少額の支援金を多数の支援者から集める「ソーシャルファンディング」
5月17日に日本でリリースされた学費支援プラットフォーム「studygift」は、良くも悪くも大いに注目を集めるサービスになってしまった。そのstudygiftが採用した、資金援助が必要な人物・プロジェクトが名乗り出て、自らの状況を説明し、少額の支援金を多数の支援者から募ることで目標額を集めようとするスキーム。この仕組み自体は「ソーシャルファンディング」あるいは「クラウドファンディング」と呼ばれている。
ソーシャルファンディングの仕組み自体はそれほど珍しいものではなく、既にいくつかのサービスが登場している。その中でも最も有名なサービスと言えば、アメリカで2009年4月に登場した「Kickstarter」ではないだろうか。
前年比3~4倍ペースでの成長を続けるKickstarter
Kickstarterは、主にクリエイターが新たなプロジェクトを立ち上げるのに必要な資金集めのプラットフォームとして誕生した。映画撮影や音楽アルバムの制作、ガジェットの開発・製造などのために資金を集めたいユーザーが、自らのプロジェクトを説明するページを開設。資金がいくら必要なのか目標金額を明示し、資金を援助してくれた人にはどんなお礼を用意しているか表明する。
設定した期間内に目標金額が集まればプロジェクトは成功となり、集まらなければ失敗。失敗したら、集まっていた資金は出資者に返金される仕組みだ。
Kickstarterのビジネスは、こうしてプロジェクト資金が集まった際の手数料によって成り立っている。手数料率は5%。10万ドルのプロジェクトが成立すれば、5000ドルが懐に入ってくる。2011年にKickstarter上で成立したプロジェクトが集めた資金の総額は約9934万ドル(79億円前後)。2万7086件のプロジェクトが生まれ、そのうちの約44%、1万1836件のプロジェクトが成立した。手数料5%で計算すると、Kickstarterには約4億円の売上が発生したことになる。
ちなみに2010年に調達した資金は約2764万ドル(22億円前後)。資金面で見ると、1年で約4倍に成長している。
この勢いは2012年も続きそうだ。アメリカのIT情報サイト「VentureBeat」が4月時点で2012年に入ってから成立したプロジェクトの調達総額をもとに今年の予測を立ててみたところ、年間で約3億ドルを集めることになるのではないかと報じている。Kickstarterにとっては約1500万ドル(約12億円)の売上になるわけだ。