フリークアウトは、同社が提供するプライベートDMP「MOTHER」に、新たにビーコンを活用したO2O施策を支援する機能を追加し、一部広告主向けに提供を開始した。
これまで、広告主は店舗や主催するイベント会場などで、ユーザーのデータを取得し、プライベートDMPに取り込むことは困難とされていた。今回の機能追加により、広告主は、フリークアウトが提供している専用のSDKを広告主のスマートフォンアプリに導入し、ビーコンを店舗やイベント会場などに設置することで、その場所に来たユーザーの中で、プライバシーポリシーに同意しているユーザーのデータのみを対象に、リアルタイムにプライベートDMPに送信し蓄積することが可能となった。
SDK:あるシステムに対応したソフトウェアを開発するために必要なプログラムやドキュメントなどをまとめたパッケージのこと。
プライベートDMP上で、このデータとオンラインで取得したオーディエンスデータを掛け合わせて分析し、店舗に来店したユーザーのECサイトでの購入率などを把握することで、それぞれのタッチポイントの貢献度を可視化することができる。さらにプライベートDMP上に蓄積されたオーディエンスデータは、同社が提供するDSP「FreakOut」やSNS広告配信プラットフォームなどで活用することができ、店舗やイベント会場を訪れたユーザーに対して、即座にオンライン上でディスプレイ広告を配信するなど、新しいコミュニケーションシナリオを実現する。今回の発表に伴い、フリークアウト Communication Design Unitの山根賢氏と同社 Founder & CEOの本田謙氏にインタビューを行った。
オムニチャネルのコミュニケーション最適化に役立つデータの蓄積を実現
2013年3月に正式にサービスインしたフリークアウトのプライベートDMP「MOTHER」。今日の導入アカウント数は2,460社にのぼる。
――スマートフォンが消費者と企業のタッチポイントの主軸になりつつあることが、今回の新機能追加の背景にはあるのでしょうか。
山根:そうですね。消費者が常にスマートフォンを常に携帯していることは、この機能の前提にあります。O2Oという言葉の定義はとても広いですが、弊社はオーディエンスデータを軸として、DSPやDMPの事業を展開していることもあり、その強みをO2Oの領域でも活かせればと。
――ユーザーの位置情報をプライベートDMPに蓄積して、企業はマーケティングに活用できるようになるということですね。
山根:単なる位置情報ではなく、よりプライベートDMPでマーケターが見たいユーザーセグメントを構築していくことができます。例えば、「店舗に来たことがあるのか」「店舗に何回来店したのか」「このイベントに参加した人」といった広告主側で定義したいユーザー像でセグメントして、それぞれに適切なコミュニケーションを取っていくことができるようになります。
また、店舗で実際に商品をみて、実際の購入はECサイトで行う消費者も多数存在しています。店舗とECサイトの両方を持っているブランドは、その相関性をなんとなくは意識はしているものの、これまでは数値として把握するのがなかなか難しい状況でした。それが今回の機能により、店舗がオンラインの売上に与える影響や、タッチポイントの貢献度をある程度数値化して可視化することができるようになります。オムニチャネルのコミュニケーションの最適化に役立てていただければと。
――どのように企業に活用してほしいと考えていますか。
山根:店舗とオンライン、双方のタッチポイントを持っている企業に、縦割りになっている部署をデータでつなぐ取り組みとして、ぜひ取り組んでいただきたいですね。また、戦略PRから広告コミュニケーションをつなぐ、デジタル戦略の一つのツールとして活用していただきたいと思います。
――この新機能に込めた、会社としてのメッセージはありますか。
本田:我々が取り組んできたRTB/DSPというマーケットは、もともとはアメリカで先行し、日本では2年ほど遅れて始まった市場です。これまではアメリカを追いかけるようなかたちで、日本のマーケットは育ってきました。しかし今日では、ツールにおける圧倒的な機能差はほとんどなくなってきています。
これまでは先行市場をまねていれば良かったが、今後は我々のようなプロダクトベンダーが自ら新しいマーケットを創り、市場を広げていく段階に入っている。既存のプロダクトを拡張して、新しい市場を創生していくステージに差し掛かっている。
そんな状況において何ができるかと考え、O2Oというカタチで盛りあがっているマーケットにおいて、本格的にオンラインとオフラインのデータをつなぎ、1to1マーケティングを実現する広告インフラをつくっていきます。
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