12日、米調査会社eMarketerが発表した調査レポートによると、米国におけるテレビ広告費は前年比3.3%増の685億4000万ドル。一方、デジタル動画広告費は41.9%増の59億6000万ドル。テレビとネットでは広告市場の成熟度が異なるため、簡単に比較はできないが動画広告の急成長は眼を見張るものがある。
デジタルデバイスの利用が急増したことも動画広告の追い風となっているが、同調査では、近い将来、動画広告費がテレビ広告費を抜くことは決してないだろうと予測している。テレビ広告費の総額が大きいため、低い成長率であってもその増分は大きい。2014年、テレビは前年より21億9000万ドル多い広告費を獲得、それに対して動画広告は17億6000万ドルの増加。この傾向は2018年まで続くと見られる。特に、大統領選がある2016年にはテレビ広告費の増分は動画の約2倍に達するとしている。
eMarketerの分析によると、動画のオーディエンスはテレビのマスのオーディエンスよりも広範囲に分散している。そのセグメンテーションは動画広告のバイイングをテレビ広告よりも複雑にし、信頼性を低くしている。動画の視聴時間は大きく伸びており、テレビの視聴時間を若干奪っているものの、プレースメントとプラットフォームの多様性によって、動画の視聴者は広告主にとってターゲットしにくいものになっている。
また、見ているクリップが非常に短い、あるいはブランドフレンドリーではないため、動画視聴時間の多くは広告主には有用ではないとも指摘している。また、NetflixやAmazon Prime Videoのような会員制のサービス(どちらも広告をサポートしていない)が配信するデジタルコンテンツがますます増えていることも、動画が有用になりえない理由だという。
eMarketerの調査では、コネクテッドTV(スマートテレビ、セットトップボックスやゲーム機器を通じてインターネットに接続するテレビ)向けの動画広告費はテレビではなく、オンライン動画広告に分類される。同社の最新の予測によると、2014年には1億1320万人の米国の消費者、あるい動画視聴者の60%近くがコネクテッドTVを利用。2018年までにその数は90%に達すると予測している。
※編集部注:NetflixとAmazon Prime Videoの説明にわかりにくい点があったため、修正しました。(2014.6.23)
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