野村総合研究所は、「ビッグデータの利活用に関するアンケート調査」を実施した。
約6割がビッグデータ活用を自社の検討課題と認識
ビッグデータ活用が組織的な検討課題にあげられているかどうかをたずねたところ、「全社レベルの検討課題(23%)」または「特定部門、部署レベルの検討課題(34%)」となり、合わせて57%がビックデータ活用を組織的な検討課題と認識している。
こうした課題認識は、BtoB企業(49%)よりはBtoC企業(64%)において高く、加えて、企業規模が大きいほど高くなる傾向に。特に売上高1兆円を超える企業では84%と、この傾向が顕著に表れている。
活用の期待領域は幅広く、GPSやICカードのデータにも活用意向
企業活動において、ビッグデータ活用が既に進んでいる領域として多くあげられたのは「マーケティング(26%)」「経営管理(20%)」であった。
また、有望と思われる活用領域として上記2つ以外に「商品企画・開発」「戦略策定」「営業」「販売促進」などがあげられ、今後のビッグデータ活用に期待が持てる領域として位置づけられています。
なお、ビッグデータとして現在分析に活用されているのは、「顧客情報・取引履歴等(50%)」が最も多く、ついで「Webログデータ(34%)」があげられた。現在は活用がそれほど進んでいないものの、今後活用していきたいデータとしては、「SNSデータ(現在活用している8%、今後活用したい32%)」や「GPSデータ(同6%、同14%)」、「ICカードデータ(同3%、同10%)」が上位に。
ビッグデータ活用を促進するためには、社内体制整備が喫緊の課題
ビッグデータ活用の社内的な推進体制に関して、「既存部署(58%)」や「個人担当者レベル(31%)」での活動と位置づける企業が多く、「新設部署(4%)」や「組織横断のチーム、タスクフォース等の時限的組織(16%)」といった専門の社内組織を設立しているという回答は限定的であった。また、その検討を担当する社員数は、「1~5名(47%)」または「6~10名(25%)」と、10名以下とする回答が約7割を占め、現時点では必ずしも大規模なリソースを投入して取り組みを進めている企業は多くないことがうかがえた。
ビッグデータ活用の取り組みが進んでいない理由として、「具体的に何に活用するかが明確でない(61%)」「投資対効果の説明が難しい(45%)」を課題としてあげている回答が多いことに加え、より具体的な課題として「担当者のスキル不足(45%)」「ビジネスとデータの両視点で検討できる人材の不足(36%)」「担当者の人数不足(32%)」「受け皿となる組織が存在しない(29%)」のように、ビッグデータ活用を推進できる体制が整っていないことが明らかに。
活用目的が明確でないということは、意思決定するための検討材料を持てていないことのあらわれである。そこに潜む本質的な課題はまさに多くの企業が指摘しているとおり「主体的に取り組める体制を整備し、具体的な検討を進めていくこと」にある。したがって、こうした体制の整備が進むことで、ビッグデータの活用はより進んでいくものと思われる。
活用先進企業は「実証実験」「外部企業との取り組み」「システム企画」を並行して実施
既にビッグデータの活用が進んでいる一部の企業においては、「実証実験の実施」「外部企業との取り組み」「関連システムの企画・開発」を並行して進めている。これらはそれぞれ「自社ビジネスにおける活用可能性の検討」「社外にあるデータや高度な分析スキルの確保」「データを収集・蓄積し、分析するシステムの構築」につながります。
ビッグデータ活用を実現するには「ビジネス」「分析」「IT」の3つの視点を持って検討を進めること、そしてこれらを具備した推進体制を整備するためには、社内のみならず社外を有効に活用していくことも重要である。
【調査概要】
調査名:「ビッグデータの利活用に関するアンケート調査」
実施時期:2012年7月24日~8月3日
調査対象:売上高200億円以上の企業における経営企画部門、及び情報システム部門(建設・不動産、素材・素材加工品、機械・電気製品、輸送機械、食料・生活用品、中間流通、小売、金融、運輸サービス、広告・情 報通信、他)
調査方法:上記2部門を担当する方を宛先とし、調査票を郵送にて発送・回収
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