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石谷聡史と考える統合マーケティング・コミュニケーションの未来

「クライアントにとって優秀な相棒でありたい」 ─ dof 齋藤太郎氏

  “IMC”、 “トリプルメディア”、“OtoO”など、マーケティング・コミュニケーションの統合を表すキーワードは時代ごとに変化をしていますが、その本質は実は変わらないのかもしれません。デジタルやテクノロジーが進展し仕事が細分化している今、幅広い視野をもって仕事を進めるためには、どのような思考を身につけると良いのでしょうか? 電通 プラットフォーム・ビジネス局 のコミュニケーション・プランナー石谷聡史氏が聞く本連載。今回は、サントリー「角ハイボール」や、ジェイアイエヌ「J!NS PC」などのコミュニケーションを手がけるdof 齋藤太郎氏を訪ねました。

今回お話を伺ったのは…
株式会社dof 代表取締役社長/コミュニケーション・デザイナー 齋藤太郎氏
1972年11月24日アメリカ合衆国オハイオ州グリーブランド生まれ。91年慶応義塾大学環境情報学部(SFC)入学(SFC2期生)。95年卒業後、株式会社電通入社。テレビ局6年、営業局4年を経て、05年にクリエイティブ・ディレクター大島征夫とともに、コミュニケーション・デザインを生業とする、株式会社 dof を設立。13年、電通グループから独立。経営戦略、事業開発から、製品開発、マーケティング戦略立案、メディアプランニング、クリエイティブの最終アウトプットに至るまで、コミュニケーションの川上から川下まで「課題解決」を主眼とした提案と実施を得意とする。幅広い人脈を生かしてのプロデュース力、実現力にも定評があり、最近では海外案件にも精力的に取り組んでいる。仕事を進める上でのモットーは、「コミュニケーションの力で、世の中をハッピーに」。
インタビュアー
株式会社電通 プラットフォーム・ビジネス局 コミュニケーション・プランナー 
石谷聡史氏

さまざまな企業の統合マーケティング戦略のコンサルティング・プランニング業務を行なう一方、コンタクトポイント・クロスメディア・PDCAなどマーケティング・コンバージェンスに関連する新しい手法開発にも従事。『クロスイッチ-電通式クロスメディアコミュニケーションのつくりかた-』(ダイヤモンド社)やクロスイッチを元にした英語書籍『The Dentsu Way』(McGraw-Hill)を中心となって企画・執筆。中国・韓国・タイでも翻訳本が出版される。

クライアントにとって優秀な相棒でありたい

 ――この連載では、広告やデジタル、販促・PR、商品開発など、様々なマーケティング・コミュニケーション施策を横断して実施することで成果を上げられている方々に、考え方や未来の展望を伺っています。早速ですが、齋藤さんは様々なクライアントの仕事に携わられていらっしゃいますよね。特に、サントリー「角ハイボール」、ジェイアイエヌのPC用メガネ「J!NS PC」の一連のコミュニケーションをはじめ、これまでにはなかった「新しい市場」を作りだすようなコミュニケーションを手掛けていらっしゃることが興味深く、ぜひお話をおうかがいしたいと思いました。普段、どんな姿勢で仕事に取り組まれているのでしょうか?

 新しい市場といっても、作っているのは僕ではなく、あくまでクライアントだと考えています。ただ、もちろん作り出していく上での意味のある存在でありたいと思っています。

 前回この連載に登場されていた原野さん(参考記事)も、そうだと思いますが、クライアントと並走するような仕事のスタイルに強みがあるんじゃないかなと思います。

 1社のクライアントと交わすコミュニケーションの総量は、すごく多いです。付き合いも長い会社ばかりで、長期的な視点で取り組めています。

写真左:石谷聡史氏 写真右:齋藤太郎氏

 ――案件ごとを担うというよりも、パートナーのようなイメージですか?

 そうですね、クライアントと一緒により勝ち目がありそうな道を探っていく感覚です。僕自身は電通でメディア担当や営業を経て、クリエイティブの仕事にも携わっているので、そもそもあまり“自分はクリエイターだ”という意識がありません。クリエイティブに限らず、クライアントのマーケティングやコミュニケーション活動の一端を担う、優秀な相棒になれればと思っています。

 この連載「統合マーケティング・コミュニケーション」の統合って何かなと改めて考えたんですが、例えば角ハイボールのコミュニケーションだと、僕らは小雪さんや菅野さんの広告や店頭POP以外に「350ml缶で物足りない人がいるからもう少し容量の大きいサイズがあったほうがいいのでは」とか、「ソーダが瓶だけでなく、ペットボトルもあったほうがいいのでは」などと、商品自体にも関わることがあるので、確かに統合的に考えているといってもよいと思います。

 ――そこまで踏み込めるのは、やはり信頼関係あってこそなんですよね。統合という点では、一つのブランドについてだけでなく、例えばサントリーのウイスキーでは角瓶以外にもトリスや響など他ブランドを含めて手がけられています。

 これは徐々に増えていったんです。今ではウィスキー全体における各ブランドの立ち位置を踏まえて個別の企画を考えられるので、より戦略的なコミュニケーションができていると思います。

 でも根底にあるのは、サントリーのチームの皆さんがすごく考え抜いていらっしゃることにあります。もう5、6年前ですが、オリエンで1枚の絵を見せてもらいました。たくさんの人の中に、ハイボールをいろんな理由で楽しんでいる人と、これもいろんな理由でまだ試していない人がいて、間には“買わずの川”が流れているんです。

 「CMでも店頭でも飲食店を介してでもいいから、この川を渡ってきてくれる方法を考えてほしい」と言われて、一瞬で腑に落ちたのを覚えています。

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この記事の著者

石谷 聡史(イシガイ サトシ)

株式会社電通 プラットフォーム・ビジネス局 コミュニケーション・プランナーさまざまな企業の統合マーケティング戦略のコンサルティング・プランニング業務を行なう一方、コンタクトポイント・クロスメディア・PDCAなどマーケティング・コンバージェンスに関連する新しい手法開発にも従事。『クロスイッチ-電通式クロスメディアコミュニケーションのつくりかた-』(ダイヤモンド社)やクロスイッチを元にした英語書籍『The Dentsu Way』(McGraw-Hill)を中心となって企画・執筆。中国・韓国・タイでも翻訳本が出版される。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

高島 知子(タカシマ トモコ)

 フリー編集者・ライター。主にビジネス系で活動(仕事をWEBにまとめています、詳細はこちらから)。関心領域は企業のコミュニケーション活動、個人の働き方など。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2013/08/23 14:00 https://markezine.jp/article/detail/18137

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