日本オラクルは、カスタマー・エクスペリエンスに関するグローバルの調査報告書「Global Insights Succeeding in the Customer Experience Era」の日本語版を発行した。同調査は、北米、ヨーロッパ、日本、アジア・パシフィックとラテンアメリカにおける18か国で1,342名の企業経営幹部を対象に実施。
カスタマー・エクスペリエンスとは、製品・サービスを購買、利用する際の一連のプロセスにおける顧客の経験価値のこと。例えば、製品やサービス選択の際の情報収集、Webサイトや店舗での購買、保守サービスの利用や問い合わせなど。
カスタマー・エクスペリエンス未整備による平均的損失は年間売上の20%
同調査によると、回答した管理職の97%が、優れたカスタマー・エクスペリエンスを提供することは事業にとって効果的に働き、またビジネス拡大に向けて重要であると認識している。
積極的で一貫性のある、ブランド関連のカスタマー・エクスペリエンスを提供しないことで生じる平均的な損失は年間売上の20%に上る可能性があると予測している。
カスタマー・エクスペリエンスの向上は今後2年間の優先事項
また、回答した管理職の93%がカスタマー・エクスペリエンスの向上が、自社の今後2年間の優先事項の上位3位に入るとし、91%が業界においてカスタマー・エクスペリエンスのリーダー的存在になりたいと考えている。
一方で会社としてカスタマー・エクスペリエンスの取り組みを開始したばかりだという回答が37%、自社のカスタマー・エクスペリエンスの取り組みが先進的であると考えているという回答は、2%にとどまった。
これらの結果から、多くの企業はカスタマー・エクスペリエンスの重要性を感じている一方で、その向上に向けた取り組みに課題を感じているようだ。
約9割の顧客がカスタマー・エクスペリエンスの質の低さによりブランド乗り換え
ところで、回答した管理職の49%が不十分なカスタマー・エクスペリエンスによって顧客がブランドを乗り換えると答えたのに対し、実際にカスタマー・エクスペリエンスの質の低さが理由でブランドを乗り換えた顧客は89%に上ってることが明らかになった。
経営幹部はカスタマー・エクスペリエンスが、顧客の行動に与える影響を過小評価していると言える。
ソーシャルメディアの活用が不可欠
優れたカスタマー・エクスペリエンスを提供するには、効果的なソーシャルメディアの活用が不可欠であると考えている回答者は81%にのぼった。一方で、販売チャネル専用のソーシャルメディアを持っていないという回答が35%、カスタマー・サービス専用のソーシャルメディアを持っていないとの回答も35%であった。
ソーシャルメディアの普及により顧客の反応がリアルタイムに把握できるようになった今、企業は顧客の声に迅速かつ適切に対応することに一層注力すべきだろう。
企業によるカスタマー・エクスペリエンスへの投資
企業はカスタマー・エクスペリエンス関連技術への投資を今後2年間で平均18%増加させるという結果がでた。クロスチャネルにおける顧客経験の改善や顧客分析が最優先事項であった。
クロスチャネルとは、店舗やコンタクトセンター、Webサイトなど複数のチャネルを通じて顧客が企業と接点をもち、またその顧客情報が統合されていること。