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【2023年版】メタバースとは?意味や注目される理由、事例を解説

 近年は、仮想空間である「メタバース」がホットトピックとなっています。メタバースを活用できる企業は少ないと思われるかもしれませんが、実際の活用幅は決して狭くありません。今回は、メタバースの概要やメリットデメリット、活用事例について紹介します。

オンライン上に新たな空間を作り出す「メタバース」

 近年ホットになっているトピックのひとつに、オンライン上に新たな空間を作り出す「メタバース」が挙げられます。一見、先進的なIT企業しか活用できないと思われがちなメタバースですが、実際は幅広い業種で活用されています。

 本稿では、メタバースの基本的知識やメリット、デメリット、実際の活用領域について解説します。

メタバースとは?

 メタバースは「meta(超越)」と「universe(宇宙)」を組み合わせた用語で、一般的には「仮想空間」の意味合いで用いられるのが一般的です。メタバースの由来は、1992年に発表されたニール・スティーブンソンの著作『スノウ・クラッシュ』(ハヤカワ文庫SF)というSF小説に由来すると言われています。

 メタバースとはオンライン上に構築された3D空間で、そこでは現実世界と同じく時間の流れがあります。メタバース空間に参加したユーザーはアバターを介して、オンライン上で他者と交流しビジネス活動をするなど社会生活が送れるのです。

 先端的な技術であると思われがちですが、その源流は2003年にリリースされた3D空間「Second Life」にあると言われ、2000年代にはオンライン上でのユーザー同士のコミュニケーションや商取引はすでに行われていました。

メタバースとVRの違い

 メタバースと同じ文脈で用いられる用語に「VR」があります。そもそもVRとは「Virtual Reality(バーチャルリアリティー)」の略で、「仮想現実」などと訳される用語です。 VRは、専用ゴーグルを装着することでまるでそこにいるかのような体験を得られるツールや技術を指します。

 つまり、メタバースは仮想「空間」であり、VRはメタバースに参加するための「手段」の一つといえるでしょう。

メタバースが広まってきた背景

 前述の特徴を持つメタバースは、次のような理由から広がりを見せています。

  • VR技術の進歩
  • オンラインコミュニケーションの普及
  • NFTなどの仮想通貨ブーム

 ここからは、それぞれについて解説します。

VR技術の進歩

 メタバースが広まった最大の理由としては、前述したVR技術が発達・普及したことが挙げられるでしょう。一般消費者にまでVR技術が普及した要因としては、以下の2点が考えられます。

  • 「Unity」「Blender」といった開発ツールが増え、VRコンテンツの供給が増加した
  • VR用デバイスの軽量化・低コスト化が進んだ

 特にVR用デバイスの軽量化に関しては、需要側の行動変容に大きく寄与したと予想できます。黎明期のVRデバイスには、「高価で重く使いづらい」というイメージであったようですが、現在のVRデバイスの多は一般消費者にとって手に取りやすい身近な存在になったはずです。近年は「Meta Quest 2」などのような完全ワイヤレスのVRデバイスも登場しており、ユーザーがVRを楽しむための環境整備は着実に進んでいます。

 今後も、技術発展が進めば、よりメタバース空間が身近なものになり、BtoCのエンタメ分野だけでなく、医療や学術研究など、様々な活用領域で用いられるようになるでしょう。

オンラインコミュニケーションの普及 

 ユーザー間のコミュニケーションには欠かせない情報通信技術の発展も、メタバースが発展した背景には存在します。近年は、コミュニケーション手法のデジタル化が加速していますが、新型コロナウイルスの感染拡大を機に、テレ(遠隔)でのやり取りの需要はさらに増しました。

 人が集まるイベントや会議が制限されるなかで、オンライン会議やチャットツールの利用が盛んになったことで、その延長線上にあるメタバースの利活用のシーンも増加しました。メタバースを使えば、完全オンラインであっても現実さながらの体験が可能です。

NFTなどの仮想通貨ブーム

 近年は、メタバースでのNFT活用も盛んに行われています。NFTとは「Non-Fungible Token」の略で、「非代替性トークン」とも訳される用語です。端的に言えば、「偽造や複製が不可能な鑑定書が付与されたデジタルデータ」のことで、完全デジタルの資産として売買が行われています。

 スクウェア・エニックスや吉本興業などの大手企業がNFT市場へ参入したことも注目を浴びました。メタバースは、容易に改ざんができないNFTの売買空間として利用されており、オンライン上での経済活動が活性化しています。

メタバースのメリット

 企業が自社事業にメタバースを取り込むメリットとして、代表的なものは「オンラインでも現実に近いコミュニケーションがとれる」「新たなビジネスを生み出し得る」の2点です。以下より、個別に説明します。

オンラインでも現実に近いコミュニケーションがとれる

 メタバース空間では、各ユーザーが自分のいる場所に囚われず、現実に近い行動・コミュニケーションをとることが可能です。たとえば、「自宅にいつつ、バーチャル店舗で買い物をする」「気軽にバーチャルイベント/ライブを楽しむ」などです。

 サービスの共有サイド視点でみれば、ユーザーはネット環境とデバイスさえあれば手軽に利用できるため、これまで以上に幅広い層が見込み顧客となることでしょう。身体的・経済的なハンディキャップを抱えるユーザーにも良質な体験価値を届け得るという意味では、社会的な意義も大いにあります。

新たなビジネスを生み出し得る

 現在も、メタバース関連のサービス開発・技術発展は各社によって取り組まれています。バーチャル店舗やNFT技術を利用したデータ売買市場への参入障壁がさらに下がれば、仮想空間におけるビジネスチャンスはより広がることでしょう。

 メタバースを活用して、ユーザーに対しこれまでにない利便性・体験といった付加価値を提供できれば、競争優位性を確立でき、さらなる事業拡大を図っていけます。さらにメタバースの活用は、長期的な視点でコストカットにつながる可能性もあります。具体的には、実店舗に必要なテナント料や設備投資費の削減が例として挙げられるでしょう。

メタバースのデメリット

 メタバースの活用はメリットばかりではなく、以下のようなデメリットも存在します。

  • 準備にコスト・手間がかかる
  • セキュリティの脆弱性
  • バーチャル空間への依存が懸念される

 それぞれについて解説しますので、しっかりと把握しておきましょう。

準備にコスト・手間がかかる

 2023年現在は、ユーザー視点で見た場合のメタバース空間でのサービス利用は準備のための時間・コストが大きいことが懸念点として挙げられます。

 メタバースを利用するためには強固なネット環境と専用デバイスが必要です。3Dの仮想空間を十分に楽しむためには、VR用デバイスや高スペックなPCの準備は必須といえるでしょう。

 こういった専用機器は普及が進んでいるとは前述しましたが、まだまだ安価とはいえず、一般消費者にとってはハードルが高いです。ユーザーに自社のメタバース関連のサービスを利用してもらうためには、この高いハードルを乗り越えてもらえるほどの付加価値や魅力が求められるでしょう。

セキュリティの脆弱性

 セキュリティの脆弱性は、メタバース事業に参入する際の課題として頻繁に議論されます。特に、資産のやり取りが発生する仮想通貨取引などでは、詐欺や情報漏洩によるリスクが大きいため、不安視するユーザーも少なくないでしょう。

 仮想通貨を管理するためには「ウォレット」と呼ばれる財布のような機能を利用しますが、まだまだセキュリティ対策が万全とはいえないのが実情です。

バーチャル空間への依存が懸念される

 ゲーム空間やイベント会場などを提供するメタバースはユーザーにとっても先進的で、魅力的な存在です。しかし、メタバースがもたらす依存性と悪影響については、まだまだ議論が深かまっておらず、これが懸念材料といえます。

 近年は「スマホ依存」という言葉もよく聞かれるように、デジタル上の世界にのめり込んでしまう人は少なくありません。特に、これから育ってくる世代はよりメタバースが身近になった世界に生きることになりますので、利用度合いについては慎重になる必要があるかもしれません。

メタバースの活用領域

 2023年現在、メタバースは以下のような領域で活用されています。

  • 【BtoC】ゲーム
  • 【BtoB】バーチャルオフィス
  • 【BtoC/BtoB】イベント・ライブ

 それぞれの特徴については、次項より説明します。

【BtoC】ゲーム

 メタバースの代表的な活用例としては、BtoCにおけるユーザー向けのゲームが挙げられるでしょう。

 PlayStation VRに代表されるように、メタバースゲーを使ったゲームでは「リアリティがあり、没入感を伴ったプレイ体験を得られる」「複数のユーザーで同時プレイを楽しめる」「仮想通貨を使ってキャラクターやアイテムを売買できる」といった現実さながらの体験価値を提供可能です。

 なお、メタバースを活用した有名なゲームタイトルとしては、以下のようなものがあります。

  • マインクラフト
  • フォートナイト
  • あつまれ どうぶつの森
  • Second Life

【BtoB】バーチャルオフィス

 新型コロナウイルスの感染拡大を機に、各社がテレワークへの取り組みを推進した情勢下では、メタバースのバーチャルオフィスとしての活用も増えました。

 社内外とオンラインで会議するためのバーチャルオフィスは、ZOOMなどとは異なり、仮想空間上の会議室に自身のアバターで赴き、話し合いをする形になっています。VRツールも活用すれば、仮想空間上に設置されたPCなどを操作することも可能です。

 もちろん、あらゆる業種で採用できるものではありませんが、今後は仮想空間に設けられたオフィスで仕事を行うシーンも増えていくのではないでしょうか。

【BtoC/BtoB】イベント・ライブ

 ゲームでの活用事例と似ていますが、近年はバーチャルライブ・イベントでもメタバースが採用されるケースがあります。オンライン上に設けられたライブ空間に参加すれば、あたかもそこにいるかのような体験価値を得られます。

 メタバースを活用したイベントは何もユーザー向けのイベントのみならず、オンライン展示会などでの活用も視野に入ります。今後、技術が発達すれば、様々な業種で活用し得るソリューションが生まれる余地もあるでしょう。

まとめ

 デジタル上の仮想空間 で現実のような体験をできるメタバースは、ユーザーの娯楽だけでなく、暗号化された資産の商取引など、様々な活用がなされています。今後、技術発展が続けば、ビジネス用途でメタバースを活用する企業はますます増加すると考えられます。

 ただし、メタバースのセキュリティの脆弱性や、デジタル空間への依存がもたらすユーザーへの弊害については、まだまだ議論が深まっていないのも事実です。メタバースはこれからさらに洗練されていくべき領域であるといえますので、今後の変化にも注意深くあるのがよいでしょう。

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MarkeZine編集部(マーケジンヘンシュウブ)

デジタルを中心とした広告/マーケティングの最新動向を発信する専門メディアの編集部です。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

マーケ研究所(マーケケンキュウジョ)

 マーケティングに関する情報を調べ、まとめて届けています。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2023/03/25 07:00 https://markezine.jp/article/detail/41774

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