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テレビ中継での広告露出と視聴反応の可視化

 広告を出稿しても、どれだけブランドが視聴者に届いたのかがわからず、正確な投資対効果を把握できないという課題を抱えた現場も多いのではないでしょうか。本記事では、そうしたブランド広告の露出によるスポンサー効果をより正確に捉えるため、動画解析技術と視聴データを用いて取り組んだ研究例を紹介します。

※本記事は、2021年11月25日刊行の定期誌『MarkeZine』71号に掲載したものです。

テレビ中継に映る広告の効果はどのくらい?

 スポーツ中継番組を見ていると、様々なスポンサーのブランド広告が目に入ってくるのではないだろうか。単にテレビ画面を見ているだけでは、どのブランド広告がどれだけ露出しているかはわからないし、画面を見ていないこともあるため、視聴者に対するスポンサー効果を正しく測ることは困難であるように思える。

 ビジネス現場でも広告を出稿した番組で、どれだけブランドが視聴者に届いたのかがわからず、正確な投資対効果を把握できないという課題も実在している。本稿では、そんなブランド広告の露出によるスポンサー効果をより正確に捉えるため、動画解析技術と視聴データを用いて取り組んだ研究例を紹介していく。

ブランド広告の露出を正確に捉える技術

 ブランド広告露出を調べる方法として目視での計測自体は可能だが、1時間を超える番組に対して行うことは非効率的である。この研究では自己学習型の深層学習を用いた動画解析技術を展開することでブランド広告を自動検出し、サイズや露出回数を取得することにした。

 図表1では、自己学習型の深層学習がブランド広告らしきものを検出できるまでのイメージを示している。

図表1 自己学習型の深層学習によるブランド広告検出能の変化
図表1 自己学習型の深層学習によるブランド広告検出能の変化

 学習の初期段階にあらかじめ人手によるラベリングを行い、どこにブランド広告が存在しているかを教示する必要はあるが、大量の画像を学習させることで、学習の後期段階ではブランド広告らしきものの位置とサイズを推定できるようになっているのがわかる。また、画像解析技術を用いれば、類似したブランド広告をグルーピングできるため、あとはそのグルーピングしたブランド広告群が何のブランドであるかをラベリングすればよい。

 ただ、深層学習を用いている関係上、どうしても完璧にブランド広告のみを検出できないため、図表1にある学習の後期段階のように椅子なども検出することもある。余計な情報は後続の人的作業で除外する必要はあるものの、1時間以上のスポーツ中継番組からブランド広告を人手で探し出すよりは遥かに楽な作業となる。

 本研究ではこの手法を元に、どのタイミングで、どこに、どれだけの大きさでブランド広告が露出されたかを検出することとした。

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この記事の著者

伊藤 友治(イトウ トモハル)

株式会社インテージ 事業開発本部 先端技術部 製造小売業、専門商社を経て、インテージに入社したデータサイエンティストです。主にマーケティング課題解決に対して、所謂データサイエンスの力でお手伝いしてきました。現在、画像解析系のAI技術をマーケティング領域で利活用すべく、いくつかのプロジェクトを担当してい...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2021/11/29 09:30 https://markezine.jp/article/detail/37822

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