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Web3時代、本場のイマは、どうなっているのか?シリコンバレー訪問記

Web3の核心は、DAO志向。それは、スタートアップ中心のこの土地が持つ伝統だ


 シリコンバレーで何日か過ごしてみて、この地域は、“スタートアップ”の聖地なのだと、改めて強く実感しました。新興大企業の代名詞と言われるGAFA(Google/Apple/Facebook/Amazon)のうち3社の本社は、ここシリコンバレーにあります。今や巨大企業となったわけですが、しかしいずれも何十年か前に“スタートアップ”として始まった会社です。Web3は、基本的に“スタートアップ”的な発想が元になっていて、だからこそシリコンバレーで多く語られるのだと、僕には感じられました。1週間ほどを過ごしたシリコンバレー訪問記の、第2回目をお届けします。

あなたは何の会社に投資した経験があるのか?

 前回の記事でも紹介したシリコンバレー在住の武富さんに誘われて、インベスター・イベントに顔を出して来ました。この会を主催するのは、Murray Newlandsさん。起業家/投資家/スタートアップ・アドバイザーで記事執筆者としても有名な方だと言います。50人ほど集まってカジュアルに語り合うそのイベントは、スタートアップを志す人とインベスター(投資家)の出会いを作る会だということでした。

 
Murray Newlands氏と著者の佐藤達郎氏

 武富さんに紹介されるなり、Murrayは僕にこう尋ねました。「で、あなたは何の会社に投資をした経験があるんだい?」そして「それは、どれくらいの規模の投資かい?」と。“大学教授で広告業界が長くて”などという僕の他のバックグラウンドには一切興味がないようで、単刀直入にその2つの質問をされました。もちろん投資などしたことがない僕は、かなりドギマギしてしまったわけですが……。

 この地で始めるスタートアップは、何らかのテクノロジーを元にしたビジネスアイデアがまずあり、そこにさらに投資を含むファイナンスの要素があって初めて成り立つものだと思います。「テクノロジー」×「ビジネス」×「ファイナンス」、その3つのどれが欠けても、結局は何も始まらないのです。

 あくまでも僕の理解ですが、インベスターというのが投資をする人全般で、その中でも広く資金を集めまとめて投資する会社をVC(ベンチャーキャピタル)と呼んでいるようです。

 VCのオフィスが多いというこの地の丘の上辺りのエリアも見学して来ました。その中の一つ、A16Z(アンドリーセン・ホロウィッツ)という会社はつとに有名で、少し調べると、創設者である2人はネット草創期の「ネットスケープ」社の初期メンバーであり、自らがソフトウェア開発者だったりコンピュータサイエンス修士だったりすることがわかります。つまり彼らは、テクノロジーがわかるインベスターだからこそ、成功したのではないでしょうか。インベスターの世界もさらに細かく見ると、「テクノロジー」×「ファイナンス」という要素は色濃くあるわけです。

 
Google創業者などを輩出しているスタンフォード大学

 ちなみに、“投資”と聞くと自分には、株の売り買いで儲けようとしたり、一定の資金の運用益を得ようとするイメージがありましたが、ここシリコンバレーでの“投資”の意味合いはまったく異なるというイメージを持ちました。前者は実際のビジネスとはある種無関係に運用益だけを得ようとする意識が強いのに対して、後者は目を付けた“スタートアップ”に出資するという行為です。もちろん、結果としての利益が大きな目的なのですが、出資する“スタートアップ”を応援しサポートするという意味合いも強いでしょう。

 また、前者はFIRE(経済的自立&早期退職)に代表されるように、比較的小さな運用益で慎ましやかに暮らすというイメージですが、後者は、事業を大きく成長させ、事業売却や株式公開で利益を得る「イグジット(EXIT)」により巨額の富を目指しているイメージで、その2つは正反対の性格をもっているように思われます。

 ちなみに自分自身はFIREを目指した投資にはまったく興味がないのですが、シリコンバレーで行われているような投資であれば(そして小さく始められるのであれば)、興味がなくもないな、と感じました。

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この記事の著者

佐藤 達郎(サトウ タツロウ)

多摩美術大学教授(広告論/マーケティング論/メディア論)。2004年カンヌ国際広告祭フィルム部門日本代表審査員。浦和高校→一橋大学→ADK→(青学MBA)→博報堂DYMP→2011年4月 より現職。 受賞歴は、カンヌ国際広告祭、アドフェスト、東京インタラクティブアドアワード、ACC賞など。審査員としても、多数参加。個人事務所コミュニケーション・ラボにて、執筆・講演・研修・企画・コンサルなども。また、小田急エージェンシーの外部アドバイザ...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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2023/09/11 08:10 https://markezine.jp/article/detail/43363

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