顧客の成功につながらない売り方では、誰の成果にもつながらない
4つの要素をひとつずつ見ていく。まず、異なる接点における体験の一貫性が顧客に影響を及ぼすため、すべてのチームが同じ方向を向き、顧客に対して矛盾のない、価値のあるかかわり方をしていくことが重要になる。次に、顧客中心の視点に立ち、「優れた顧客体験を提供するためには何が必要か」を1人ひとりが考えたうえで戦略を立て、連携させていくことが求められる。
チームと戦略の連携が実現できていても、その戦略を支えるシステムが整備されていない限り戦略を実行することは難しい。システム連携は「顧客とのコミュニケーションで摩擦が発生することを避ける」という大きな役割も果たすため、欠かせないポイントとして言及された。
「しつこいDMや、問い合わせした際のたらい回し、担当変更時の申し送りの欠落など、コミュニケーション上の摩擦から生まれたネガティブな印象は、マイナスの経験として顧客の心に残ってしまう。それらの摩擦を減らすためにも、システムの連携は重要です」(亀山氏)
また、インセンティブの仕組みも言及された。「個人より部門、部門より会社、会社より顧客の成功を重視する」という考え方が共有され、確立されているHubSpot。たとえば営業部門では、新規契約の受注後にコミッションを受け取ることができるが、その後一定期間内に解約された場合、コミッションを返納しなければならない――顧客の成功につながらない売り方では、部門の成功にも個人の成果にもつながらない、という考え方が根づいている。
「アートとは、顧客に対する向き合い方や顧客体験に関する価値観を定め、それらを正しく組織に根づかせるための工夫を指します。一方、サイエンスは部門横断で優れた顧客体験を提供するための方法論。どちらが欠けても優れた顧客体験を提供し続けることはできない。そして、取り組みを通してあらゆる顧客接点におけるコミュニケーションの摩擦を減らすことこそが、優れた顧客体験の提供への王道になるのです」(亀山氏)

セッションの後半では、「アート」「サイエンス」を実践しているHubSpotユーザーとして、パーソルイノベーションSync Up セールス・マーケティングの山本翔平氏が登壇。パーソルグループの新規事業開発を担当するパーソルイノベーションで、山本氏はアルバイトを抱える飲食業や小売業向けのクラウド型シフト管理サービス「Sync Up」事業を担当する。
「Sync Upがホワイトな働き先の目印になることで、『Sync Upが入っている職場は働きやすい、自分らしく働くことができる』と言っていただけるようなサービスを目指しています」(山本氏)

山本氏は、冒頭で自社に生じた事業環境の変化、そして市場の変化を説明。「コロナ禍でお客様は店を開けられず、空けてもアルバイトをシフトに入れられない。他方で、自社ではグループが運営していた求人サイト『an』が撤退するなど、それまで依存していたグループ内営業チャネルからの顧客流入が途絶えてしまった」と課題が語られた。
そうした厳しい状況の中、Sync Upでは手探りながらもマーケティング組織を立ち上げることで顧客接点の再構築を図るとともに、サービスの価値や顧客にとってのサービスのメリットの見直しが行われた。この過程で強く意識されたのが、「顧客視点の重要性」であった。
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石田仁志(イシダヒトシ)
IT系フリーライター、記者。IT系の業界紙で記者として15年活動、編集部門のトップを経てフリーに。エンタープライズ系からTech系、組込み系まで幅広い領域を取材。
※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社
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