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事例&データで深掘り!Instagramマーケティングの現在地(AD)

アスリートの力をマーケティングに活用 Instagramが見せるスポーツマーケティングの未来

 10月31日、スポーツWebメディア「Sportie(スポーティ)」を運営するスポーツITソリューションとFacebook Japanは、招待制イベント「Sports×Instagram Summit Vol.1~ Instagramが変えるスポーツマーケティングの未来~」を実施した。イベントでは海外も含めた最新のInstagram活用事例の紹介や、Instagram利用に関する大規模調査の結果、実際に活躍しているアスリートを呼びディスカッションなどが行われた。アスリートメッセージの持つ力をどう企業のマーケティングに活用していけるか、そのヒントが詰まったイベントの一部を抜粋してお伝えする。

Instagram×スポーツに潜む可能性

 スポーツITソリューションとFacebook Japanは、「スポーツ×Instagram」をテーマに2019年4月より協業を発表。アスリートのInstagram活用に関する情報発信や、企業の広告活用促進のために様々な取り組みを進めており、今回のイベントはその先駆けとして開催された。

 冒頭にはスポーツITソリューション代表取締役会長の家本賢太郎氏が登壇し、「Instagramの様々な機能を使い、コラボレーションのパターンを作りながら、アスリートの活用と企業・ブランドの広告活用促進を進めていく」と展開イメージを語った。

スポーツIT ソリューション 代表取締役会長 家本 賢太郎氏
スポーツITソリューション 代表取締役会長 家本 賢太郎氏

 続いてFacebookのアメリカ本社より、Instagram パートナーシップ スポーツ統括のデイヴ・セティ氏が登場し、海外のInstagram事例と共にアスリートブランディングの必要性について言及した。

Facebook Instagram パートナーシップ スポーツ部門統括 デイヴ・セティ氏
Instagram パートナーシップ スポーツ部門統括 デイヴ・セティ氏

 Instagramで、スポーツ関連のアカウントをフォローしている利用者は4億以上。スポーツ好きな利用者は、1人あたり8人以上のアスリート、平均で3ヵ国のアカウントをフォローしていることがわかっていることから、「Instagramを通して世界中の方に知っていただく、好きになっていただくチャンスがあるということを心に留めておいてほしいと、初めに語ったデイヴ氏。

 Facebookでは「Instagram×スポーツ」で様々な取り組みを行っているが、特に「IGTV」「ストーリーズ」「安全・安心なプラットフォーム」に力を入れているという。

 またInstagramを上手に活用しているアスリートは、偶然フォロワーやエンゲージメントが伸びたわけではなく、意図的にファンの期待値を設定して応えていくやり方をしていると語り、アスリートが自分のブランドをどう構築しているか、海外選手の例を挙げて紹介された。その際の鍵となるのは、「アカウントの役割の定義」「一貫性にフォーカス」「ストーリーズや動画を積極的に試す」の3つだ。

 これらを意識してアスリートがコンテンツを定期的に配信していくことで、自身のブランドの価値を更に高められ、スポンサーとの良いブランドコンテンツが生まれていくことにもつながるとデイヴ氏は明かし、セッションを終えた。

アスリート610人への調査から見えたInstagramの役割

 次にFacebook Japanの水谷晃毅氏とカンター・ジャパンの関井利光氏から、50競技の国内アスリート610人を対象に実施した大規模調査の結果が紹介された。

 Facebook Japan エージェンシーパートナーマネージャー 水谷 晃毅氏 カンター・ジャパン メディア&デジタル ディレクター 関井 利光氏
左:Facebook Japan エージェンシーパートナーマネージャー 水谷 晃毅氏
右:カンター・ジャパン メディア&デジタル ディレクター 関井 利光氏

 調査によると、63%のアスリートが週1回以上Instagramを利用していて、74%が「Instagramが競技パフォーマンスに良い影響を与えている」と回答。その理由として、「応援がモチベーションになる」という意見が一番多かった。

 一方で、好きなアスリートの投稿から影響を受けて購買行動をしたInstagram利用者が6割もいることもわかった。そして水谷氏は、これらの調査結果をもとに、Instagramでアスリートが幅広い機能を使うことで、ファンをさらに集め、スポンサーとのコラボレーション機会が増やせる可能性を強調した。

 「個人的に勧めたいのは、ストーリーズのインタラクティブなスタンプ機能です。たとえばアンケートスタンプでは投票を募ることができるので、明日着ていくウェアの色を聞いて、投票の多かった方を着て、その姿をまた投稿するというファンとの双方向のやり取りが可能です。そのほかにもIGTVで、競技への意気込みなどを語った長尺のインタビュー動画などを投稿することもできます。ファンとの交流のためにそうした機能を使うことはもちろん、スポンサー企業とコラボして活用するとブランド・アスリート双方にメリットがあるはずです」(水谷氏)

 実際のコラボレーション事例として、サーフィンの五十嵐カノア選手とコラボしたVISAの広告が紹介された。テレビCMの素材を再編集してInstagramストーリーズの広告として配信したもので、金融業界の企業が展開する広告の平均よりも利用意向を10ポイント増加させたという。

 「縦長画面を上手く使った点と、アスリートを上手く押し出したところがアテンション獲得につながったと考えられています」(水谷氏)

 さらに、Instagramでは、所属選手が契約ブランドのPR投稿などがしやすくなるブランドコンテンツツールやアスリートの投稿を広告に活用できるブランドコンテンツ広告など、アスリートとブランドによるコラボが進みやすい仕組み作りにも注力していることを、セッションの終盤に明らかにした。

 「こうした仕組みを、アスリートだけでなく、スポンサー企業の方々にも理解していただき、アスリートやインフルエンサーをもっと語り手にしたコミュニケーションに挑戦してほしいです」(水谷氏)

カヌーの羽根田選手ら語る、Instagramの可能性

 イベント後半には空手の植草歩選手、カヌーの羽根田卓也選手、Facebook Japanの水谷氏、電通デジタルの小林慎一氏によるパネルディスカッションが行われ、アスリート、ビジネス両方の視点からInstagramの活用、コラボの可能性など、いくつかのテーマで話が交わされた。

左から空手 日本代表 植草 歩選手 カヌー 羽根田 卓也選手 Facebook Japan水谷氏 電通デジタル 執行役員 小林 慎一氏
左より、空手 植草 歩選手
カヌー 羽根田 卓也選手
電通デジタル 執行役員 小林 慎一氏
Facebook Japan 水谷氏

 まずは3万人以上のフォロワーのいる植草選手、羽根田選手の両選手に、Instagramによってファンとのつながりが感じられた瞬間を聞いたところ、それぞれからエピソードが語られた。

 「試合に負けたときでも、できる限り早くInstagramで報告するようにしている。日ごろからInstagramを見てくれているファンの方は近況をわかっているので、ファンの方々からたくさんの温かいコメントをいただいて、また頑張ろうという気持ちにさせてもらった。Instagramのファンとの関わりや応援してくれている人達の存在を身近に感じる出来事でした」(植草選手)

 「Instagramを通してカヌーの魅力や、トレーニングで滞在しているカヌーの本場であるスロバキアの魅力を発信しているのですが、実際に僕の投稿から魅力を感じてもらえて、それまで観客がほとんどいなかった国内の大会にたくさんのお客さんが来てくれたり、なんとスロバキアまで応援に来てくれたりする方も現れました。Instagramならではの人との近さみたいなものを感じさせてもらいました」(羽根田選手)

 また、両選手ともInstagramがビジュアルに特化したプラットフォームになっている点を評価しており、練習風景を届けるのに動画を使ったり、インスタ映えを意識したりと、こだわりを語ってくれたほか、企業のPRをするときには、「さり気なく商品がアピールできるような見せ方」(植草選手)、「あからさまに広告だと思われないよう、その会社の信念や姿勢が汲み取れるような内容」(羽根田選手)と様々なことを意識していると話した。

アスリートとコラボする2つのメリット

 電通デジタルの小林氏は、マーケティング活動において様々なインフルエンサーがいる中で、アスリートを起用するメリットは大きく分けて2つあると見解を語った。

・スポーツの世界では国民的ヒーローやヒロインが1日で生まれることがあるので、広告クリエイティブが新鮮なものを作りやすい

・アスリートが努力している姿や、より高い目標に向かっている姿勢が企業姿勢との親和性が高い

 それに加え、Instagramが登場・普及したことでこれまでのアスリート活用から変化が出てきたという。

 「テレビCMだと流行りのアスリートを起用していち早く企画、撮影したとしても、世の中に出るのは数ヵ月先になることが少なくなく、その間のアスリートの試合状況や、怪我などのトラブルによっては流せなくなるケースも出てきます。Instagramであれば、アスリートに常に接続することができるので、多少試合の結果が振るわなかったとしても応援する気持ちが離れてしまうことがない。スポンサーもファンと同じ目線でアスリートを応援すれば、新たなエンゲージメントが生まれてくると思います」(小林氏)

 水谷氏も、「ブランドコンテンツ広告であれば、すぐに企業がプロモーションできる即時性を持っている」と、新たなスター候補を使う、ホットなスポーツ選手とコラボするメリットがInstagramだと創出できることを明らかにした。

Instagram×スポーツは今後どう変わる?

 さらに、これからのInstagram活用に話が及ぶと、「アドボケーター(擁護者)」の育成がキーになると小林氏は発言した。

 「コトラーは、その著書『マーケティング4.0』の中で、『接続性の時代にはアドボケーターを育てていくことが、これからのマーケティング活動には大切である』と主張しています。ただ、それを成し遂げる具体的な方法については、はっきりとは書かれていません。ですが、今のInstagramの盛り上がりであれば、企業がアスリートをファンと同じように応援することで、共感が生まれ、アドボケーターが生まれてくるのではと思っています」(小林氏)

 そして、アスリートとして参加した植草選手と羽根田選手も、今後の意気込みを語り、セッションを締めくくった。

 「最近のラグビーの盛り上がりは、選手の努力、苦労を見てくれる方々が感じ、応援の力に変わったからこそ。私も来年の東京2020オリンピックに向けて、様々なことを発信して身近に感じてもらえるような選手になって、感動する試合をしてブームを起こしたいです」(植草選手)

 「試合だけ見るのと、出場している選手の長いストーリーを見るのでは伝わり方が違うと思います。Instagramを通してその魅力的なストーリーを作り、東京2020オリンピックで最高のパフォーマンスを発揮したいです」(羽根田選手)

FC東京・橋本拳人選手が語る、Instagramのイメージ

 イベント終了後には同イベントに参加していた、FC東京所属でサッカー日本代表でもある橋本拳人選手にインタビューを行うことができた。インフルエンサーとして企業のマーケティング活動に関わる際の姿勢などをうかがった。

 FC東京 橋本 拳人選手
FC東京 橋本 拳人選手

 橋本選手はInstagramを中心としたSNSでの発信を行っており、そこには試合後の想いやファン・サポーターへの感謝を伝えているほか、サッカー以外の活動、プライベートの様子などが上げられている。最初こそ他の選手が使い始めていたのを見て乗っかる形だったが、そこに集まるファン・サポーターからの反応が嬉しく、ポジティブな気持ちで使っているという。


 「試合に負けて悔しさが募るときでも、応援してくれる人のために頑張ろうと思いますし、ときに厳しい言葉も書いてありますが、次はその人たちを喜ばせる試合をしようと、逆にモチベーションが上がったりする。どんなコメントもプラスになっています」(橋本選手)

 また、自分を支援してくれるスポンサーのための投稿は行ったことがあるかを聞いたところ、自身と契約しているスポーツメーカーの商品を着用した写真をアップしたこともあるという。「自身とその商品がかっこよく映ることを意識している」と橋本氏は語っており、選手自身のブランディングはもちろん、スポンサーブランドへの貢献も心がけているのがうかがえた。

 最後に、今回のイベントの感想を聞いてみた。

 「今回のイベントには、他のスポーツ選手がどのようにInstagramを利用しているのかが気になって参加しました。今日の話を聞いて、これから自分はどういった色を出していくべきか考えるきっかけをもらえたように思います。今後は自身のプライベートに関する投稿はもちろん、スポンサー企業やチームに貢献できる投稿も積極的に行っていきたいです」(橋本選手)

 Instagramがスポーツとの親和性が高く、アスリートにとっても重要なプラットフォームになっていることがわかった。今後、企業とアスリートのコラボレーションが積極的に進むと、ファンや消費者にとって関連性の高い広告コンテンツも増え、三者にとって有益な仕組みが生まれるのではないだろうか。

スポーツ×Instagramの親和性の高さを、徹底調査

 今回登場したカンター・ジャパンとFacebookによる調査の結果を、より詳細に解説した記事が現在MarkeZineにて公開中! 「本当にInstagramってスポーツと相性がいいの?」「Instagramとスポーツの親和性がわかるデータがもっと欲しい」という方は、ぜひこちらの記事もご覧ください。

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この記事の著者

畑中 杏樹(ハタナカ アズキ)

フリーランスライター。広告・マーケティング系出版社の雑誌編集を経てフリーランスに。デジタルマーケティング、広告宣伝、SP分野を中心にWebや雑誌で執筆中。

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MarkeZine(マーケジン)
2020/05/18 12:01 https://markezine.jp/article/detail/32384