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移行期限は7月1日!Google Analytics4の設定や活用のポイントを細かく解説

 2020年10月にリリースされたGoogle Analyticsの新バージョンGoogle Analytics4は旧来のバージョンとは互換性がなく、Google Analyticsを使い続けるのであれば旧Google Analytics(ユニバーサルアナリティクス)の提供が終了する2023年7月1日までに移行が必要になる。Webマーケティング支援などを手掛けるFaber Companyの小川卓氏は、Google Analytics4への移行手順や注意点、移行後の活用方法を3月8日に行われた「MarkeZine Day 2023 Spring」で紹介した。

期限間近!GAを継続利用するには、GA4への移行が必須

 旧Google Analytics(以下、GA)は2023年7月1日に原則停止となるため、それ以後もGAを使うのであればGA4への移行が必須となる。上場企業の8割ほどがGAを導入していると言われており、そのうち半数近くがすでにGA4を導入している状況だ。

  旧GAから移行しないままにしておくと、データの計測ができなくなってしまう。また、GAを基に運用レポートやクライアントへのデータ提供をしている場合、あるいはLooker Studio(旧Googleデータポータル)やTableauなどGAと連携しているシステムや仕組みがある場合にも影響が出てくる。

 「GA4は旧GAとは計測の仕組みが根本から異なり、完全に別のツールと言ってもいいほど互換性がありません。そうしたこともあり、GA4は2020年10月にリリースされてからなかなか移行が進んできませんでした。Googleとしては、旧GAと並行して運用するのはデータ量などの負荷が大きく、両方管理するのも負担であるといったことから、期限を定めて強制的にGA4への移行を促すことにしたのではないかと思います」(Faber Company・小川氏)

株式会社Faber Company 小川卓氏
株式会社Faber Company 小川卓氏

 旧GAのデータをGA4にそのまま移行することはできず、再度設定が必要になる。詳細は後述するが、その移行には1週間~4ヵ月ほどかかるという。まだ取り掛かっていない企業は、すぐにでも進めたほうがよい。

 最新の情報としては、2023年3月以降は旧GAのプロパティ設定がGA4のプロパティに自動で作成されるようになった(2023年4月時点)。この設定はデフォルトではオンになっていて、オフにしない限りGA計測用のプロパティが作成される。すでにGA4を導入済み、あるいは移行を進めている最中だという場合には、旧GAの設定アシスタントでオフにしておこう。

GA4移行時に設定しておくべき項目は?

 GA4に移行した際にどこまで設定を行うのかは、どの程度GAを利用しているかによって変わる。ほぼ利用していない、コンバージョンとデータを見る程度という場合には、「計測期日の追加」「初期設定」「コンバージョンの設定」の3つを設定しておけばよい。

GA4で設定しておくべき項目
GA4で設定しておくべき項目

 一方、GAを運用や改善に使用したり、カスタマイズして独自のデータを取得したりする場合には、前述の3つに加えて「カスタム実装」の設定が必要になる。ECサイトの売上データをGAで取得している場合は、さらに「Eコマース実装」の設定も行う。また、GA4では集計前のデータをGoogleのクラウド上に保管する「BigQuery連携」という無料サービスもある。さらに利用の幅を広げる場合にはこちらも視野に入れておくとよいそうだ。

「計測記述の追加」の実装手順

 計測記述の追加は、前述のようにGAをあまり使わない場合も、運用や改善に使う場合にも必ず必要となる設定だ。その実装手順は以下のような要素で変わってくる。

GAの実装状況ごとの実装パターン
GAの実装状況ごとの実装パターン

 これから新規サイトを立ち上げるなど、GAを初めて導入する場合はGoogle Tag Managerを導入した後にGA4を設定するのがおすすめ。Google Tag Managerはタグを管理するツールだが、GA4と非常に相性がよく、本番リリース前のテストやカスタマイズもしやすくなる。

 すでにGA4を導入済みで、Google Tag Managerを使って導入している場合は、新たにGA4の記述を追加する。Google Tag Managerは使わずgtag.jsといった計測用のコードをWebページに入れている場合は、そのままGA4を利用することができる。analytics.jsなど他の形式の計測用コードを使っている場合はそのままでは使えないので、Google Tag Managerを導入することになる。

 GA4でのプロパティの作成は、新規に作る方法と旧GAのプロパティをGA4にアップグレードするという方法がある。アップグレードを行っても、旧GAのプロパティもそのまま残るので、旧GAを残しつつGA4を導入することができる。むしろ、旧GAが停止するまでの間は両方を計測し、その数値を比較することを推奨する。

 詳細な計測記述の追加手順については、小川氏が運営するGA4 Guideというサイトでも全て無料で紹介されているため、ここも参照するとよいだろう。

初期設定で必ず設定・確認しておくべき4つの項目

 初期設定の項目はたくさんあり、必ずしもすべて実行する必要はない。必ず設定・確認しておいたほうがよいのは、「Googleシグナル」「データ保持期間」「拡張計測機能」「コンバージョンの設定」の4つの項目だ。

【クリックして拡大】初期設定項目一覧
【クリックして拡大】初期設定項目一覧

Googleシグナルの設定方法

 Googleシグナルはデフォルトではオフになっている。「利用を開始する」をクリックし有効にすることで、Googleアカウントにログインしている訪問ユーザーの年齢や性別、興味関心といったデータを取得できるようになる。さらにGoogle IDによってユーザーを特定することができるので、別のブラウザや別のデバイスからアクセスされた場合にも、同一ユーザーとして識別することができる。データの精度が上がるため、この設定は有効にするとよい。

【クリックして拡大】Googleシグナルの初期設定のやり方
【クリックして拡大】Googleシグナルの初期設定のやり方

データ保持期間の設定方法

 GAのレポートメニューでは、ページごとのPV数などを見られる通常のレポートと、自分で項目を選んで表やグラフを作って見ていく探索機能がある。データ保持期間の設定は、この探索機能に適用される。2ヵ月か14ヵ月のどちらかを選ぶことができ、初期設定では2ヵ月になっているが、期間を短くするメリットはないので14ヵ月に設定しておくのがおすすめだ。

【クリックして拡大】データの保持期間の初期設定のやり方
【クリックして拡大】データの保持期間の初期設定のやり方

拡張計測機能の設定方法

 GA4の拡張計測機能では、たとえばスクロール数や離脱クリック、YouTubeの動画を自社サイトに埋め込んでいた場合のエンゲージメント、ファイルのダウンロードなど、旧GAでは実装や設定をしないと取れなかったデータを自動で計測してくれる。これらはデフォルトでオンになっているが、念のためオンになっているか確認しておこう。

【クリックして拡大】拡張計測機能はストリーム内で設定可能
【クリックして拡大】拡張計測機能はストリーム内で設定可能

コンバージョンの設定方法

 さらに、Webサイト改善にGAを使う場合、コンバージョンの設定は必須だろう。旧GAで設定できる目標は20個だったが、GA4では30個まで設定できるようになった。GA4では、例えば特定のファイルのダウンロードなど、特定のイベントやユーザーの取った行動をコンバージョンとして設定する形になる。

【クリックして拡大】コンバージョン設定のやり方。コンバージョンの計測結果は、GA4のレポートで流入事などの形で見ることができる
【クリックして拡大】コンバージョン設定のやり方。コンバージョンの計測結果は、GA4のレポートで流入時などの形で見ることができる

GAを運用や改善に利用している場合の移行プロセス

 GAを運用や改善にまで利用する場合には、前述の基本的な設定に加えて次のようなプロセスを行っていく。旧GAでの設定や取得データを踏襲したい場合には、既存要件の整理→新規要件の追加→それをわかりやすい設計書に落とし込む→GA4の初期実装と初期設定→必要に応じて追加の実装や設定→計測の確認→本番リリースをしてきちんとデータが取れているか確認→運用をGA4に置き換えるというプロセスになる。シンプルな設定であれば1~2週間、きちんと要件を整理したい場合は1~3ヵ月ほど、追加実装を行う場合はさらに1ヵ月ほど移行期間をみておいたほうがよい。

【クリックして拡大】GA移行プロセス
【クリックして拡大】GA移行プロセス

 旧GAの要件を整理する際には、それまでどういうことに使っていたかを整理し、それらをGA4でも継続するのか否かを検討する。

 「長く使っていると以前に設定したもののもう使っていないコンバージョンなども出てきます。GA4移行の機会にそうしたものを一旦整理し、今はどんな課題があって新たに追加したい要件は何かをリストアップするとよいでしょう。現在の運用ルールや計測を見直す非常に重要な機会だと思います」(小川氏)

 初期設定と初期実装については、先述した基本的な設定を行いデータがきちんと取れているか確認をした上で、必要であれば追加の実装や設定を行う。

初期実装と初期設定
初期実装と初期設定

GA4移行後の必須事項3つ

【1】GA4でのレポート再現に向けて、対応資料を作成する

 GA4へ移行したら、旧GAで出していたレポートをGA4ではどう出していくのかという対応資料を作成しておくとよい。また、Looker Studioを旧GAと連携している場合は改めて設定が必要になる。

GA4移行後の必須事項1
GA4移行後の必須事項1

【2】GA4の操作方法に慣れる

 GA4の使い方を学ぶには、改めて権限を整理し実際にレポートを作ってみるのが手っ取り早い。また、操作方法に慣れるためには勉強会を行ったり、GoogleスプレッドシートやSlackなどにGA4に関する質問や議論を寄せられる場所を作ったりし、それを整理してQ&Aをまとめておくとよいだろう。

GA4移行後の必須事項2
GA4移行後の必須事項2

【3】数値のズレを確認し、KPIなどを見直す

 GA4の移行作業を終えても、旧GAを使えるうちは両方のデータを計測し比較しておくというのもポイント。GA4では従来と計測の仕組みが異なるため、同じように設定していても10%程度のズレが出ることがあるからだ。このとき大事なのが、仕組みの違いで出る誤差なのか、設定間違いによるものなのかを把握すること。ズレが大きい場合は、特定条件下のみズレているのか、デバイスで大きく違うのかといったことを確認していく。設定が合っていても仕様上数値が変わってくることによる、コンバージョンやKPIの見直しも必要になってくる。

GA4移行後の必須事項3
GA4移行後の必須事項3

 「詳細な設定手順は、GA4 Guideに掲載していますし、さらに細かく学びたい方には360ページ以上もの資料も無償公開しています。そして昨年10月には『「やりたいこと」からパッと引けるGoogleアナリティクス4設定・分析のすべてがわかる本』を発売しました。これらもご参照いただければと思います。

 また、GA4の画面が使いづらいという場合には、Faber Companyのサービス『ミエルカSEO』とデータ連携すると、『集客力』『エンゲージ力』『成果力』という3つの力でページを評価することができ、タイトルやディスクリプション改善のアドバイスをする機能もあります。GA4導入支援サービスも行っていますので、ご興味がありましたらお声がけください」(小川氏)

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この記事の著者

平田 順子(ヒラタ ジュンコ)

フリーランスのライター・編集者。大学生時代より雑誌連載をスタートし、音楽誌やカルチャー誌などで執筆。2000年に書籍『ナゴムの話』(太田出版刊)を上梓。音楽誌『FLOOR net』編集部勤務ののちWeb制作を学び、2005年よりWebデザイン・マーケティング誌『Web Designing』の編集を行...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

提供:株式会社Faber Company

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2023/04/28 11:00 https://markezine.jp/article/detail/41758