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まずは一歩踏み出す!マーケティングオートメーション活用で資料請求の2~3割を生み出す“鉄板の施策”

 今、注目が集まっているマーケティングオートメーションツール。さまざまな機能を備え、複雑・高度なマーケティングを実践可能になるが、その中でも目に見えて成果があがる“鉄板の施策”が見つかったという。果たして、それは一体どんなものか。国内のマーケティングオートメーションツールベンダーで5年連続シェア1位のシャノンの担当者に話を聞いた。

マーケティングオートメーション導入の成果

 マーケティング担当者の間で、注目ワードの1つとなっているのが「マーケティングオートメーション」。Googleトレンドで検索数の推移を見てみると、1年ほど前から確実に注目度が高くなってきている。

 マーケティングオートメーションとは、多様化するコミュニケーションチャネルを統合管理して、顧客に最適なマーケティングを実施できるように自動化するシステムのことを指す。

 特にユーザーの個人情報を取得して見込客としてリスト化してから、長い時間をかけて購入・受注へと落とし込むBtoB企業や不動産、保険等の企業から、ユーザー一人ひとりの興味対象・購入意欲の度合いなどに応じて、最適なアプローチが採れるようになると期待を寄せられている。

 気になるのは料金だが、SaaS型で提供されるマーケティングオートメーションツールの場合、一般に月額料金10万円程度からスタートできる。そこまで高いハードルではないため、中堅規模の企業でも導入検討が進み始めているという。

 とはいえ、新しいツールを導入しようとすれば当然、投資対効果が問われることになる。果たして、マーケティングオートメーションツールを導入することで、投資額以上の価値がある成果を得られるのだろうか。

成功事例から見えてきた真っ先に実施すべき“鉄板の施策”

 国内のマーケティングオートメーションツールベンダーで5年連続シェア1位を誇る「SHANON MARKETING PLATFORM」を提供する株式会社シャノンの村尾慶尚氏によると、「何となくマーケティングオートメーションがこれから大事なようだから」といったツール導入自体を目的にしてしまっている企業も増えているが、それらの企業では実際には導入まで至らないようだ。

株式会社シャノン マーケティング企画本部 本部長 長崎俊樹氏(写真左) マーケティング企画室 プロダクトマーケティング担当村尾慶尚氏(写真右)
株式会社シャノン マーケティング企画室 室長 長崎敏樹氏(写真左)
マーケティング企画室 プロダクトマーケティング担当 村尾慶尚氏(写真右)

 「導入して成功している企業の共通点として、『マーケティングROIの向上や商談数の増加』といった明確な目的を導入時から持っていることが挙げられます。そうした企業は、『マーケティングオートメーションによって、課題としていたKPIがこれだけ改善し、売上がどれだけ増えた』といったように成果を数値で把握できています。その結果、『マーケティングオートメーションに投資した価値は十分にある』と評価いただけて、継続利用につながっていますね」(村尾氏)

 さらに村尾氏は、マーケティングオートメーションの成功事例を集めていくうちに、「マーケティングオートメーションに取り組み始めたら、真っ先に実施すべき“鉄板の施策”」があると語っている。その施策は、他施策のクリック単価(CPC)やコンバージョン単価(CPA)で比較してみても、勝るとも劣らない実績を残せる確率が高いという。

 また、「これ以上、リスティング広告の予算を増やしても売上は増えない」といった悩みを抱えていた企業が試してみたところ、目覚ましい売上増につながった事例も出ているそうだ。

 そんな気になる“鉄板の施策”とは、「リマーケティングメールを送る」というものだ。

資料ダウンロード:顧客の購買行動の変化に対応してマーケティング成果を向上させる「リマーケティングメール」とは

見込客を売上に変える“リマーケティングメール”

 リマーケティングメールとは、見込客としてリスト化済みのユーザーがサイト来訪したことなどを条件として、メールを送るというもの。

 「自社サイトを訪問してくれたユーザーに対して、リターゲティング広告を配信して再来訪を促している企業は多いはず。けれど、リマーケティングメールに取り組んでいる企業は、今のところあまり見掛けません。それでも、リマーケティングメールを試してみた企業からは、見込客としてリスト化した直後に営業しても受注につながらなかったユーザーや、一定の期間中に何度もサイト来訪してくれているユーザーなどを対象に送ってみたところ、短期間のうちに驚くほどの成果があったという報告が多数届いています」(村尾氏)

 マーケティングオートメーションといえば、「最初のメールに反応した人はこのページに誘導して、そのページを見たら次はこのページに誘導して……」というように、複雑なカスタマージャーニーの自動化をイメージする企業が多い。しかし、いきなりこのような施策を実行するとPDCAが大掛かりになりすぎて、成果を実感するのに時間がかかってしまうという。複雑化せずに、まずシンプルに始めてみることが重要というわけだ。

 実際、シャノン自身が自社の見込客リストに対してリマーケティングメールを配信している。セグメントを掛けずに送信すると開封率15%・コンバージョン率(CVR)0.2%ほどだったメール文面でも、リマーケティングメール機能を使って直近1カ月にサイト訪問した見込客に絞って送ることで開封率は30%、CVRは3%前後にまで跳ね上がった。

 「ある調査会社の発表によると、営業担当者が『受注確度が低い』と判断してリストに入っている見込客をフォローしないでいると、約8割が2年以内に競合他社の顧客になってしまうそうです。特にBtoB企業のマーケティング担当者にとっては、新規の見込客を獲得してくることも重要ですが、営業側が見込みが無いと判断した顧客であっても、実はWebサイトで情報収集をしている顧客は一定数存在します。

 顧客側の意識としては、能動的に情報収集をするため営業とのコンタクトをとるより、Webサイトの情報収集を優先するという状況が考えられます。そういった顧客に対するアプローチとして、リターゲティング広告だけでなく、リマーケティングメールも活用してみてはいかがでしょうか」(村尾氏)

 参考情報:第34回 放置した見込み顧客の8割が2年以内に競合に流れる?,ITpro

リマーケティングメールで担当者のモチベーションもアップ

 リマーケティングメールを試すからといって、コンテンツ制作にこだわる必要はない。まずメール文面は既にあるものをベースにし、誘導先ページは関連しそうな内容の既存ランディングページ(LP)を使えばいい。それだけでも、一定の成果を期待できる。大切なのはまずは一歩踏み出して、施策を回してみるという意識だ。

 とにかく1度試してみて、「成果につながる」という手応えが得られたら、コンテンツの作り込みに入っていこう。どのページを見た見込客にはどんなメッセージを送ればいいか。メールから飛ばす先のLPはどんなものが効果的か。A/Bテストを繰り返すことで、開封率・CVRはどんどん向上していくはずだ。

 「私自身、SHANON MARKETING PLATFORMのマーケティングを担当していて、『リマーケティングメール関連の施策は面白い』と感じています。A/Bテストを繰り返すことで、見込客が顧客へと変わる確率が高くなり、もちろん売上も伸びていく。マーケティング担当者としての評価に直結することですから、モチベーションも上がりやすいのではないでしょうか」(村尾氏)

 そして「見込客がマーケティングオートメーションツールによって顧客へと変わる」KPIを把握できるようになってきたら、今度は顧客へと変わった見込客を最初に獲得したチャネルを分析し、投下する広告予算を増やしていこう。どのイベントに出展したときに獲得した名刺から、どれだけの売上が生まれたのか。専門情報サイトに掲載されたタイアップ記事に刺激された見込客は、どれだけの確率でリマーケティングメールを開封し、成約に至るのか。

 シャノン自身がそうしたA/BテストやPDCAを回した結果、受注に結び付いた資料請求のうち、20~30%ほどはリマーケティングメールから発生するように。そして今は「売上に繋がる道が見えてきたので、広告予算を増やして母数の拡大を図る」という、次のステップへと踏み出している。

資料ダウンロード:顧客の購買行動の変化に対応してマーケティング成果を向上させる「リマーケティングメール」とは

導入から活用まで“伴走”しながら手厚くサポート

 マーケティングオートメーションの成功事例を分析したことで、“鉄板の施策”を見つけ出したシャノン。同社が多数の成功事例を収集できて、そうした気付きまで得られたのは、ただツールを開発するだけでなく、顧客と“伴走”しながら導入して活用するところまでを一気通貫でサポートしてきたからだろう。その点について株式会社シャノンの長崎氏は次のように説明する。

 「当社が目指しているのは、ツールを導入してもらうことではありません。導入後にリマーケティングメールなどの機能を活用してもらい、顧客企業の売上アップにつなげることです。『このセグメントの見込客には、どんなタイトルのメールを送ろう』『LPはAとBのどちらがいいか』といった改善施策に注力してもらえるように、ツール導入にかかわるマーケティング担当者の負担をできるだけ減らせるように努めています」(長崎氏)

 同社のツールを選定すれば、経営幹部への説明用資料の作成、システム部門への技術的な情報提供、個人情報流出などの法的なリスクを気にする管理部門へのフォローなど、さまざまな面において二人三脚によるサポートを受けられる。

 主要なツール開発会社の中でも、そこまで手厚くサポートしてくれるのは同社くらいだという。機能面では、主要各社はほぼ横一線。コンペになったときには、“伴走”しながらサポートするという姿勢が決め手になって選ばれるケースが多いのだとか。認知度は海外勢に劣るが、こういった“丁寧さ”が5年連続シェア1位の要因となっているのだろう。

まずは一歩、正しく取り組んで好循環を生み出す

 広告費を投じて新規の見込客を集め、自社サイトやマーケティングオートメーションツールによって見込客へ継続的にアプローチし、最終的には受注へとつなげていく。そうした一連の流れの中で、マーケティング機能の重要性を認識する企業は増えてきているものの、「どこにいくら投資したから、どれだけ売上が増えたのか」と明確に数値で把握できている企業はそれほど多くなく、機能の優位性や概念のみの理解に終始している感があると長崎氏は指摘する。

 「ただ、当社自身がマーケティングオートメーションを活用することをきっかけとして、見込客を顧客へと変える確率を高めて売上を増やし、次には広告への投資を増やすことで新規見込客の獲得数を増やすという好循環を生み出している。

 自分たちでそうした経験をしてきたことで、あらためて強く感じたのは、成果を数値として把握していくことの重要性。何に投資すると、どんなKPIが改善され、最終的にはどれだけの売上が期待できるのか。見込客の獲得から売上までのプロセスごとにKPIを設定し、投資対効果を数値で把握することを徹底したことで、経営陣に広告予算の増額を申請するにしても、承認を得やすくなりました。

 そういった成果の計測方法、KPIの設定の仕方まで提案させていただき、より好循環が生まれやすいシナリオを描くお手伝いをすることも、マーケティングオートメーションツールを開発する当社の使命なのかもしれません」(長崎氏)

 いかに優れたツールでも正しく活用することができなけば、成果に結びつけることは難しい。シャノンの例のように、正しく理解し正しい方向で活用することができれば、マーケティングオートメーション活用のハードルは高くないのかもしれない。

資料ダウンロード:顧客の購買行動の変化に対応してマーケティング成果を向上させる「リマーケティングメール」とは

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この記事の著者

中嶋 嘉祐(ナカジマ ヨシヒロ)

ベンチャー2社で事業責任者として上場に向けて貢献するも、ライブドアショック・リーマンショックで未遂に終わる。現在はフリーの事業立ち上げ屋。副業はライター。現在は、MONOistキャリアフォーラム、MONOist転職の編集業務などを手掛けている。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2015/07/24 21:29 https://markezine.jp/article/detail/22731