SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

直近開催のイベントはこちら!

Retail & Commerce Standard 2026 powered by MarkeZine & CommerceZine

ECビジネス・スタンダードの再定義

メルマガ・LINEの成果はどう測る?CRM経由の売上を「因数分解」して次の一手を明確にする方法

兒嶋 仁視[著]

ステップ配信は、目的と顧客フェーズをそろえて比較する

 会員登録や初回購入を起点に、あらかじめ設計したスケジュールで自動送信する「ステップメール(シナリオ配信)」も、基本的には同じ指標でモニタリングできます。ただし、評価基準は配信の「目的」と「顧客フェーズ」に応じて切り替える必要があります。

 初回購入直後に届く「商品の正しい使い方・ブランドストーリー」の案内と、消耗品の使い切り時期に送る「リピート購入」の案内では、メッセージの役割も顧客に期待する行動もまったく異なります。これを一律に「売上」や「CVR」の高さだけで優劣をつけてしまうと、顧客体験を損なう原因になります。

 ステップ配信を評価する基本は、「自社の同じシナリオ・同じステップの過去実績」との比較です。その際も、対象顧客の属性、購入からの経過日数、対象商品、オファー内容、計測期間などの条件をそろえて検証します。一斉配信の平均値との単純な比較では、施策固有の改善点を判断しづらくなります。

 1通ごとの反応率に加え、「シナリオ全体を通して最終的に何%がリピートしたか」「初回購入から2回目購入までの日数がどう短縮されたか」といった累積視点の指標もあわせて追うことが大切です。

指標のトレードオフを理解し、全体最適で判断する

 因数分解の目的は、「すべての指標を同時に引き上げること」ではありません。指標同士の相互関係(トレードオフ)を理解し、全体として事業成長につながっているかを判断することです。

 たとえば、過去の購入履歴やエンゲージメントが高い優良顧客だけに絞って配信すれば、クリック率やCVRは高確率で跳ね上がります。しかし、配信母数が削られるため、売上総額は縮小してしまう可能性があります。また、強い割引クーポンを連発すればCVRは上がりますが、客単価や利益率を圧迫しかねません。

 配信頻度を増やす際も注意が必要です。当月の売上だけを見て配信を乱発すると、購読解除やLINEのブロックが急増し、将来にわたって働きかけられる顧客資産(有効リスト数)をすり減らすことになります。単月の売上指標とともに、「配信可能リスト数の増減推移」を定点観測することが欠かせません。

 CRMは、顧客グループを均等に分けて件名やクリエイティブを比較する「A/Bテスト」が実施しやすいチャネルです。「どの変数を変え、どの条件で、どの指標が動いたか」をカルテのように記録し、数件のブレで一喜一憂せず、複数回の検証結果から再現性のある勝ちパターンを導き出しましょう。この蓄積こそが、属人化を防ぎ、社内のナレッジへと昇華します。

次のページ
配信コストと利益から「投資対効果(ROI)」を評価する

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • note
ECビジネス・スタンダードの再定義連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

兒嶋 仁視(コジマ ヒトミ)

PALA株式会社 代表取締役

 大手日用品メーカーにて、健康食品・化粧品のEC事業を統括。その後、クラフトチョコレートブランドにてEC責任者を務め、2025年7月にPALA株式会社を設立。

 現在は、D2Cブランド、大手日用品、アパレルブランドなど、複数の企業のECやブランド立ち上げを支援中。事業戦...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

イベント

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング