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MarkeZine Day 2022 Spring(AD)

「コンテンツは定点観測しながら育てていく」SEOのプロが語るリライトの作法

 BtoC企業に限らず、BtoB企業でもオウンドメディアを持ち記事コンテンツからのリード獲得を目指す企業が増えてきた。Webサイトと同様、コンテンツの一つひとつにSEOが必要だが、記事を公開して終わりになってしまうケースも少なくない。限られたリソースでオウンドメディアのコンテンツに最適なSEOを行っていくには、「記事のリライト」が鍵になる。MarkeZine Day 2022 Springに登壇したPLAN-Bの木村律也氏がそのポイントを解説した。

数値で見る「リライトが重要な理由」

 せっかくオウンドメディアを運営していても、記事コンテンツの成果が出ない、SEOの順位が上がらない、それらを見直す時間もない……と様々な課題を抱えている企業は多いだろう。

 PLAN-BはSEOを中心にWebマーケティング全体を支援する企業で、同社自身もオウンドメディアを運営。毎月40万PV、リード獲得数は数百件を達成している。本セッションに登壇した木村氏は同社において「SEARCH WRITE」というSEO支援ツールのフィールドセールスを担当している人物だ。

株式会社PLAN-B 新規事業統括本部 SEARCH WRITE事業部 木村律也氏
株式会社PLAN-B SEARCH WRITE事業部 シニアコンサルタント 木村律也氏

 木村氏は、本セッションのゴールを「SEOにおけるリライトの重要性を理解し、リライトのポイントを押さえていただくこと」とし、オウンドメディアにおけるPDCAサイクルをステップごとに分けて具体的に解説した。

 そもそもSEOにおいて、リライトはなぜ重要なのか。

 多くのオウンドメディアやWebサイトでは、とにかく記事を公開し続け、記事が50~100本たまってきてからリライトしようとすることがある。しかし「本来は記事を1本公開したら、定点観測しながら育てていくのが理想」だと木村氏は指摘する。

 というのも、リライトなしでセッションが伸長し続ける記事は全体の約24%だということが、PLAN-Bの調査でわかっているのだ。つまり、残り75.6%の記事は何もしないと順位が下がり流入数も減っていくことになる。

 木村氏はこの理由を受験生の偏差値に例えて説明した。

 「勉強しなくなった受験生の偏差値は下がっていきます。他の受験生が勉強するからですね。SEOもまったく同じで、順位を取りたいキーワードは競合他社も重視しているキーワード。他社がいい記事を書いて上位に入ってくると御社の順位が下がっていくのです」

 では、これらをリライトするとどれくらいの成果が出るのか。

 PLAN-Bの調査では、リライトによって効果が出た記事は全体の62.2%。さらにそのうち82.1%はリライト後4ヵ月で200%以上の伸長率を達成したという。つまり10本リライトすると6本に成果が出て、6本のうち5本は倍のセッション数になったことになる。

 このように1本の記事をコンバージョンの取れる記事に育てていくためには、公開して終わり、一度リライトして終わりではなく、PDCAを回していく必要があるという。リライトにおけるPDCAを、木村氏は下図のように示した。

 ここでいうDo、リライトの実行は必ずしも本文を加筆することだけではない。タイトルの変更や内部リンクの追加など、公開した後に実施する何らかの施策をリライトと定義している。

 そしてPDCAサイクルの具体的なポイントをまとめた表が下図だ。「内容を理解したうえで、最終的にはこの表だけ持って帰っていただければ」と木村氏は強調した。

リライト対象を選定し、優先順位を決める手法

 PDCAの最初のステップ、Planはどの記事をリライトするべきかを決める、非常に重要なポイントだ。木村氏によると、リライトの優先順位は順位の軸とコンバージョンの軸を掛け合わせて決めていくという。

 まず、順位を軸に1~5位、6~50位に分け、次にコンバージョンに近いのか、反対にコンバージョンから遠いのかによって分ける。これを掛け合わせて4つの枠組みに分類する。そして図の(1)~(4)の順番で取り組むと良いという。

 順位の軸を1~5位、6~50位で分けるのは、対策すべきことが異なるためだ。1~5位は既に上位を取れているのでクリック率を上げたいのに対し、6位以下は順位を上げていきたい

 コンバージョンの軸においては、もちろんコンバージョンしやすい記事・キーワードが優先だが、何を基準に「コンバージョンに近い」とするかは悩ましい。そこで、定量・定性の2軸で考えると良いという。

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定量・定性で「コンバージョンへの近さ」を評価する方法

 コンバージョンに近いキーワードを定量的に把握したい場合は、ツールによるコンテンツの計測が必要だ。その際、一般的な「直接コンバージョン」の計測よりも「間接コンバージョン」で計測すると適切に測ることができるという。木村氏はこれによってオーガニック検索において中間接触したページも評価できると説明した。

 たとえば「SEO対策 費用」と検索し、上位に出てきたPLAN-Bのページを訪問したとしても、そのまま問い合わせるユーザーはそれほどいない。ほとんどの場合、比較するために一旦検索画面に戻り、他のページも見るからだ。最終的にPLAN-Bに問い合わせてみようと決めたら「PLAN-B SEO」などと検索することになるだろう。

 この時、直接コンバージョンで計測した場合、最後の「PLAN-B SEO」にだけコンバージョンが付いてしまう。一方で間接コンバージョンで計測すると「SEO対策 費用」で上位表示していたので「PLAN-B SEO」で指名検索があったのだと、包括的に評価できる。この考え方を間接コンバージョンという。

 木村氏は「当社のツール『SEARCH WRITE』の場合、直接/間接コンバージョンを選択できるのでとても便利に分析できます」と補足した。

 一方で、そもそもそれほどコンバージョンの出ている記事がない場合もある。その場合、マーケティングファネルやカスタマージャーニーマップを使い、定性的にコンバージョンに近い・遠いを把握するのが有効だ。

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 上図のようにマーケティングファネルを「潜在層」「純顕在層」「顕在層」の3つに分け、顕在層側がコンバージョンに近いという考え方だ。それぞれの層がどういった検索をするだろうかと考え、キーワードやコンテンツに落とし込んでいくと、スムーズにリライトが進むという。

意外と重要なコンテンツの「独自性」

 続いて施策を実行するDoのステップ。木村氏はよくある失敗として「改善したい指標と実行する施策が連動していないケース」を指摘。そしてこの失敗を避けるためのポイントとして、具体的な施策を紹介した(下図)。

 先述の通り、1~5位の記事はクリック率を高める目的でのリライトが必要になる。そのために必要な施策が、タイトル修正、ディスクリプション修正、サイトリンク設定だ。6~50位の記事については順位を上げていくことが目標のため、網羅性・独自性の加筆、タグ修正、内部被リンク設置といった施策が適切だ。

 いくつかの施策の具体的な方法についても説明された。

 タイトル修正においては、ユーザーの検索ニーズに応えることを目的として対策キーワードを入れ込み、全角27から32文字以内に収めるのが重要だ。クリックしたくなるようなキャッチーなキーワードを意識すると良い。たとえば「8時間でできる」「○○10選」など数字を入れたり「30代女性の方必見」「初心者でもわかる」と対象を明記したりすると効果的だ。ディスクリプションの修正も同じ考え方でできる。

 また、6~50位のコンテンツで必要になる「加筆」の方法も解説。「網羅性の加筆」と「独自性の加筆」の2つがある。

 まず「網羅性」とは、ユーザーの検索ニーズを網羅的に満たせているかどうかだ。網羅性を担保するためには、あるキーワードで検索した際に1~10位の記事に書いてある内容を参考にすると良い。Googleの考え方として、ユーザーニーズを満たす良質な記事が上位に表示される仕組みのため、既に上位にある記事は一定ユーザーニーズを満たせているということになる。

 実際に加筆する際には、自社の記事には書いていないが、上位表示されたサイトに書いてある要素をピックアップし、加筆していく。一方で独自性は、自社のオリジナル性があるかどうかが大事だ。上位の記事には書いていない内容で、自社ならではの情報や伝えたいことを加筆する。 木村氏は「網羅性の加筆で終わってしまうことが多いが、重要なのは独自性」と指摘。

 皆が書いていることを書いて順位が上がったところで、コンバージョンはなかなか出ない。そのため、網羅性については見出しレベルで簡単に決めていき、独自性の方に時間を割くのがおすすめだという。

 「マーケターの方であれば、セールスやカスタマーサポートにユーザーについて尋ねてみると良いです。『○○というキーワードでコンテンツを書きたいが、ユーザーはどんなことを気にしているか?』『独自性としてどんなものを出せそうか?』を聞いてみる。情報収集すると独自性はどんどん盛り込めますし、順位上昇にも問い合わせにもつながりやすいコンテンツになります」(木村氏)

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効果検証の期間を把握し、適切な振り返りを

 次に、Check、効果検証のステップ。数回のリライトで成果が出ないと諦めて放置してしまうのはよくあるケースだ。そういった失敗を避けるためにも、効果検証の指標と、効果が出るまでに必要なおおよその期間を押さえておくのが良い。

 優先順位付けの解説で、1~5位のクリック率を高める施策は効果が出やすいと述べた。それは上図の左列にある通り、成果を決めるのが検索ユーザーだからだ。変更されたタイトルを見て検索ユーザーがクリックするかどうか決めるため、リライトされた瞬間から反応が見込めるだろう。コンバージョンはクリックの次のステップなのでクリック率よりは検証期間が少し長めになる。

 一方で、順位を決めるのはGoogleである。リライトされた本文を読み込み他のサイトと比較して評価するため、その順位が反映されるにはある程度時間がかかる。

 木村氏は「『効果検証の期間はどうしたらいいですか』と質問をよくいただくが、このように誰が効果を決めるのかという考え方で期間を決めると良いと思います」と語った。

 最後に、PDCAのAction、リライトの再実行のポイントについて説明された。

 「リライトは、1回で劇的な変化が出る場合もあればそうでない場合も多い」と木村氏。セッション冒頭でリライトの効果について説明があった通り、10本リライトして効果が出るのは平均6本。うち倍のセッション数になるのは5本なのだ。そのため、少しずつ変化を加えながら粘り強く取り組む必要がある。

 PLAN-Bでも「SEO対策」という重要キーワードで順位が落ちてしまったことがあったという。その際、約2ヵ月間にわたり3~4回リライトを繰り返し、1位を回復した。

 リライトにおけるPDCAのポイントを一通り解説した木村氏は再度、表を掲示し「この表は非常にシンプルで、不要なものは削除しているので、ぜひ御社にお持ち帰り、活用ください」とまとめた。

SEARCH WRITEで改善~効果検証を完結

 最後に、PLAN-Bが提供するSEO支援ツール「SEARCH WRITE」が紹介された。

 コンテンツSEOで早く、多くの効果を出すためには、ここまで説明されたPDCAサイクルに加え3C分析が重要だ。

 とはいえPDCAと3C分析の継続は非常に難しい。アナリティクスやサーチコンソールを開き、スプレッドシートで管理し、キーワード調査ツールなどで市場を見ていく――。これにはツール活用のための知見や時間を要し、企業にとってハードルが高い。

 それに「皆様の時間はもっと他の施策に使っていただきたい」と木村氏はいう。戦略の立案や、部内の連携、ホワイトペーパーの作成、KPIの設計など、重要な業務は多くあるはずだ。

 そこで、SEOに必要な3C分析からPDCAを回す作業まで、一気通貫で実行できるのが「SEARCH WRITE」というツールだ。

 「SEARCH WRITE」が提供する価値は3つ。5,200社のSEO支援実績に基づいた「知識提供」、効果検証まで1つのツールで完結することによる「時間削減」、人ではなくツール内にナレッジをためることによる「知見蓄積」。優先順位やリライトすべき対象の選定などの改善提案だけでなく、効果検証や振り返りまでこのツール1つで完結するわけだ。

 「SEOは非常に長い道のりなので、いかに自社にナレッジをためるかも重要。また、ツールを触る時間も短縮して、自社の強みを模索したり、体制を作ったりすることにリソースを割いていただくことが、中長期的に見て御社がSEOで成功する近道だと思います」

 木村氏はこのように語り、セッションを終えた。

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この記事の著者

尾高 志保(オダカ シホ)

IT系編集者、ライター。趣味・実用書の編集を経てWebメディアへ。その後キャリアインタビューなどのライティング業務を開始。執筆可能ジャンルは、開発手法・組織、プロダクト作り、教育ICT、その他ビジネス。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2022/07/26 10:00 https://markezine.jp/article/detail/38710