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“民放の雄”と言われたフジテレビが赤字に転落/産業の突然死が迫るテレビ産業の復活策を提示

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2015/11/12 10:00

 アタラ合同会社が運営するメディア「Unyoo.jp」から、コラムやキーパーソンへのインタビュー記事をピックアップして紹介する本連載。今回は、アタラ 取締役 COOの有園氏による、テレビ業界の現状と課題、そして復活の道筋について提示したコラムの要約版です。

“民放の雄”と言われたフジテレビが赤字に転落/止まらない「テレビ離れ」

 先日、フジテレビなどを傘下に持つフジ・メディア・ホールディングスが発表した2015年度第2四半期の決算によると、フジテレビ単体の15年度上期の売上高は前年同期より6.6%減の1,466億2,900万円、営業利益は10億1,600万円の赤字、経常利益は2億300万円の赤字、当期純利益も2億4,700万円の赤字だった。これは1959年の開局以来の初の赤字転落だという。

 その一方で、日本テレビホールディングズの2015年度第2四半期の決算をみると、好調な視聴率を背景に、スポット収入が大幅に増収し、日本テレビ放送網の業績は好調だ。フジテレビと日テレで明暗が分かれたように、テレビ局全体の収益が悪化しているわけではないようだ。

 しかしながら、このフジテレビの開局以来の赤字転落が、今後のテレビ業界の行く末を暗示しているような気がしてならない。なぜなら、地方にある、いわゆる、ローカル局が赤字になったのではないからだ。かつて「視聴率3冠王」「民放の雄」ともいわれた、あのフジテレビが赤字になったのだ。2015年現在、テレビの未来について明るい見通しを持っている人は少数派だろう。視聴率の低下傾向やテレビ離れに歯止めがかからない。しかも、最近は家にテレビを持たない若者も増えているらしい。

実態が伴わないテレビ広告費の単価向上は、バブルのようだ

 テレビ業界の先行きを占うにあたり、2点取り上げたい。まずは、視聴率は低下傾向なのに、在京キー局のテレビCM(タイム・スポットの収入合計)収入は、この6年ぐらい増加傾向になっていることだ。遠坂夏樹氏の『「テレビ離れ」は明確。今後5年、動画配信は急速に普及する』という記事によると、このナゾについては、「テレビ広告費の値段(視聴率1%当りのタイム+スポット収入)は景気動向ときれいに連動している」とのことだ。実は、2008年秋にリーマンショックが発生し、2009年には景気が急激に悪化した。2010年以降に少しずつ持ち直し、2012年末に安倍内閣の誕生と同時に「アベノミクス」が始まり、その後は現在まで景気は比較的順調に推移している。

 ということは、誰もが考えつくはずである。「テレビはいま、バブルなのではないか?」と。視聴率という実態が伴わないのにテレビ広告費の単価が上がり、テレビ局の売上が増加傾向になっている。今後も、実態がついて来ない状況が続けば、いつかハジケルのではないか。つまり、次のリーマンショックが、次の不況が危ないということだ。実態が伴わない限り、ある日、突然、売上がガクッと落ちるかもしれないのだ。

 次に注目したいのは、NHK放送文化研究所の「日本人とテレビ 2015」調査だ。この調査では、「20~50代の幅広い年層で『ほとんど、まったく見ない』人が増加」と書かれている。

NHK放送文化研究所「日本人とテレビ 2015」調査より

 とくに、20代と30代は顕著だ。20代では、2010年に「ほとんど、まったく見ない」と回答したのは8%だったのが、2015年には16%に増加。30代では、2010年が8%で2015年では13%に増加している。

NHK放送文化研究所「日本人とテレビ 2015」調査より

 さらに、NHK放送文化研究所の調査でテレビを「ほとんど、まったく見ない」と回答した20代の中には、「家にテレビがないから見ない」という人もいるだろうと推察される。そうなってくると、いまのビデオリサーチの視聴率の数字は、テレビが家にあることを前提にした数字、あるいは、テレビが家にある600世帯の視聴率だから、本当はもっと低いのかもしれないということがわかる。テレビが家にある世帯をベースに視聴率が10%だったとしても、全世帯で考えると10%には及ばない可能性があるのではないか。つまり、テレビの視聴率の低下傾向は、現実はもっと悪いのかもしれないのだ。

 ところで、少し話は変わるが、ウィキペディアの項目として「テレビ離れ」が設けられていて、それによると、「テレビ離れ」は、日本だけではなくて、世界的な傾向らしい。世界的な傾向である流れを食い止めるのは、かなり難しいだろう。でも、そんな逆風の中でも、テレビ産業は未来を見据えて、活路を見出していかなければなるまい。そんな気持ちで、先日私は、放送業界の批評誌「GALAC(ギャラック)」2015年9月号にコラムを寄稿した。そこでは、私なりのテレビ局復活策のヒントを提示した。きょうは、この後、その寄稿したコラムの一部を抜粋しよう。これは、以前に書いたコラム「2023年テレビCM崩壊」の続編にもなっている。


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