デジタルサイネージがテレビを越える?
デジタルサイネージがテレビを超える広告媒体になれるのかどうか。それは2つの要素にかかっている。1つは、効果測定手法の確立、もう1つはハード、ソフト、広告配信の標準化である。効果測定手法の確立については、世界的な消費財メーカーなどが共同で取り組んでおり、近く実現にこぎつけそうだ。測定手法が標準化されれば、テレビなどの従来からあるメディアと効果を比較できるようになる。
一方で、防犯用小型ビデオカメラなどを使って人の顔を認識するような最新技術も登場し始めており、これまでにないような広告効果測定手法が確立するかもしれない。より高度な効果測定が可能になれば、メディアとしての価値も高まることになるだろう。
大手消費財メーカーが共同で効果測定
世界的な消費財メーカーなどが効果測定手法の確立を目指して共同で進めているのは、「Pioneering Research for an In-Store Metoric(ストア内での測定方法確立のためのパイオニア的リサーチ)」と呼ばれるプロジェクト。頭文字を取って「PRISM(プリズム)」と呼ばれている。
プロジェクトを推進するために消費材メーカー大手のP&Gなどが主体になってコンソーシアムを結成しており、コンソーシアムにはコカコーラ、ディズニー、ケロッグなどの大手ブランド12社が参加している。またウォルマート、アルバートソン、ウォルグリーンなどの大手小売店チェーン16社と、広告代理店6社が協力している。
実際の調査は、調査会社ニールセン・インストアが担当。ニールセンのメレディス・スペクターさんによると、小規模の調査は既に終了し、今は実験を拡大して測定方法などの策定を急ぎ、2008年7月にもサービスを開始する予定という。
具体的には、166店舗をサンプルとして無作為抽出し、それぞれの店舗の見取り図をデジタルデータとして入手。コーヒーや、コーンフレークなどといった商品カテゴリーの売り場ごとにゾーン分けした見取り図を、携帯端末にインストールして係員が店舗に出向き、店舗内での人の流れを記録した。
商品ごとにゾーンを分けてデータを集めることで、異なる店舗でも同じ商品の売り場に何人の買い物客が足を運んだかを集計できる。特定の売り場に設置されたディスプレーを何人の人が見たのかを測定できるわけだ。こうした係員による集計と、セキュリティ目的で設置されている赤外線センサーを使った人数測定のデータを合わせ、ニールセンが独自開発した計算方式で、広告がリーチできた人数を算出する。