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MarkeZine Day 2020 Spring(AD)

“一般的な人”の行動や考えってどんなもの? 消費者の本音を探るLINEリサーチの特性

 いまや国内のコミュニケーション基盤となっているLINE。月間アクティブユーザーは8,300万人(2019年12月時点)と国内人口の6割超をカバーしており、幅広い年代に浸透している。この大規模なユーザー基盤と、優れたコミュニケーション機能を活用し、リサーチを行えるサービスが「LINEリサーチ」だ。質・量・時間において、従来の調査から大きく飛躍したサービスとして期待されている。MarkeZine Day 2020 Springでは、そんなLINEリサーチの特徴と調査事例が共有された。

“普通”のスマートフォンユーザーを幅広くカバー

 MarkeZine Day 2020 Springに登壇したLINE インサイトリサーチ室 副室長の地福節子氏は「LINEという大規模なコミュニケーションインフラで調査を展開することで、これまでの調査の概念が変わり、新しい調査の未来が拓けてきました。今日はその具体例と今後の未来について説明したいと思います」と話し、講演を開始した。

LINE株式会社 インサイトリサーチ室 副室長 地福節子氏
LINE株式会社 インサイトリサーチ室 副室長 地福節子氏

 LINEリサーチの特徴はなにか。一言でいうと、きわめて一般的なスマートフォンユーザー、どこにでもいる生活者の行動や考えを明らかにできることだ。

 地福氏は、その“普通さ”について、自社調査結果のデータや総務省の人口推計を用いて、次のように説明した。

クリックして拡大
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 まずはネットユーザーの行動について、LINE社の訪問留置調査によると週に1回ネット環境にアクセスするネットユーザーのうち、デバイスが「スマホのみ」というユーザーは全体の49%、「スマホとPC」というユーザーは44%。つまり、ネットユーザーの98%は週1回以上スマートフォンからアクセスしているということになる。また、2017年から2019年にかけてのネットユーザーの推移を見てみると、「スマホのみ」のユーザーの割合が増えていることがわかる。

 「ここ数年で、デジタル広告費がPCからモバイルへとシフトしていることからも、消費者の行動のメインはすでにモバイルに移行したと言えるでしょう」(地福氏)

 次に、総務省が発表している日本の人口では、生産年齢人口と呼ばれるアクティブな15~64歳が全人口の6割を占め、7,545万1,000人とされている。LINEの月間アクティブ数である8,300万人は、これら生産年齢人口の数を上回り、さらに上や下の年代のスマートフォンユーザーに広がっているものである。つまり、しばしば調査の対象となりうるような年代は、すでにほぼカバーできている媒体であるといえるだろう。

調査が届きにくい若年層の貴重な声も

 現在、LINEリサーチには2つのメニューがある。LINEユーザーをモニターパネルとし、このモニターを対象に調査を行う「モニター型リサーチ」と、8,300万MAUの全LINEユーザーを対象に幅広く調査を行う「オープン型リサーチ」だ。

 「モニター型リサーチ」のモニター参加者は、現在約506万人で男性と女性の比率は1:2。注目すべき特徴は10~20代の若年層が53%を占めていることで、高校生にしぼると「5人に1人がパネルになっている」という。

 また、他社パネルへの登録割合が少ないことも特徴のひとつだ。一般的な調査会社の場合、モニターの4分の3ほどが「他社のモニターにも登録している」状態で、さらには「5社以上登録している」というモニターが21%もいる

LINE株式会社調べ
LINE株式会社調べ

 これに対しLINEリサーチのモニターは、他社パネルへの未登録者が全体の7割、ほか1社登録しているモニターが約16%。したがって、調査慣れしていないフレッシュなモニターを対象に調査を行えるという利点がある。

 一方「オープン型リサーチ」は、LINEユーザー全体に対して調査できるもの。不特定多数を対象に、大規模なアンケート調査を行うことが可能だ。

 調査対象への接触方法は、Webや紙に掲載したQRコードからアンケート画面へ誘導したり、SNSやメールをタッチポイントに使ったり、特定の居場所にいるユーザーをLINE Beaconで検知してメッセージを送るという方法もある。

 自社のLINE公式アカウントがあれば、友だち追加を促したり、アンケートの謝礼としてユーザーにLINEポイントを付与したりすることも可能。「個人情報をやり取りせずに、インセンティブを付与できるのも利点です」と地福氏はメリットを挙げた。

LINEリサーチの特長を生かした3つの調査事例

 続いて地福氏は、LINEリサーチの3つの大きな強みについて説明し、それぞれ調査事例を紹介した。

生活者の「場所」をベースに調査可能

 ひとつ目は、スマートフォンの位置情報を活用して、「地点」にもとづく調査ができること。特定の地域や地点にいるユーザーを対象にした調査が可能で、商業施設内での行動調査や生活行動パターンの調査、特定地域での広告成果の測定など様々な目的に応じて調査を設計できる。なお、事前に位置情報利用の許諾を得たユーザーのみが対象となる。

 地福氏が紹介したのは、千葉県にある「柏駅」「流山おおたかの森駅」の2つの駅の利用者に対する調査。この調査では、それぞれの駅から1キロ圏内にいる人と2キロ圏内にいる人を抽出し、利用する駅やよく訪ねるショッピングモール、外食の回数などを調査。加えて、家族構成や持ち家の有無を聞くことで、それぞれの圏内にいるユーザーの行動パターンや特性も分析した。

 その結果、駅から2キロ圏内にいる人は、利用する駅やよく行くショッピングモールが複数になるなど行動範囲が広がる反面、外食の機会は減るという傾向が見られた。

 特定エリアにおける調査でこれだけのボリュームが出るのは、LINEリサーチだからこそである。多くの生活者にアプローチでき、様々な条件のエリア分析に活用できるのだ。

従来ではなし得なかった層への調査

 2つ目に、LINEユーザーであれば「誰でも」調査対象にできる点がある。自社のユーザーや顧客以外に調査を広げ、潜在的なニーズを探ったり、顕在化していない層にアプローチしたりする際に活用できる。

 この特長を説明するために地福氏が紹介したのは、本田技研工業が開催するイベント「Enjoy Honda」でのLINEリサーチ活用事例。

 本田技研工業は、イベント会場でアンケート画面に遷移するQRコードが記載されたカードを配布し、アンケート調査を実施。イベントにもともと興味を持っている層や顧客に加え、隣接会場で開催されていたイベントの来場者にもカードを配布しアンケートに回答してもらうことで、幅広い対象者の潜在的なニーズを探ることができた。それまであまりリーチできていなかった若年層や車に少し興味がある層に接触できたことも大きな成果だったという。

 LINEユーザーなら「誰でも」調査対象になることを効果的に活用した事例だ。

広告最適化に活用している企業も

 3つ目の強みは、広告の効果測定や成果の最大化にも活用できること。LINEリサーチでは、自社以外のモバイルアドネットワークを横断して配信効果を測定するサービスを提供しており、実際に広告配信後のブランドリフト調査にLINEリサーチを活用する企業も多いそうだ。

 「LINEリサーチはモニター数が多く、該当する調査対象が出やすいため、実施困難な小規模スケールでの案件も調査可能なことが多い」と地福氏。

 また、ユニークなサービスとして、広告効果を最大化する「カスタムシードサーベイ」もある。これは広告配信の対象者の特徴をLINEリサーチを使って調査を行い、その条件データをもとにLINE広告を拡張配信するというもの。このサービスを使ったある有料コンテンツのサービス事業者は、CPIが従来のLINE広告の10分の1まで下がったという。

今日明日の生活に直接役立つ意識調査

 これだけ広く国内で使われているLINEで調査を行う意義について、地福氏は「日常の生活インフラを通じて、調査を行うことにある」と話す。かつての電話やテレビと同じように、普通に生活に馴染んでいるメディアを通じて意識調査や行動調査を行うことで、「生の声」を聞くことができるという意味だ。

 LINEでは現在、CSRの観点から世界中で対応策が課題となっている新型コロナウイルスに関する国内の意識調査を行っている。これまで2020年2月5日に第1回目、同月19日に第2回目、3月2日第3回目の調査を実施。どんなことが心配で、どのくらい混乱しているのか、フェイクニュースやデマ情報をどの程度認識しているかなどを聞いている。

 回答者数は約5,000名、毎回新しいサンプルで調査を行い、リアルな声を拾い上げてきた。地福氏は講演内で調査の一部を紹介した。

 初回の調査では、新型コロナウイルスに関し、最も心配な点は「いつ流行が落ち着くかわからないこと」と答えた人が60%以上と最も高かったが、3月2日時点では「悪質なフェイクニュースやデマ情報が出回っていること」との回答が急増。フェイクニュースやデマ情報に気づいているユーザーが多いことがわかった。

 また、「情報に踊らされず、みんな冷静に対応してほしい(68%)」という声や、通常営業をしている/していない企業に対する理解も高かったことから、地福氏は「多くの人は冷静かつ穏やかに事態を受け止めているようです」と話した。

矛盾もある生き生きとした消費者の本音

 こうして見てきた通り、大規模なコミュニケーションインフラを使うことで、より広範囲な生活者に迅速に接触することができる。最後に地福氏は、「非常にスタティックで長期間におよぶ従来の調査方法から、リアルタイムかつ大規模に、時には矛盾をはらみながらも生き生きとした消費者の本音を探ることができる新たな調査方法に、可能性を感じています」とLINEリサーチの魅力を強調。

 誰もが普通に使っているツールを使うことで、調査という手段が、質的にも量的にも、そしてリアルタイム性という時間軸でも大きく変化しつつある。今後、どのような形でLINEリサーチが生かされていくか、注目したい。

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この記事の著者

岩崎 史絵(イワサキ シエ)

リックテレコム、アットマーク・アイティ(現ITmedia)の編集記者を経てフリーに。最近はマーケティング分野の取材・執筆のほか、一般企業のオウンドメディア企画・編集やPR/広報支援なども行っている。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2020/04/14 11:00 https://markezine.jp/article/detail/33060