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MarkeZine Day 2014 FUKUOKA/OSAKA

デジタル時代のブランド育成方法、無印良品が進める絆づくりとは?

 デジタルメディアの発達で、企業価値は「顧客と共創する」時代に変わりつつあります。ですが一体、そのためには何から行ったらよいのでしょうか。6月に開催されたMarkeZineDay2014FUKUOKA/OSAKAの基調講演では、良品計画の川名常海氏によって、無印良品が進めるデジタル時代のブランド育成方法が語られました。

「生活者視点」から始まった無印良品のものづくり

株式会社良品計画 WEB事業部
コミュニティ担当 課長
川名常海氏

 こんにちは。良品計画 WEB事業部の川名と申します。当社のWEB事業部は、Eコマースの売上最大化とオムニチャネルの推進という2つのミッションを抱えており、私は主に後者を担当しています。本日は、「デジタル時代におけるお客様との絆づくり」についてお話をしたいと思います。

 無印良品は1980年に西友の一事業部としてスタートしました。当社が大切にしている「生活者視点」は当時の商品からも窺えます。例えば、「ランダムスライスマッシュルーム」という商品。これは、ある主婦の「マッシュルームは丸いのに、なぜ缶詰には端の丸い部分が入っていないのか」という問いから生まれました。この缶詰ではマッシュルームの端も利用することで、不揃いながら求めやすい価格を実現しました。

 入社当時に先輩から聞いた、こんなエピソードがあります。下の写真をご覧ください。

 昔、家庭にあった布団には、色や柄がありました。でも布団を使う側の視点に立つと、自分好みのカバーをかけるので、中身に絵柄はいらないはずです。そこで「生成りの布団に、季節や部屋のインテリアに合わせたカバーをつけて楽しんでもらいたい」と考えたそうです。生産を依頼していたメーカーからは、生活者視点で考えられたコンセプトに反発もあったようです。また、当社の自転車には、泥よけやライトがついていません。これも、同様の発想から生まれました。最初から売り手が決まったパーツを付けるのではなく、ライフスタイルに合わせて必要なオプションを選んでもらえるようになっています。家電も同じで、余計な機能をつけないことで、使いやすさと価格を追求しています。

 無印良品の発案者の一人であるグラフィックデザイナー・田中一光氏の考えにも、シンプルを良しとする考えが色濃く見られます。田中氏が目指したのは、「簡素が豪華に引け目を感じることなく、むしろその間に秘めた知性や感性が誇りに思える世界」。この価値体系が広まったら、少ない資源で豊かな生活を送ることができます。無印良品は、売り手・企業の論理ではなく、生活者あるいは自然の論理で商品をつくり、販売してライフスタイルや価値体型を伝播することを生業としています。

生活者の声を活かしたものづくり

 事業スタート当初から備わっていた「生活者視点」ですが、その姿勢を意識的に発信し始めたのが1990年代です。このような広告も打ちました。

 当時はインターネットが発達していなかったため、お客さまの声は店員がメモをとり、それを本部に送る、という形で吸い上げられました。そして商品開発に活かして、フィードバックしてきました。

 この動きは、2000年代にインターネット上のコミュニティサイトに移行され、現在は「くらしの良品研究所」というサイトに集約されています。年間20万件くらいの声が集まり、「持ち運べるあかり」や、「体にフィットするソファ」など、大ヒット商品を生むインフラに成長しました。

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この記事の著者

齋藤 麻紀子(サイトウ マキコ)

フリーランスライター・エディター74年生まれ、福岡県出身、早稲田大学第二文学部演劇専修卒業。 コンサルティング会社にて企業再建に従事したのち、独立。ビジネス誌や週刊誌等を通じて、新たなビジネストレンドや働き方を発信すると同時に、企業の情報発信支援等も行う。震災後は東北で起こるイノベーションにも注目、...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2014/07/11 11:00 https://markezine.jp/article/detail/20386

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