15秒の動画広告で伝えられるポイントは1つ
──続いて、具体的なキャンペーン内容を教えてください。
杉山:今回のキャンペーンにはエコカラットという商品を起用し、2020年1月から3月までYDAで動画広告を配信しました。エコカラットは、20年以上ロングセラーを続ける内装機能建材で、Instagramでも投稿数が多い人気の商品です。
特長は、デザイン性と、脱臭や調湿(適切な湿度を保つ機能)などの機能をあわせ持っていること。動画では、コンパクトサイズのエコカラットを取り上げました。絵画のようにインテリア感覚で飾れることと、機能性を訴求したいと考えました。
──動画クリエイティブの制作で、重視したポイントはどういったところでしょうか。
吉村:アウトストリーム型のYDAの動画広告は、冒頭の数秒が勝負です。エコカラットは生活者からの認知が高い商品ですから、「ブランドの魅力」を冒頭に置いた構成案を考えました。その案に対し、妹尾さんからは「この文字数のメッセージを伝えるなら○秒くらい必要です」など、動画のプロフェッショナルの立場からアドバイスをいただきました。
妹尾:実は、15秒で伝えられることは1つしかありません。動画制作のときは、「何を1番伝えたいのか」をいつも意識しています。特に杉山さんから、「エコカラットのカラーバリエーションを伝えたい」と伺っていましたので、ご用意いただいた玄関空間の素材を元に、複数の動画を制作しました。
杉山:吉村さんからは、正方形フォーマットの動画広告のアドバイスをいただきました。このフォーマットでは、テキスト情報やCTAボタンが置きやすいんです。どんなデザインが最適なのか、一緒に議論をしながら制作を進めました。
──制作には、どのくらいの期間がかかりましたか。
吉村:とてもスピーディーでしたね。LIXIL様の場合、キャンペーンの期間が1ヵ月から2ヵ月と短期的なため、クリエイティブ制作にあまり時間をかけられません。もちろんクオリティの高いクリエイティブの制作が必要ですが、配信後の運用までを意識し、それぞれで早めの意思決定を心がけました。
動画のコンバージョン率は静止画と比べ424.5%に
──成果を教えてください。
杉山:静止画と動画のクリック率を比較したとき、動画のほうが高く、281%の違いがありました。加えてコンバージョン率も高く、424.5%でした。
また、エコカラットの機能性をきちんと伝えられましたね。エコカラットはいわゆる「壁」なので、ご存じのない方が見ると「エコカラットってどれ?」となってしまうんです。でも、動画のエフェクトでエコカラットを具体的に表現できました。この反響を受けて、継続して動画広告を実施しています。
吉村:2回目の動画広告の配信では、梅雨を想定して動画の切り口を変えました。カエルの画像を入れて、エコカラットの調湿性を強調し、課題解決型のクリエイティブにしています。また、リターゲティングも行い、新規ユーザーには新しいクリエイティブ、リターゲティングでは初回キャンペーンで使ったクリエイティブを配信しました。
──LIXIL社内ではどのような反響がありましたか。
杉山:「静止画で表現したときよりも、動画のほうがわかりやすい」という声が印象的でした。他事業、キッチンやバスルームなどの担当者も、「動画は表現の幅が広がるね」と話しています。お客様が知りたいこと、そして私たちが伝えたいことの両方がバランス良く表現できるのは、動画のほうが優れていると感じました。