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MarkeZine Day 2024 Spring(AD)

ChatGPTのメール作成を実用化・長文も対応 “構造化”するプロンプトを徹底解説

 BtoBマーケティングの現場では、セミナー告知やセールスレターなど頻繁にメールコンテンツの作成が求められる。その際、どうすればコンバージョンするタイトルや文面が効率的に作れるのか、頭を悩ませるマーケターも多いだろう。そんな中、MAサービスなどを提供するシャノンでは、メールタイトルや文面の作成にChatGPTを活用しているという。2024年2月27日に開催の「MarkeZine Day 2024 Spring」では、同社がメールコンテンツの作成に活用するプロンプトを手順に沿って解説した。

6割以上が難しいと答えた「ChatGPTの業務活用におけるプロンプト入力」

 シャノンでは、メールマガジンのコンテンツ作成において、ChatGPTを活用している。同社によると、業務で使えるような内容の出力には、プロンプトの書き方にコツがあるという。ChatGPTを使ったメールのタイトルと本文作成の方法について、同社マーケティング部部長の村尾慶尚氏が、同部の小湊紗智乃氏を聞き手に、ノウハウを紹介した。

(写真左)株式会社シャノン マーケティング部 部長 村尾 慶尚氏、
(写真右)同社 マーケティング部 小湊 紗智乃氏

 ChatGPTの出力精度を上げる方法として「あなたはプロの◯◯です」と役割を入力する方法が一般的には良いとされている。だが、実際にはただ役割を与えるだけでは実用性のある出力が得られないことがほとんどだと村尾氏は語った。

 実際に、同社がMarkeZine Day 2023 Autumn出演時に行ったChatGPTに関するアンケートでは、118人中74人が「プロンプトが難しく思った通りの回答を得られない」と答えたという。

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 このように、ChatGPTを業務内で活用したいと考えているものの、プロンプトの作成に課題を感じている人は少なくない。では、マーケティング実務で活用できるクオリティの出力をさせるために、どのようなプロンプトを作れば良いのだろうか。

メールタイトル作成に必要な「課題分析プロンプト」

 まずは、ChatGPTを活用したセミナー、ウェビナーの集客メールのタイトル作成方法が紹介された。タイトルの作成を行う際にChatGPTにただ「メールのタイトルを出して」と入力するだけでは、実用的なタイトルの作成はできないと村尾氏。良いタイトル案を出すためには、タイトルの出力をする以前にターゲットの潜在的な課題分析を出力する必要があるという。

「マーケターがセミナーの集客メールのタイトルを作成する場合、タイトルから考えるのではなく、まずはセミナーのターゲットが抱える課題から考えると思います。これはChatGPTを使う場合も同様で、ターゲットの課題分析から行う必要があります。課題分析もそのためのプロンプトを入力することでChatGPTに手伝ってもらえます」(村尾氏)

 では、課題分析プロンプトにどのような内容を入力すれば良いのだろうか。村尾氏によると、課題分析を行う上で、ChatGPTにまずセミナーの前提情報をインプットしてもらう必要があるという。そのためには、LPなどからタイトルや説明文をコピー&ペーストし、このセミナーのターゲット情報を入力。ターゲットがセミナーに参加する理由や参加せずに課題を放置することで起きる問題も合わせて考えてもらう。

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 このプロンプトを入力すると、次の画像のように、ターゲットが抱える課題、課題を放置することで生じる問題、セミナーにターゲットが参加する必要性を複数案出力ができる。このレベルまで出力ができるようになるとマーケティング業務で活用できる。

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課題分析の出力結果の一例

シャノンが活用するプロンプトテンプレートのダウンロードが可能

 メールやブログ作成といった実務でChatGPTを使おうにも「どのようにプロンプトに落とし込めば良いのかわからない」といった悩みはないでしょうか? そこで、シャノンが実際に活用しているプロンプトテンプレートをまとめた資料をご用意しました。メール、セミナー、記事に対応する3種の企画用プロンプトと、その活用方法を紹介しています。詳しくは下記のページからご覧ください。

人の確認作業を「出力形式」で効率化

 課題分析を終えたら、メールタイトルの出力を行う。まず、課題分析と同様にセミナーの情報を伝える必要があるため、LPからタイトルや説明文をコピー&ペーストし、そして先ほど出力した課題分析の結果も入力する。

 この時に重要なのは、メールタイトルが訴求する内容とタイトルそのものを別々に分けて出力するよう指定することだという。

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 その理由を村尾氏は次のように語った。

「出力結果をマーケティングチームが確認する際、タイトルで訴求する内容とその表現方法は本来分けて議論する必要があります。しかし、タイトルだけが出力されると表現への細かなフィードバックに偏るなど、効率的な議論ではなくなってしまいます。二つの要素を分けて出力するように指示することで論点が整理され、本質的な話し合いを進めやすくなります」(村尾氏)

 なお、このプロンプトを実行すると、5点の訴求ポイントと各訴求ポイントにつき3点のタイトル案を約1分で出力できるという。

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 このように複数案を提示してくれることが、ChatGPTを使うメリットの一つだと村尾氏は説明した。訴求内容やタイトルを複数案出力することで、他の案と比較して良い部分を見つけ出すことが可能になる。人力で行うのは他業務との兼ね合いで難しいが、ChatGPTを使うことによって短時間で作成できる点は大きなメリットであるといえる。

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“ChatGPT×フレームワーク”でメール本文作成の再現性UP

 メールタイトルが決まったら、メールの本文もChatGPTを使って作成する。一般的に、タイトルは集客効果への影響が大きいタイトルには時間をかけて考えても、本文にはLPの説明文をそのまま使うといったこともあるだろう。しかし、シャノンでは、メール本文の作成にもChatGPTを活用しているという。制作にChatGPTを使用していないメール本文を書き換えた結果、同じクリック率でもセミナーへの申し込み率が+10%になったケースもあると村尾氏は説明した。

 村尾氏は「メール本文をChatGPTで作成するには、適した文章の構成が理解できるように、入出力の“構造化”が必要」と話す。その方法として「新PASONAの法則」をプロンプトに使用することを勧めた

 新PASONAの法則は、人の行動を促す文章に必要な要素とその並び順を示したフレームワーク。Problem(問題)、Affinity(親近感)、Solution(解決策)、Offer(提案)、Narrowing Down(絞込)、Action(行動)の流れで書くことを推奨している。

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 メール本文を出力するためのプロンプトでは、新PASONAの法則を出力のルールとして貼り付けるとともに、タイトルと同様、ウェビナータイトル、ウェビナーの説明文、ターゲット、ターゲットの課題などの前提情報を入力すると良いという。

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「ChatGPTとフレームワークを一緒に使うメリットは、経験が浅い人でも箇条書きできちんとした回答を出せる再現性の高さにあります。新入社員や部署異動などで新たなメンバーがチームに加わった際にも、このプロンプトをテンプレートとして活用すると効率的にコンテンツの作成ができるようになります」(村尾氏)

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シャノンが活用するプロンプトテンプレートのダウンロードが可能

 メールやブログ作成といった実務でChatGPTを使おうにも「どのようにプロンプトに落とし込めば良いのかわからない」といった悩みはないでしょうか? そこで、シャノンが実際に活用しているプロンプトテンプレートをまとめた資料をご用意しました。メール、セミナー、記事に対応する3種の企画用プロンプトと、その活用方法を紹介しています。詳しくは下記のページからご覧ください。

「長文の作成は苦手」でもセールスレター・WPを作成する方法

 小湊氏は、これまで説明されたセミナー集客用メールのプロンプト作成手順が、セールスレターの作成にも活用ができそうだと指摘。対して村尾氏は、それにはひと工夫が必要だと説明する。

ChatGPTは長い文章の中で複雑な要素を区切って出力することが苦手です。これまで紹介したテンプレートは比較的短い文章の作成に使えますが、セールスレターやホワイトペーパーのような長文の作成に向いていません」(村尾氏)

 そこで解説したのが作成したい文章に必要な項目を新PASONAの法則に沿って分解し、それぞれを個別に出力する方法だ。具体的には、長文のテーマとなる製品情報やそのターゲット、ターゲットの課題といった情報を入力し、最初にProblemのみを出力。残り5項目は一つ前の項目の出力内容に続くようにプロンプトを変えながら個別に出力する。そして最後に6項目の出力内容をつなげ校正する。これなら長文の作成にも対応できるという。

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「目的に適した入力エリア」がChatGPT活用の障壁を取り除く

 このようにChatGPTはマーケティング業務にも非常に便利なものではあるが、実用性のある出力には、構造化をした上でプロンプトのつくり込む必要がある。また、人間が作った文章により近づけるには、ChatGPTの有料版の活用も求められる。そういった観点から、業務での活用には運用の工数やコストは避けられない。同社ではこれらの課題解決の手段として、マーケティング専用生成AIクラウド「シャノン コンテンツアシスタント」を提供しているという。

「ChatGPTは非常に便利ですが、想像よりも使いにくいと感じる大きな要因は『テキストエリアが一つだけで、構造化がしにくいこと』なのではないかと考えました。そのため、同製品では項目ごと専用のプロンプトエリアを設けています」(村尾氏)

 たとえば先に紹介した「セミナー/ウェビナー集客メール件名」の制作でも、同製品では専用のテンプレートが設けられ、セミナータイトルや説明文、ターゲットなどの項目ごとにプロンプトエリアが分かれている。これによって構造化しやすくなり、訴求ポイントごとに高品質なメールタイトル案が出力されるという。裏でChatGPTと複数回やり取りしたものを出力する仕組みになっているため、通常のChatGPTで同じ出力をさせる操作よりも入力の手間が少なく使い勝手がシンプルだ。

 他にも、商談獲得や企画立案などの目的に応じたテンプレートが用意されており、その豊富さも特長の一つだと話す

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実際に出力した内容と製品リリースの一部

 加えて、企業が安心して使うための設計も万全だと村尾氏は語る。入力した内容はAIの学習に使用されない仕組みとなっており、出力された内容の著作権は作成した人のものであることも利用規約で明記されていると村尾氏。なお、同社が展開するMAとは独立した製品であるため、MA未導入の場合や、他社のMAを使用している場合でも利用が可能だ。

 村尾氏は次のようにセッションを締めくくった。

「ChatGPTは便利ですが、構造化して使わないと思った通りの出力がなかなかできません。今回はそういった悩みを抱えている方々に役立つテンプレートをご紹介しました。今後のマーケティング業務で、ChatGPTをぜひ活用してみてください」(村尾氏)

シャノンが活用するプロンプトテンプレートのダウンロードが可能

 メールやブログ作成といった実務でChatGPTを使おうにも「どのようにプロンプトに落とし込めば良いのかわからない」といった悩みはないでしょうか? そこで、シャノンが実際に活用しているプロンプトテンプレートをまとめた資料をご用意しました。メール、セミナー、記事に対応する3種の企画用プロンプトと、その活用方法を紹介しています。詳しくは下記のページからご覧ください。

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この記事の著者

平田 順子(ヒラタ ジュンコ)

フリーランスのライター・編集者。大学生時代より雑誌連載をスタートし、音楽誌やカルチャー誌などで執筆。2000年に書籍『ナゴムの話』(太田出版刊)を上梓。音楽誌『FLOOR net』編集部勤務ののちWeb制作を学び、2005年よりWebデザイン・マーケティング誌『Web Designing』の編集を行...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

提供:株式会社シャノン

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2024/04/04 12:00 https://markezine.jp/article/detail/45152