SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

おすすめのイベント

おすすめの講座

おすすめのウェビナー

マーケティングは“経営ごと” に。業界キーパーソンへの独自取材、注目テーマやトレンドを解説する特集など、オリジナルの最新マーケティング情報を毎月お届け。

『MarkeZine』(雑誌)

第100号(2024年4月号)
特集「24社に聞く、経営構想におけるマーケティング」

MarkeZineプレミアム for チーム/チーム プラス 加入の方は、誌面がウェブでも読めます

MarkeZine Day 2023 Autumn

たった二つの質問でファンの“感情”を可視化する「ファン度」と、自社のファン増加に必要なアプローチ

ターゲティングとファンベース、両軸でアプローチを

 次に、津田氏はファンへの具体的なアプローチ策として「ターゲティングアプロ―チ」と「ファンベースアプローチ」について解説。前者は、まだファンでない層を対象に広告などを通じて興味・関心を喚起する方法。後者はコアファンやファンに向けて、ブランドをより好きになってもらうことを目指したアプロ―チだ。

「新規顧客を獲得することも重要ではありますが、現在の人口減少、情報過多な時代において、ターゲティングアプローチの効果は次第に低下していきます。だからこそ、ターゲティングとファンベース、両軸で進めていくのが望ましいでしょう」(津田氏) 

 さらに、ファンベースアプローチを推進することで「ファンからの訴求力にも期待できる」と津田氏。ファンベースカンパニーは2022年、2万5,000人を対象にアンケート調査を実施。「信頼する情報源は?」と尋ねたところ、最多回答は「友人や親しい人(65.4%)」に。次点として「家族(60.7%)」が続いたという。

 この結果の背後には「価値観の近さ」が影響していると津田氏。人は同じ価値観を共有する人から特に影響を受けやすいのだといい、実際に「ホモフィリー(※)」という学術用語もあるとのことだ。

※同じような価値観や属性を持つ人とつながろうとする人間の傾向のこと

 情報があふれる昨今、個人が自分の情報だけを基に最適な選択をするのは難しい。そのため、多くは自分と価値観の近い人の意見を信じる傾向にあるのだという。

 また、熱心なファンは自身が推す商品・サービスを周りに勧める際、自然と言葉に熱がこもるもの。「要するに、価値観の近さ』と『熱意』の組み合わせが、今の時代に最も効果的な情報伝達の手段だ」と津田氏は語った。

有効な「ファンへの傾聴」、その四つのポイント

 津田氏は最後にファンへの傾聴の意義について言及。津田氏の考えでは、ファンと真摯に向き合い、その声に耳を傾けることがファンを増やす第一歩だという。ファンベースカンパニーでも、企業支援にあたっては、まずはクライアントのファンと直接会って、傾聴しているとのことだ。

 傾聴手段として、津田氏が勧めるのが「ファンミーティング」。ファンイベントやいわゆる“オフ会”ではなく「真摯な傾聴の場」となるよう、次のポイントを押さえておくのが肝要だ、と津田氏。

1.アンケート回答を基に、少人数のファンを選定して行う(10人程度)

2.社員もいちファンとして一緒にテーブルに入り、ファン同士の会話に参加する

3.結論ありきのファシリテーションはしない。自然な会話の流れで

4.発言録をしっかり録音して後で分析。ファンが感じている価値を言語化する

「ファンミーティングは、マーケターが自らの先入観を捨てる好機でもあります。マーケターが陥りがちなのが、行動データだけを基にして解像度の低いファンのペルソナを作ってしてしまうこと。それを防ぐためにも、ファンと直接会い、彼らの感情をファン度なども活用しながら可視化することが重要です」(津田氏)

 人の感情と真摯に向き合うことは、時間も手間もかかる。しかし、その結果、ファンの熱意はさらに増し、その情熱が近い価値観を持つ他者へと伝播していく。そして、ファンの輪が広がっていき、ブランドはより長く、深く愛される存在になるのだろう。

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • Twitter
  • Pocket
  • note
MarkeZine Day 2023 Autumn連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

釘﨑 彩子(クギサキ アヤコ)

 2019年からマーケティング・広告の専門出版社で編集者として勤務。広報・PR分野を中心に編集業務にあたる。2022年よりフリーランスのライターに。媒体問わず、マーケティング、広報、経営者インタビューなど、ビジネス領域を中心に幅広く執筆。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

MarkeZine(マーケジン)
2023/10/12 09:00 https://markezine.jp/article/detail/43533

Special Contents

PR

Job Board

PR

おすすめ

イベント

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング