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第6回 「ブランド認知 2.0」を考える


今回は、高度にネットワーク化したオンライン環境によって、マーケティングにも変化が求められている現在、ブランディングはどうあるべきかについて考えてみたいと思います。オンライン環境の進化がブランディングにどのような影響を与えるのか? 企業はブランディングを行う上でどのように頭を切り替える必要があるのか? そのあたりを中心に「ブランド認知」について考えてみましょう。それが、いわば次世代のブランディング「ブランド認知 2.0」につながるかもしれません。

ブランド認知とは

 はじめに、既存のブランディングの考え方を整理していきましょう。まずは「ブランド認知」からです。

 ブランド認知とは、「消費者の記憶の中にある、ブランドに対するイメージの強さによって、異なる状況においても消費者がそのブランドを識別する能力を反映したもの」と定義することができます。極論してしまえば、市場で認知されていないブランドはブランドとは呼べないわけで、ブランディングにおいてブランド認知が常に重視されてきたことはきわめて当然のことだと言えます。もちろん、単に知名度だけが高く、なんとなく名前やロゴが認知されているだけで何のブランドなのかがわからなければ、消費者がそれを買ったり、利用したりすることは期待できません。消費者が価値を感じる適切な要素と結びついたブランド連想を育んでいくことも、認知の拡大と同様に重要なものとされています。

 丸の内ブランドフォーラム代表の片平秀貴氏は、ブランディングを「顧客の頭の中にブランド名義の預金口座を開く活動」だと述べていますが、この「口座開設」こそがブランド認知だと言えます。知名度だけが高いブランドは、口座は開いてあるものの残高ゼロの状態だと言えるかもしれません。その意味では、「口座に入る預金」にあたるのがブランド連想でしょう。消費者へブランド連想の浸透をねらった啓蒙を図る場合、連想が消費者の知識として浸透したとしても、それが自社ブランド名義の口座に預金されるとは限らないので注意が必要です。知識だけが消費者の頭の中にたまったり、最悪の場合、たまった知識が競合他社ブランドの口座に預金されてしまったりすることも考えられます。

 戦略的ブランド・マネジメントに関する著名な研究者、ケビン・レーン・ケラー教授は、ブランド認知を「ブランド再認」と「ブランド再生」に分けています。「ブランド再認」とは、手がかりとして、あるブランドが与えられたときに、消費者が過去にそのブランドを見たり聞いたりしたものであると正確に区別できることを指します。もう一方の「ブランド再生」とは、手がかりとしてある製品カテゴリーが与えられたり、そのカテゴリーの製品へのニーズが発生したりした際に、消費者が記憶の中からそのブランドを思い出すことができることを指すものです。

 簡単に要約すると、ブランド再認はブランドの自己同一性に関わるもの、ブランド再生はブランドがターゲットとする消費者に、どれだけ多くの関連する知識を認知させることに成功しているかに関わるもの、と言うことが可能です。再生と再認はそれぞれブランド認知の深さに関わるものだとケラー教授は述べています。

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この記事の著者

棚橋 弘季(タナハシ ヒロキ)

芝浦工業大学工学部(建築学専攻)卒。マーケティング・リサーチ、Web開発等の仕事を経て2003年より株式会社ミツエーリンクスに。現在はWebを使ったマーケティングに関する企画や自社サービスの開発に従事。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2006/11/08 16:30 https://markezine.jp/article/detail/313

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