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企業情報×リード情報の有効活用が壁を乗り越えるカギ シャノンが提案するデジタル×アナログ戦略の新機軸

 「SHANON BtoB Marketing Conference」が3月12日、都内で実施された。冒頭に行われた基調講演のタイトルはイベント全体のテーマでもある「つながるマーケティング」。基調講演に登壇したシャノンの代表取締役社長 中村氏は、“つながる”をキーワードにマーケティング領域における課題に対して、自分たちがどう貢献していくのかを具体的に示した。

毎月アップデートを重ねサービスを磨き上げている強み

 冒頭「SHANON BtoB Marketing Conference」には、当日までに1,200人超の事前登録が寄せられたことに謝意を述べた中村健一郎氏は現在約150人の従業員数にまで成長した同社の事業について紹介。

株式会社シャノン 代表取締役社長 中村健一郎氏
シャノン 代表取締役社長 中村健一郎氏

 シャノンでは、マーケティングオートメーション(MA)およびイベントマーケティング(EM)に特化したサービスを提供しており、BtoBだけでなくBtoCを問わず多彩な分野・業種で採用されている現状について説明があった。

講演資料より掲載、以下同
講演資料より掲載、以下同

 「2015年にリリースした『シャノンコネクト』をベースに2016年に『クレンジング』、2017年に『シナリオ』、2018年に『シャノン名刺』というように過去10年以上にわたって毎月、アップデートと機能強化・追加を継続してきたのが当社の強みの1つです。

 特に『シナリオ』機能はデジタルとアナログの施策を組み合わせながら直感的に簡単な操作で総合的な施策のシナリオが描けるのが大きな特徴で、展示会やイベント実施後のフォローなど顧客とのリアルなコミュニケーションを想定して構築できます。

 また『シャノン名刺』は既存の顧客データと連携させ、商談の機会を増やすことを目的に開発した機能で、一般的な名刺管理ソフトやツールと比べて最大50%オフという低コストを実現しています」(中村氏)

業務提携やパートナーとの連携も加速

 次いで毎月、アップデートを重ねてきたSMPの最新の取り組みとして紹介されたのが今年1月22日に報道発表された富士通コミュニケーションサービスとの業務提携だ。

 「富士通コミュニケーションサービス様に『カスタマーエンゲージメントセンター』という部署が設けられ、SMPの導入・活用・運用にあたってのサポートを専門に手がける新しい取り組みも開始しました。

 シャノンがめざすのは、“テクノロジー”と“サイエンス”で、企業のマーケティングの課題を解決する会社になることです。そのためにアップデートや機能強化・追加だけにとどまらず、協業やパートナーとの連携などを通して、新しい価値を提供しつづけていくことにも今後さらに注力していきます」(中村氏)

 さらに進化するSMPの最新の取り組みとしてこの日、初めて公表されたのがウイングアーク1stのBIダッシュボード「MotionBoard Cloud(以下、MotionBoard)」との連携によるマーケティングデータの可視化サービスだ。

 「この場で初めて発表するものですが、シャノンのSMPのデータを『MotionBoard』と連携させることで過去のデータとの比較や推移をわかりやすく表示させるという取り組みです。

 2019年夏のリリースをめざして現在、連携と開発に取り組んでいる段階ですが、マーケティングに役立つデータをさらに使いやすく可視化することで次の施策へとスピーディーにアクションを実現するサービスを予定しています」(中村氏)

 次いで中村氏が語ったのが、イベントと基調講演のテーマに共通する「つながる」をキーワードにした同社の取り組みと、企業とビジネスを成長させるマーケティングのためのヒントだ。

「二項対立」から「つながる=融合」へのシフト

 「つながる」をキーワードに、中村氏が強調したのは二項対立から融合へとシフトしていくことで生まれる新しい価値創造だ。

 「マーケティングの分野ではよく、デジタルとアナログ、サイエンスとアート、プロセスとブランド、マーケティングとセールス、ツールと考え方、競争と共創といったように二項対立する概念やキーワードについて議論されます。

 『デジタルとアナログ』というキーワードを例にあげてみても、一時的にデジタルへの動きが顕著になると『アナログ回帰』がトレンドになるように、どちらか一方が注目されると逆のほうへと流れが変わっていく特徴もあります。

 私たちはこうした二項対立ではなく、2つのキーワード同士がうまく『つながる』ように、つまり『融合』させていくことが新しい力につながるのではないかと考えています」(中村氏)

“社会とつながる”ことをめざしてシャノンが取り組む社会貢献

 一方でビジネスの側面だけではなく、シャノンは「社会とつながる」取り組みも積極的に推進している。

 「『社会とつながる』取り組みの1つは『シャノン ソーシャル サポート プログラム』です。国内で、医療・貧困問題、教育、環境問題など様々な社会の課題に取り組んでいる複数のNPO法人をサポートする目的で当社の製品を特別なライセンスでサービスを提供しています」(中村氏)

 ここで複数のNPO法人へのサポートが紹介されたが、当日、来場者に配布されたグッズのなかにシャノンのロゴマーク入りステッカーが貼られた石鹸が紹介された。

 これは障がいをもった人たちが職人として製造している石鹸で、コムテックの特定子会社であるリンクラインにオーダーして調達したものだという。

 次いで紹介されたのが一定の基準を満たしたITベンチャーやスタートアップを対象にSMPをリーズナブルな価格で提供する「シャノン テック サポート プログラム」という取り組みだ。

 「私たち自身も2000年8月設立のITベンチャーの1つです。どのベンチャー、スタートアップも同じだと思いますが、会社を設立してビジネスが軌道に乗るまではなかなか高価なツールやソフトウェアへの投資が難しいものです。そこでいくつかのベンチャー、スタートアップにSMPを導入・活用しやすいようリーズナブルな価格で提供しています」(中村氏)

 このプログラムを利用しているスタートアップの1社として中村氏にうながされて登壇したのがエクレクトの代表取締役 辻本氏だ。

株式会社エクレクトの代表取締役 辻本真大氏
エクレクト 代表取締役 辻本真大氏

 エクレクトは米Zendesk製品の導入・活用にあたっての提案・支援を手がけるスタートアップで、日本で唯一、Zendeskの公認ソリューションプロバイダーおよび公認インプリメンテーションパートナーに認定されているスタートアップだ。

 辻本氏からは、展示会やイベントなどに来ていただいた潜在ユーザーを中心にスピーディーにリアルなコミュニケーションへとつなげていけるツールとして活用している旨の説明があった。

「つながる=融合」から見いだされる「より良い顧客体験」

 続いて中村氏がとり上げたキーワードは「顧客体験」。

 「WebサイトやFacebookページを閲覧して資料をダウンロードするなどのデジタルの領域と、展示会やセミナーに足を運んで届いたDMに目を通すといったアナログの領域と、顧客の側はデジタルとアナログを意識することなく行動しています。

 より良い顧客体験を実現できるかどうかで大きな差がつく時代にあって、マーケティングの現場でも顧客の側に立ったデジタルとアナログを組み合わせた施策こそが、より良い顧客体験につながると考えています。

 シャノンでも、いきなり電話をした場合はアポイント獲得率が1~3%だったのに対して、ターゲット選定やメッセージ決定、フォロー設計などの事前準備をしてDMを送付したうえで電話をした場合はアポイントにつながる確率が12%だったという結果が出ています。さらにDMを送った後に電話をした場合は、約96%がそれほどネガティブな反応ではなかったという感触も得ています。

 つまりイベントや展示会、セミナー、電話などアナログの領域でこそ効果がある顧客への接触頻度と、資料のダウンロードやDM、メールなどデジタルの領域が活きる接触頻度とを考慮した施策のためのシナリオ構築が求められているのが現状ととらえています」(中村氏)

 BtoB、BtoCに関わらずデジタル×アナログ戦略による「より良い顧客体験」がマーケティングの成否を握っていると語った中村氏から最後に紹介があったのが、マーケティング施策上で課題となっている「非認知」と「既存顧客」へのアプローチだ。この課題に対する解決策として中村氏は「企業管理機能」という新機能を発表した。

企業情報を加えることで「非認知」および「既存顧客」へも対応

 「図の紺色の部分は一般的にMAでカバーされているエリアですが、この部分はリード情報、言い換えれば人単位でのコミュニケーションとなり解決策があります。一方で、黄色い部分は企業単位で管理しないと解決できません。企業管理機能によって、企業情報を活用したマーケティングが可能となります

 では、具体的にどのようなプロセスで解決していくのだろうか。非認知の解決について、中村氏は次のように提案する。

 「逆三角形型の購買ファネルの図は皆さんよくご存知だと思います。この購買ファネルへのアプローチは、『購入』から『商談』『比較・検討』へと下から上の階層へと最適化していくのがセオリーです。最適化を進めていくと最終的に『非認知』へたどりつくのですが、認知拡大の手段としてテレビCM、交通広告などに踏み切れるかというと、巨額の費用が必要となるのでハードルが高い。その中で『認知の壁』を超える手段として、デジタルとアナログの組み合わせが有効だと考えます」(中村氏)

 たとえば、DMとの組み合わせ。非認知層へDMを送り、DMに反応してサイトへ訪問してきた企業担当者にだけ、電話でフォローしてというやり方をとれば、少しずつではあるが自力で非認知層へのアプローチが可能となる。こういったやり方も企業管理機能で実現できるようになるというわけだ。

 続いて、既存顧客の課題に対する解決策についても提示した。既存顧客は多くの場合、マーケティングではなく営業/セールスが個別にフォローしているのがほとんどと中村氏は指摘。一般的に新規顧客への販売コストは、既存顧客の5倍必要という現実を示し、改めて既存顧客へのアプローチを見直すべきだと主張した。

 この既存顧客へのアプローチという課題の解決にも企業管理機能が役立つ。展示会やセミナー、資料請求、ホワイトペーパーなど複数のチャネルからもたらされる顧客情報を企業管理機能と共に開発した、独自開発のマッチングエンジンで、新規顧客と既存顧客を自動的にリアルタイムで分類してくれるという。

 「展示会後のフォローを例に試算したところ、従来の方法だと名刺のデータ化に1~2週間、リストの振り分けに3~7日、営業のアサインまでに1~3日かかるとすると従来の方法では11日から24日かかっていました。それが企業管理機能なら最短1日で可能です。最大1/24の時間短縮が実現できるので、その分スピーディーに次のアクションを行うことができます。

 自社の事業やビジネスが“踊り場”で成長が見えないという企業の場合、認知拡大と既存顧客へのアプローチがうまくいっていないというケースが多いです。企業管理機能を搭載したSMPを活用いただくことで、踊り場の状況も脱するお手伝いができると考えております」(中村氏)

 デジタルとアナログを意識することなく行動している顧客へ向けて、より良い顧客体験の提供はどの企業にとっても大きな課題だ。シャノンは、この課題に向き合い続け課題解決に最優先で取り組んでいる。その姿勢と覚悟を、経営トップの中村氏自らが示した基調講演となった。

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この記事の著者

浦野 孝嗣(ウラノ コウジ)

 2002年からフリーランス。得意分野は経済全般のほかIT、金融、企業の経営戦略、CSRなど。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2019/04/05 11:00 https://markezine.jp/article/detail/30657