矢野経済研究所は、インド・インドネシア・中国のソーシャルコマース市場の調査を実施し、調査結果を発表した。本調査におけるソーシャルコマース市場とは、ソーシャルメディア・ソーシャルツールを介して行われる商業活動(物販およびサービス)を指す。当該市場にはO2O型も含まれるが、市場規模はオンラインで完結する商業活動のみを対象に算出。
インド~有望分野はオンライン完結型ではなくO2O型
インドのインターネット人口は、IAMAIの統計データによると2012年末で約1億2,000万人を超える。ただし、その多くはインターネットカフェやオフィスなど自宅外からの利用であり、インターネット先進国のように常時接続が前提ではなく、サービスや目的、時間を決めて、インターネットを利用するスタイルが一般的である。モバイルインターネット利用率はまだ低い。
数あるインターネットサービスの中で電子メールやチャットなどコミュニケーション系サービ
スの利用率が高く、特にソーシャルメディアが急速に普及している。FacebookやTwitter等、外資系のソーシャルツールが普及している。
ソーシャルコマース市場規模は2012年で2.2億米ドルの見込み。2015年で31.8億米ドルを予測。インドではEC市場は成長分野だが、現状は物流環境の悪さや決済環境の特徴などにより、参入に対する投資コストは高いだろう。一方で、ソーシャルメディア人口は多く、ソーシャルプラットフォームのアクティブ率が高く、影響力も強いので、O2O型の活用分野がより有望だろう。
インドネシア~物販系が有望、デジタルコンテンツ系は中長期的視点で
インドネシアのインターネット人口は、ITUの統計データによると、2011年末で約2,700万人。その多くはインターネットカフェやオフィスなど自宅外からの利用である。都市部では街のWi-Fiスポットからの利用も増えている。
群島国家のため、固定系のブロードバンドインフラが拡充しにくいという背景があり、昨今はジャワ島を中心にモバイルインターネット利用者も増加傾向にある。スマートフォンはジャカルタなど、都市部を中心に普及。昨今ではAndroidベースの低価格スマートフォン端末が市場を牽引している。ソーシャルメディアが急速に普及しており、外資系のソーシャルツールが多く利用されている。
ソーシャルコマース市場規模は2012年で1.1億米ドルの見込み。2015年で4.2億米ドルを予測。ジャワ島、特にジャカルタを中心にすでにEC市場が急成長している。ソーシャルプラットフォームの利用率・アクティブ率も高いため、物販系のソーシャルコマース分野は有望であると考える。 一方、デジタル系については、課金・コンテンツ開発等の課題から、市場創出・形成の段階にあるため、デジタル系ソーシャルコマースの成長性には中長期の視点が必要である。
中国~物販系・デジタル系とも有望、プラットフォームは中国企業中心
国連の統計によると、中国の人口は約13億7,000万人。中国国家統計局のデータによると、2011年末でインターネットの利用者数は約5億1,300万人、モバイルインターネット利用者は約 3億5,000万人を超えると見られる。中国では外資系のインターネットサービスが大きく制限されており、普及しているのは基本的に中国の地元企業のソーシャルプラットフォームやツールである。インドやインドネシアとは異なり、中国では新浪、捜狐、開心網、人人網、腾讯などのサービスが普及している。昨今はSNSだけではなく、微博などのマイクロブログも広く普及している。
中国のソーシャルコマース市場規模は2012年で491.3米ドルの見込み。2015年で897.3億米ドルを予測。物販系・デジタル系サービスともEC市場はすでに大きく成長している。これに伴い、複数の中国地元企業のソーシャルプラットフォームも成長しており、売上規模も拡大している。物販系・デジタル系ともソーシャルコマースの成長性が高く、今後も市場規模の拡大が見込まれる。
【調査概要】
調査期間:2012年8~11月
調査対象:インド・インドネシア・中国のソーシャルコマース関連企業、ソーシャルプラットフォーム運営企業等
調査方法:当社専門研究員による直接面談、電話・e-mailによるヒアリング、ならびに文献調査を併用
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