NTTドコモの長すぎる苦戦
発表されたデータによると、携帯電話とPHSをあわせた総契約数は1億733万9800件。うち携帯電話の契約数は1億272万4500件、PHSは461万5300件。2008年3月時点でのNTTドコモの累計契約数は、5338万7700件となったため、総契約数におけるNTTドコモのシェアは49%となり、ついに半数を割った。
携帯電話の番号を変えずに事業者を変更できる「番号ポータビリティ(MNP)」が2006年10月に導入されてから、利用者がどのように乗換えを行うかが注目されてきた。圧倒的なシェアを持つNTTドコモが若者向けのイメージ戦略「DoCoMo 2.0」に打って出たが、au端末のデザイン性やブランドイメージ、ソフトバンクモバイルの価格攻勢などに押され、2007年後半から毎月の契約純増数でNTTドコモの苦戦が続いている。
上のグラフは、携帯各社の累計契約数の推移を表したもの。いずれのグラフも傾きは緩やかだが、着実に、au、ソフトバンクモバイルが契約数を積み上げている様子が見てとれる。
携帯電話単独でも、年内のドコモのシェア50%割れは必至か
2008年3月の携帯各社の契約純増数を比較すると、トップはソフトバンクモバイルの54万3900件。auが54万3100件(ツーカーのマイナスを上乗せしたKDDI全体では50万500件)、続いてNTTドコモが17万3700件、イー・モバイルが13万200件となっている。NTTドコモとソフトバンクモバイルの差は37万200件、NTTドコモとKDDI全体の差も32万6800件で、春の新商品展開もむなしく「惨敗」と言うべき結果となっている。
今回、大きく報道されたNTTドコモのシェア50%割れは、携帯電話とPHSをあわせた契約数におけるシェアだった。しかし、NTTドコモの苦戦が続けば、携帯電話単独でのシェア50%割れも必至となる。以下のグラフは、番号ポータビリティ導入時点と2008年3月時点での携帯電話単独の契約数を表したもの。
2つのグラフを比較すると、確実にNTTドコモのシェアが押しやられていることがわかる。ソフトバンクモバイルはもちろんだが、やはりauの伸びも大きい。新しくサービスを開始したイー・モバイルの登場によって、NTTドコモのシェアはますます厳しい情勢になっている。今後は、携帯サービスへの影響力を増そうとしている検索サービス大手のGoogleやYahoo!などの動き、アップルのiPhoneの日本展開の行方が携帯電話シェア変動のカギとなりそうだ。
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