下図の※17)からは、テレワーク推奨によるアパレルに対する消費行動の変化を捉えることができる。働き方の変化が、現実の場で人と会うことを重視したファッション性優先のアパレル選びではなく、「体に負担をかけない」「長時間座っていても楽」などの機能性重視でスポーツブランドを選ぶようなアパレルの選択基準にも影響を及ぼしている。
4月に入り玩具・娯楽品が著しく伸びる
4月7日の緊急事態宣言以降、4月8日週の週別業種別傾向では、さらなる在宅勤務増にともなうテレワーク関連消費と呼べる「通信サービス」や「家電量販店」、「ECモール・通販」の伸長だけでなく、「玩具・娯楽品」の伸びが著しく、買い物の質も変化していることがわかる(下図の※18) 。
世代別の決済金額伸長業種ランキングでも、玩具・娯楽品が全体および20〜40代での伸長率1位(下図の※19)になっている。同業種にはゲーム機・ゲームのダウンロード購入・スマホゲームの課金等も含むため、これまでの必需品中心の消費行動から、外出自粛の長期化も視野に入れた、家中での余剰時間を充実して過ごす目的への消費行動変化の現れでもあると言える。
【調査概要】
調査主体:三井住友カード、顧客時間
調査手法:三井住友カードの保有するキャッシュレスデータを、データ分析支援サービス「Custella(カステラ)」を用いて集計
調査時期:2020年1月〜4月15日
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