商品レビューやブログなど、ネットで消費者が発言する場は広がっています。でも、それを楽しみながら続けることは意外と難しい。今回はホームページから始まって10年以上も活動を続けてきた、村山らむねさんの登場です。後編はこちら。
旦那の実家で出会った ネットの世界へ
四家
さて、この「ネオコミュニケーション遊談」という企画なんですが、ご覧になっていただいたことあります?
村山
はい。ノリのいい対談ですよね。
四家
まあ、ノリだけてもなんとかしないと(笑)という冗談はさておき。この対談を続けていくなかで、ネット上で「発信する消費者」と呼べる人たちの力がどんどん大きくなっていることを実感しています。そして「発信する消費者」の先駆者といえば、通販に関する個人サイトを足掛け11年以上運営されている「村山らむね」その人だというわけで、今回お越しいただきました。
村山
最近「CGM(Consumer Generated Media)」という言葉が出てきましたが、よくよく考えてみると、私自身は1995年からCGMをつくるために格闘してきたんだなと、ふと思います。
私は当時、東芝に勤めていながら、それもマルチメディア(死語)関連の部署にいたんですね。「タイムワーナー事業推進部」という、東芝が伊藤忠とタイムワーナーに出資した部署にいたんです。そのときに「これからはコンテンツだ」ということをみんな言っていた。でも、お金を出してみたものの、今ひとつコンテンツをどう活かしたらいいのかわからず、右往左往していたんです。
四家
東芝にそんな部署があったとは。その「コンテンツ」というのは、たとえばDVDのインタラクティブコンテンツとかですか?
村山
そうそう。わけのわからないのたくさんありましたよね。みんな閉じた中のインタラクティブを一生懸命、開発しているような状況でした。コンテンツという宝の山とアクセスする権利は得たものの、今ひとつビジネスに活かせない―というもやもやを抱えながら、なぜか結婚したんです。社内調達で。それが95年です。
四家
なぜか結婚(笑)。しかも「社内調達」。
村山
実は94年ごろからお嫁入り道具を買い集めていたんですが、その頃は空前の海外通販ブーム。私は仕事で忙しかったので、旦那以外はほとんど通販で購入したんです(笑)。海外通販も含めて、たぶん100万くらい通販に使ったかな。
四家
あははは。なるほど、旦那以外ね。
村山
そして95年、1月に阪神大震災、3月にオウム―何かが崩れる予兆の中、3月に結婚。4月にハワイに新婚旅行。で、5月にマカデミアナッツを抱えて、旦那の実家にあいさつにいったら、旦那の家族が「リムネット」とか「べっこうあめ」とか、なんかよくわからないことを話している。旦那のお父さんは石油系のシステム会社の社長さん、お姉さんアップル、弟富士通、旦那東芝。超理系家族で、その頃存命だった80歳代のひいおばあさん含めてニフティサーブの中でホームパーティーをもっているくらいのすごいパソコン家族だったんです。
四家
すごいなー。
村山
私、まったくそういう文化がなくて、くやしくてくやしくて新婚旅行であまったお金でマックを20万で買って―それが6月でした。7月は夢中でインターネットやってましたが、企業ページとエロサイトしかないわけです(笑)。新婚なのにどうして夜中にエロサイト見なけりゃいけないんだろうと、ふと疑問に思って。
7月に自分でホームページ作ろうと、「インターネットマガジン」をバックナンバー含めてたくさん買ってきて、HTMLとやらを勉強して。8月の夏休みになんとかホームページをつくって8月31日にFTPしたのが、「
らむね的通販生活」の前身です。
らむねさんが選んだ食べ物、ファッション、映画、家電…。
ここで紹介されている商品を見ていると、楽しい買い物がしたくなってくる。
四家
まさに先駆者ですねえ。
村山
「これは!」と思うと、自分で作ってみたくなるんです。猛然と。見る側でいられなくなる。そのときに、単なる「らむねの部屋」というのではダメだと思い、「私は通販で行こう!」ということで、今までの購入のレビューを書きためて少しずつ発信しました。そうしたら、女性でホームページなんてまだ珍しかった頃だったので、1年の間に雑誌の取材、テレビ出演、通販協会で講演、著書を出版とすさまじかったですね。