良かれと思って実行した施策が裏目に…
BtoBのWebマーケティングを推進するにはバランス感覚が欠かせない。良かれと思って実行した作戦が、むしろ目的を阻害してしまうことがある。過去にも紹介した例を振り返ってみよう。
Webサイトを改善し問合せを大幅に増やした。
大幅に増えた問合せに営業現場が対応できず、売上にはつながらなかった。さらに、問合せの質が予測できなかったため、新人を訪問させたところ、むしろ新規受注率を落としてしまった。(参考記事:第1回 “営業”が現状抱えている課題は何か、把握できていますか?)。
最高の事例を公開し、サイトの改善を行った。誰もが知っている有名企業ばかりの事例集ができた
一般企業から見れば、むしろ大企業しか対応していない印象や高額なプロジェクトしかやっていない印象を与えてしまった。結果、問合せを多く生み出していた中堅企業からの問合せが減ってしまった。(参考記事:第6回 誰もが知っている有名企業の事例を並べるだけでは成果につながらない)。
カタログをもとにWebサイトの情報量を充実させた
『カタログ』の情報からできたWebサイトで資料請求をすると、まったく同じ情報でできた『カタログ』が届くという本末転倒な営業プロセスに。カタログ中心で営業をしていた営業現場と情報がバッティングしてしまい、営業活動に不具合が出た(参考記事:第8回 BtoBサイトの理想形は「続きは営業で」という状況を作り出すこと)。
これらのように、積極的な施策を展開したつもりが、むしろ逆の効果を生み出してしまうことがありえる。営業プロセス全体像を見据えた上で、前後の文脈を意識しながら改善活動を行わなければ適切な結果は得られない。過去に紹介した例の他にも起こりうるミスマッチはまだまだある。
個別最適=全体最適にはならない
コンバージョンを高めるために、徹底的に集客を強化した。
コンバージョン率が高くなかったため、投下した広告費に対してほとんど効果が得られなかった。社内ではWeb広告は効かないという風土が定着してしまい、次回以降のWebマーケティングの予算取りに苦戦するようになってしまった。
将来に向けて顧客の囲い込みをすべくメールマガジンを実行した。
ニュースばかりを配信していたところ、クリック率が伸び悩み。改善しようにも独自コンテンツを作るほど予算や人員も配置されておらず具体的な改善に苦戦。一方、メールマガジンは定期的に配信しなくてはならず、業務過多に。社内的にも不採算施策の烙印を押されてしまった。
現状分析として徹底的にアクセス分析を行った。
アクセス分析を行うことで、課題を出し切ることができると考えていた。しかし、PV数やコンバージョン数がそもそも少なく、概要はなんとなく分かるのだが、決定的に有益なデータが得られなかった。アクセス分析にかけたコストや労力と比較して、満足のいく仮説を導けなかった。
個々の施策を最適化しようとしても、全体からみたときに最適になるとは限らないのだ。マーケティング施策を立案するには高いバランス感覚が求められている。