ガートナー ジャパンのリサーチ部門は、ビジネス・ワーカーの文書・書類利用時におけるペーパーレス化の進展状況を調査し、7月4日に発表した。
2006年の調査結果と比較したところ、文書・書類の利用については、おおむねペーパーレス化の方向に進んでいる傾向が見られたが、その一方で、企業、あるいはビジネス・ワーカーのセキュリティに対する意識がそうした動きに「待った」をかけている状況も出てきていることがわかった。
調査では、「顧客へのプレゼン、売り込み、訴求のための資料」「社内会議用の資料」「精算、出張申請などの申請書」「稟議書、企画書、提案書、報告書」の各文書・書類について、紙媒体と電子媒体のどちらを利用することが多いかを聞いた。
種類によって多少の違いはあるが、企業内の文書・書類を利用する際に「電子データを利用することの方が多い」という人は4割程度というのが全体的な傾向のようだ。これらの結果を2006年に実施した同様の調査結果と比較すると、ほとんどの文書・書類の利用において、紙媒体から電子媒体への移行が広がってきていることがわかる。
ただし文書・書類の利用については全体的にはペーパーレス化の流れにある中で、「顧客へのプレゼン、売り込み、訴求のための資料」のみ、若干紙の利用に逆戻りしている傾向が見られた。その背景には、企業のセキュリティ対策の一環として、ノートPCの社外への持ち出しが難しくなってきたことがあるとみている。ガートナーの調査によると、個人情報保護法の全面施行後の変化として、「社内ルールでノートPCを社外に持ち出しにくくなった、禁止された」「ノートPCを社外に持ち出すのを控えるようになった」という声は少なくなかった。
セキュリティの面では、企業内にある文書・書類が、全てペーパーレス化されればよいというものではないようだ。リサーチを行ったガートナーは、発表資料の中で、「企業では今日、モバイル・ワーク、電子データ化が進められているが、情報セキュリティ対策がこの動きにブレーキをかけている面もあり、これらを両立するソリューションが求められているのでは」と分析している。
プレスリリース:ガートナー ジャパン発表「ペーパーレス化にセキュリティの壁」(PDF)