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ダイレクトマーケティングにアドテクノロジーは役立たず!?

 近年、存在感を高めるアドテクノロジーや運用型広告だが、コストパフォーマンスを最重要視するダイレクトレスポンスマーケティングにおいては、それを使うだけでは十分な成果は得られない。では、どうしていくべきか。ダイレクトマーケティング領域で多くの企業の事業拡大実績を残してきたアドフレックス・コミュニケーションズの近藤大介氏は「最先端アドテクノロジーと人の手による綿密なクリエイティブ開発の両輪をまわすことが事業拡大の決め手」であると説く。

本インタビューの近藤大介氏は既に退職しております。最新のサービス紹介はこちらをご覧ください。

アドテクノロジーだけでは成果は出ない

 アドテクノロジーの存在感が高まっている。特にこの数年は、データ分析や統計解析の技術が大きく進歩したことなどを受け、DSP、SSP、DMPといった広告配信のための技術開発やプラットフォーム構築に向けた動きが活発化した。ただ、当然のことながら、そうした最先端のアドテクノロジーだけが広告の成否を決めるわけではない。逆に注目を集めるようになったのがクリエイティブの重要性だ。アドフレックス・コミュニケーションズでアカウントプランニング部のディレクターを務める近藤大介氏は、アドテクノロジーとクリエイティブの関係について、こう話す。

 「アドテクノロジーに関しては新しい技術が次々と登場しています。ただ、アドテクノロジーの進化といっても、広告主観点で言えば、極論するとターゲティングの精度を高めているだけです。それも今の技術レベルでは、その商品を購入したいというユーザーをピンポイントで抽出することはできない。そのため、有効活用できているのもごく一部の企業に限られます。一方、広告である以上は、実際に人が目にするクリエイティブが、成果に結びつく最大の要因になります。アドテクノロジーだけで何がどうなるというのではなく、アドテクノロジーとクリエイティブの両輪がまわってはじめて成果につながるのです」(近藤氏)

株式会社アドフレックス・コミュニケーションズ アカウントプランニング部 ディレクター 近藤大介氏
株式会社アドフレックス・コミュニケーションズ アカウントプランニング部 ディレクター 近藤大介氏

 アドフレックス・コミュニケーションズはダイレクトマーケティング事業を展開する企業などに総合広告サービスを提供するマーケティングカンパニーだ。もちろん、アドフレックス・コミュニケーションズでもアドテクノロジーは積極的に活用している。なかでも、近藤氏は、システムエンジニアとしてのキャリアを持ち、同社において、アドテクノロジーの専門部署を立ち上げた経歴も持つ。そんな同氏から見ても、アドテクノロジーだけでは効果を発揮しにくいものなのだという。

 「ダイレクトレスポンスにおける広告主にとっての課題は、常に売上規模の拡大か、費用対効果の改善の2つです。アドテクノロジーだけではある一定レベルの費用対効果の改善はできても、売上規模の拡大はできません。事業内容、利益構造、事業の規模によって、効果的な施策は変わってきます。アドテクノロジーだけでは解決できないのです」と、近藤氏は語る。

 例えば、昨今脚光を浴びているトレーディングデスクでは、適切なターゲティング設計を行い、いかに適切な価格で入札を行うかがカギになる。ただ、それに終始してしまう恐れもあるのだ。もちろん、ターゲティング設計や買付ロジックも重要だが、それを適切に設定・運用するのは、もはや当たり前のことで、成果を最大化させる要因はむしろクリエイティブにあるのだという。

事業の成長に合わせた適切な広告施策を

 アドテクノロジーとクリエイティブの融合といっても、実際にはどうしていけばいいのだろうか。アドフレックス・コミュニケーションズでは、ターゲット層を商品関心層、顕在層、潜在層という3つにわけ、事業成長フェーズごとに実施すべき施策を「メディア・プランニング・メソッド」として体系化している。商品関心層は商品自体に関心を持っている人たち、顕在層は、商品は知らないが、商品が解決する課題を認識している人たち、潜在層は課題自体の認識が曖昧、もしくは認識をしていない人たちだ。

メディア・プランニング・メソッド
メディア・プランニング・メソッド

 これは、アドフレックス・コミュニケーションズが広告主とともに取り組んできた成功モデルの一つだ。アドテクノロジーとクリエイティブを効果的に用いることで、広告主の事業成長とともに、継続的な成果を上げていくメソッドといえる。図中の第1フェーズは、事業開始段階や一度プロモーションに失敗している場合だ。ここでは、CPR(Cost Per Response)の安定化を目的に、SEMやアフィリエイトといったリスクが最も低いメディアのみで展開していく。第2フェーズは、成果がある程度拡大し、めどが見え始める段階だ。商品関心層だけでなく、顕在層にもターゲットを拡大する。施策としては、ディスプレイ広告クリエイティブの開発、およびディスプレイ型の運用型広告に着手する。第3フェーズは、「勝ちクリエイティブ」が出始め、運用型広告でも、ある程度の光明が見える段階だ。潜在層にもターゲットを拡大し、施策として、純広告枠に展開し、一気に規模の拡大を図る。

 「DMP、3PAS、マーケティングオートメーションツールなどは、この最後の第3フェーズに至ってはじめて利用するものだと考えています。事業が小さい段階では、目立った成果がえられず、コストばかりかかることになりかねないためです」(近藤氏)

最先端のアドテクノロジーと綿密且つ高速なクリエイティブPDCAで事業成功に導く

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ダイレクトレスポンス広告で成功するクリエイティブ・メソッド

 事業成長のフェーズごとの施策を成功に導くために必要なのが適切なクリエイティブだ。アドフレックス・コミュニケーションズが構築した「クリエイティブ・メソッド」では、マーケット、ターゲット、プロダクトの3つを徹底的に分析した上で、クリエイティブのテーマを決めている。それをもとに訴求軸をつくり、具体的なキャッチコピーやバナー、LPに落とし込んでいくというわけだ。

クリエイティブ・メソッド
クリエイティブ・メソッド

 「フィリップ・コトラーが提唱した効果的に市場を開拓するためのマーケティング手法、STPマーケティングに似ていますが、ストレングスにあたるプロダクトの部分を"厚め"に設定している点が異なります。ダイレクトレスポンス広告では、金融や健康食品のようにクリエイティブに法的な制約がある商品を扱うことも多い。そのため、ビジネスやプロダクトの深い理解が欠かせません」と、近藤氏。キャッチコピーなどバナーの構成内容が少し変わるだけで、CPRに影響が出る。何が動機づけになり、次に何に反応してベージ遷移するかは、購買モデルにも大きく影響する。クリエイティブ次第で、CVRが大きく変わってくるのだ。

事業計画まで含めた提案書を用意

 さらに、広告主との長期的な関係づくりも欠かせない。そのため、アドフレックス・コミュニケーションズでは、最初から事業計画の拡大フェーズまで見越した提案書を作るという。例えば、「何年後に何億規模の事業にするためには、こういう売上曲線と顧客数が必要で、そのためには、どのタイミングでどのくらいの広告費を投下していかなければならないか」を最初に提案するのだ。実際の広告施策の運用フェーズに入ったときに利用するのが、先のメソッドになる。

 また、すべての社員がクリエイティブとメディアの両方に通じていることも特徴だ。一般的な広告代理店は、営業担当、運用担当、制作担当などに担当する人間がわかれるが、同社の場合は、基本的に1人の担当者がこれらすべての業務を理解した上で、フロントとして機能している。

 「私自身、広告主だったことがあるのですが、担当者が複数いると意思疎通が図りにくくなりますよね。商品やサービスの説明を何度もしなければならないことがしばしばありました。クライアントのことを熟知した担当者がフロントで対応することで、意図を適切に汲み取り、スピーディーに対応できるようになります」(近藤氏)

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大手企業が重要視する「ブランドレスポンス」という概念

 広告による成果はもちろん大事だが、大手企業では短期的な成果以上にある考えが重要視されている。「レスポンス(反応)を高めつつ、ブランド価値を維持する」ということだ。それを、アドフレックス・コミュニケーションズではブランディングとレスポンスを組み合わせた言葉、「ブランドレスポンス」と呼んでいる。レスポンスを求める以上、広告のクリエイティブは目を引かなければならない。しかし、反応を求め過ぎると、広告主のブランドを毀損するクリエイティブになってしまう可能性もあるのだ。「ブランドとレスポンスという、相反する要素を加味しながら、どうクリエイティブ開発を行っていくか。ブランドとレスポンスを両立することがブランドレスポンスのテーマ」だと、近藤氏は力説する。

 奇をてらった施策で短期的な成果を出しても、それが長期的にブランドを損ねるようでは元も子もない。ただ、ブランドを守るためにチャレンジをしなければビジネスの成長もない。広告主との長期的な関係を続けるなかで、常に試行錯誤している状況だという。思った成果がでないこともあるが、頭に汗をかいて真摯にトライ&エラーを繰り返せば、広告主との関係性も深まり、成功の方程式も見えてくるという。

変わらない基本とクリエイティブの力

 近年、デバイスは多様化し、顧客とのコミュニケーションの取り方も激変している。広告主の多くが、顧客の生活のどのシーンで、どのような広告を打ち出していくべきか頭を悩ませていることだろう。しかし、近藤氏は「注視すべきは母数の方ではないか」と疑問を投げかける。現状のアドテクノロジーで顧客の置かれている状況を厳密に特定するのは難しい。それが可能だとしても、そうすることで母数自体を絞ってしまっては本末転倒ではないかということだ。例えば、自動販売機で顔認識し、その人に合わせた広告を出すというのは現状のテクノロジーでもできる。だが、その対象者の数と成果を考えたときに、本当に費用対効果の見合った施策といえるのだろうか。

 「技術が進化していったとしても、基本は変わらない」と近藤氏は語る。アドテクノロジーの新規性ばかりに目を奪われるのではなく、本質的に有効なものを事業フェーズに合わせて活用していくことが重要だ。広告を踏んだ瞬間にユーザーの性別を判断し、男女別のLPに飛ばすというシンプルなLPO施策でも、十分な成果は得られるし、それ以上複雑なテクノロジーを必要としないケースがほとんどだという。

 クリエイティブについても同様のことがいえ、近藤氏からすると「結局、強いクリエイティブはどこでも強い」ということだ。増え続けるデバイスやタッチポイントに振り回されることなく、綿密なクリエイティブ開発をしっかり続けていくことが肝心だ。そして、必要十分なアドテクノロジーとクリエイティブが合致したとき、ビジネスはさらに加速し、企業を次のステージに導いていくことだろう。

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この記事の著者

齋藤 公二(サイトウ コウジ)

インサイト合同会社「月刊Computerwold」「CIO Magazine」(IDGジャパン)の記者、編集者などを経て、2011年11月インサイト合同会社設立。エンタープライズITを中心とした記事の執筆、編集のほか、OSSを利用した企業Webサイト、サービスサイトの制作を担当する。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2019/07/18 17:40 https://markezine.jp/article/detail/23480