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日本郵便「デジタル×アナログ」実証実験プロジェクト(AD)

恩藏教授に訊くデジタル時代のDMの役割 無意識へのアプローチとオムニチャネル発想が鍵に

五感に訴え、無意識で評価に影響を与えるセンサリーマーケティング

MZ:ここ数年でトレンドの変化は感じていますか。

恩藏:近年、センサリーマーケティングを取り入れる潮流が見られます。センサリーマーケティングとは、消費者の五感に働きかけることで、無意識下で意思決定や評価に影響を与える手法です。そして、DMはセンサリーマーケティングを実現する上で非常に適したメディアだといえます。

 たとえば、和紙や特殊な加工をした素材を用いることで触覚に、化粧品やお茶の試供品を同梱することで嗅覚や味覚に、クリエイティブを豪華にすることで視覚に、開くと音が流れる仕掛けにすることで聴覚に訴えることができます。

恩藏:ここで、このセンサリーマーケティングに関して実施されたアメリカの実験を紹介しましょう。ある面接の場に、軽いクリップボードに挟んだ履歴書と重いクリップボードに挟んだ履歴書を用意したところ、同じ内容の履歴書であっても、重いクリップボードで行われた人物評価のほうが高くなる傾向が見られました。

 このように、通常頭の中で行われる情報処理の流れとは異なり、五感を刺激するアプローチを行うと、人間は明確な理由なく評価や行動に結びつけてしまいます。実際、和紙の封筒を見たら、「伝統」や「高級感」といったイメージを思い浮かべる人が多いでしょうが、それは明確な情報処理の結果ではありませんよね。したがってこの手法をうまく活用すれば、こちらが求める態度変容や評価を無意識で生じさせることができるのです。こういった知見をDMであればうまく組み込むことが可能になるんです。

あらゆるメディアとDMをシームレスにつなぐ設計が重要

MZ:これまで数多くのDMを見てきて特に成果が上がっていたものや、印象に残った施策はありますか。

恩藏:第33回のDM大賞(2019年)で金賞グランプリを獲得した、ディノス・セシールが行った「カート落ちDM」は、審査員の中で特に評価が高かったです。これは、商品をECのカートに入れてから離脱した顧客に対して、DMを最短24時間以内に送付するというものでした。

ディノス・セシールの「最新テクノロジーで自動化へ!パーソナライズされた情報が欲しいタイミングで届くDM」。第1弾「カート落ちDM」と第2弾「小冊子DM」の二つの施策があり、どちらもパーソナライズされた情報を届ける

恩藏:一般にも見られるような「カート落ちメール」のみを送った顧客と比べ、今回のカート落ちDMとカート落ちメールの両方を送った顧客はCVRが約20%も上昇したそうです。同施策は、審査員たちに「DMの年表をもし作ったとすると、これは太字になる」と言わしめるほど画期的なもので、DMとデジタルの連携を非常にうまく行っていました。

 一昔前はメディアミックスの発想で、DMはあくまでもメディア、もしくはチャネルの一つという考え方でした。しかしその後、様々なメディアを上手く融合させるクロスメディアの発想が出てきました。それらを経て、現在では単なるメディアやチャネルの話でもない、あらゆるメディアとDMをシームレスに融合させるオムニチャネルの発想が重要になっています。ディノス・セシールの事例は、その進化をうまく体現していると感じています。

馬場:DM協会の「DMメディア実態調査2023」でも、本人宛てDMは行動喚起率が19.7%と特筆して高いことがわかっています。さらに、行動に移した理由を尋ねると、「興味のある内容だったから」が33.0%、「ちょうど良いタイミングだった(欲しい・行きたい)」が11.3%      という結果が見られました。つまり、DMで興味のある内容がタイミングよく送られてくると、消費者は行動に移しやすいことがわかります。デジタルで蓄積しているデータを活用してタイミングよく訴求するマーケティングの基本が、DM施策でも非常に有効なのではないかと思います。

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周囲の人との共感・共有が魅力的なDM作りのカギ

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この記事の著者

堤 美佳子(ツツミ ミカコ)

ライター・編集者・記者。1993年愛媛県生まれ。横浜国立大学卒業後、新聞社、出版社を経てフリーランスとして独立。現在はビジネス誌を中心にインタビュー記事などを担当。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

提供:日本郵便株式会社

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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2024/03/14 17:00 https://markezine.jp/article/detail/44542

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