電通は、日本の総広告費と、媒体別・業種別広告費を推定した「2019年 日本の広告費」を発表した。
インターネット広告費がテレビメディア広告費を上回る
2019年の総広告費は、通年で6兆9,381億円となった。不透明な世界経済や相次ぐ自然災害、消費税率変更にともなう個人消費の減退や弱含みのインバウンド消費など厳しい風向きの中、成長を続けるインターネット広告領域やイベント関連が総広告費全体を押し上げる結果となった。
またインターネット広告費は、テレビメディア広告費を超え、初めて2兆円超えとなった。デジタルトランスフォーメーションがさらに進み、デジタルを起点にした既存メディアとの統合ソリューションも進化、広告業界の転換点となった。
新設項目として、「日本の広告費」における「物販系ECプラットフォーム広告費」、改定項目として、従来の「展示・映像他」に「日本の広告費」における「イベント」を加えた「イベント・展示・映像他」を追加推定し、8年連続でプラス成長となった。
インターネット広告費は6年連続で2桁成長/マスコミ四媒体広告費は5年連続減少
媒体別に見ると、「インターネット広告費」は2兆1,048億円となり、6年連続で2桁成長となった。大型プラットフォーマーを中心に堅調な伸びが続き、「マスコミ四媒体由来のデジタル広告費(※1)」(前年比122.9%)や今回追加推定の「日本の広告費」における「物販系ECプラットフォーム広告費(※2)」(新設項目)が全体をさらに押し上げた。なお、新設項目を除外した前年同様の推定方法の場合、1兆9,984億円(同113.6%)となった。
一方、「新聞広告費」「雑誌広告費」「ラジオ広告費」「テレビメディア広告費」はすべて前年割れとなり、「マスコミ四媒体広告費」は2兆6,094億円に。5年連続の減少となった。
また「プロモーションメディア広告費」は、2兆2,239億円となった。デジタルサイネージ化が進む「屋外広告」「交通広告」と、広告業が取り扱うイベント領域を拡張推定した「イベント・展示・映像他」(改定項目)が増加した。なお、前年同様の推定方法の場合、2兆436億円(前年比98.8%)だった。
※1:マスコミ四媒体事業者が提供するインターネットサービスにおける広告費
※2:生活家電・雑貨、書籍、衣類、事務用品などの物品販売を行うEC(電子商取引)プラットフォーム上において、当該プラットフォームへ"出店"を行っている事業者が当該プラットフォーム内に投下した広告費と定義したもの。より広い意味での「EC領域での販売促進を図るインターネット広告費」全体を指すわけではない
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